ナカジ×はなちゃん


『好きな人が居るの。』


彼女は言った。


同級生と比べるとずっと高い身の丈に、度が強く分厚い眼鏡のレンズ。
そして一昔前の学生の様な出で立ち。
必要無いと思っているから、口数は少なく愛想も無い。
勉強以外に興味がない、と言っているような風体から
他人にはよく敬遠される。

しかし人と接する事がなくて困った事は無いし、
妙な馴れ合いは煩わしいから別段構わなかった。


でも、そんな俺にも
貴女は誰とも変わらない笑顔をくれる。


―学校の授業は、単純でつまらない。
そんなツマラナイ学校の通学路沿いである、
彼女が働く花屋の前を通る事が毎朝の俺の楽しみ。

どんな日でも、誰にでも明るい笑顔を振り撒く、花屋の看板娘。
俺にとっては、もうそれ以上の存在になっていた。



「おはよう!」



あの笑顔が、俺の傍らに在ってほしい。
生き生きとした表情を見る度にそう思った。


下校の時間。


「貴女が、好きです」


―お帰りなさい。

何時もと変わらない笑顔で言った彼女に
俺はそう伝えた。



一瞬驚いた顔をしたが、すぐに満面の笑顔を浮かべて
「ありがとう」と、そう言ってくれた。





「でもね……」


その後に続いた言葉。


「私ね、好きな人がね、居るの」


そう、言った。


「いつも一生懸命頑張っている人なの。
辛い時でも無理に笑ったりして、ちょっと心配なの。
私、少しでもその人の支えになってあげたくて…」


だから、ごめんね。


「………」

「そうだ!ナカジ君も一回見たと思うわ。
ほら、猫を連れたスーツ姿のお兄さん…」

「…佐……藤」


そう呼ばれていた、猫を連れている男。
確かに、一度だけ見た。
その男の事は、しっかりと覚えていた。

その時…彼女が見たこともない笑顔をしていたのも、
俺は見てしまっていたから。

特別な笑顔。
その男のためだけに、この人はあんな顔をする。


「俺じゃ、なくて…」


小さく呟く。
頭の中で反芻するのは、佐藤という名前。
そしてあの特別な笑顔と、何時も俺にくれている笑顔。


「…ナカジ君?…きゃ!?」


腕を掴み、引っ張った。
反動で取り落とされたジョウロが重く音を立てて落ち、
アスファルトを濡らした。

許さない…許さない。
…しかし、どちらを許さないのか?
よく分からないまま、体中を支配する強い嫉妬の命令通りに動く。

彼女が何事か言うのを無視して、家まで引っ張って来た。
ほとんど毎日、誰も居ない家。


「な 何!? ナカジ君!?」


ベッドにひき倒し、花のワンポイントの付いたエプロンを剥ぎ取る。
抵抗の浅いうちに、衣服も荒々しくむしり取る。


「きゃああぁぁっ!!」


高い悲鳴。状況を理解しても、今更遅い。
必死にもがく華奢な体を、全身で押さえつけた。
恐怖で荒く乱れる呼吸。
手応えが小さくとも必死に行われているであろう抵抗が、
押さえつけている彼女の四肢から伝わり異様な快感を覚える。
愛おしい体。ますます狂っていくという自覚。

控えめな胸の膨らみも、腰も、尻も、腿も…
滑らかな肌の感触を確かめるように、じっくりと愛撫する。


「なっ…ナカジく…やめて……!」


止められるわけがない。
掠れた声で必死に懇願する様が、ますます狂気をかき立てる。
征服したい、この体躯の隅々まで。

口から放たれる言葉とは裏腹に、体は仄かな朱に染まる。
このまま貴女が狂ってしまえばいい。
貴女を喰らおうとしている、俺に。


「やっ……いやぁっ!」


乳房の頂上を口で弄び、指を秘所に這わせる。
上下の突起物は固く膨らみ、秘所はもうじっとりと湿っている。


「ひっ……!」


一瞬上がった悲鳴。
体が小さく反応を起こした。


ぴちゃり。


秘所に留めた指を動かす度、ぬめった水音が響く。


「…あッ……ぃ…や……」


呼吸が荒い。
分かっている。先のものとは意味が違う事を。
どれほど強固な意志よりも、纏わりつく悦びの方に体が反応するのは
生命として当然の事。


「我慢、しなくて良いんですよ」


「はッ…ん……やめ……ナカジく…んぁッ…!?」


肉芽を、指先で軽く押し潰してやると、短い悲鳴と共に体が跳ねる。
いっぱいに弄んでやった指を、秘所から離す。
透明な粘液がつぅと、細く糸を引いて落ちた。
それを愛撫と共に、彼女の胸元に塗りつける。



「はぁ…っ…」


「俺で、良いじゃないですか。
あの男なんかじゃなくて…俺で。」


静かに、囁く。


「……」


黙って、微かに首を振った。
否の合図、拒否の合図。


「………何故?」


いきり立ち、天を向かんばかりの自身を曝け出し
艶めかしく光っている秘所に押し込む。


ぐちゅり。


一気に、無理矢理に貫いた。
温かく湿った内壁に、包み込まれていく感触。


「…くっ……!?
あぁっ!ああああぁぁぁぁッ!!」


聞いた事の無い、鋭い悲鳴。
俺の肩を掴んでいた手に、骨まで握り潰されてしまいそうな程の力が加わる。
肉に食い込む爪。構わずに腰を振るう。


「嫌ッ!!嫌あぁッ!!やめっ……痛いッ!!!」


泣き叫びながら、ぐいぐいと体を押しのけようとする。
結合部から溢れる、血混じりの粘液。


「あの人、どんな顔するでしょうね?
貴女のこんな姿を見たら…」


「…ッ!?………ぐッ…ぅ…うッ……」


するりと、抵抗する力が抜けた。
今、彼女の中を駆け抜けた感情は一体何だったのだろう。

四肢を投げ、瞼を閉じたその姿に
霞んだ『勝利』という言葉が浮かんだ。

荒々しく腰を打ち付ける。
佐藤という男にだけ向けていた、
あの特別な笑顔を自分の中から払拭するように。



泉のように、流れ落ちた先から溢れ出るぬめらかな液体は
繋がった部分を潤滑に仕立て上げる。


「うっ……う……くぅっ……」


噛み潰された甘い吐息が、食いしばった歯の間から漏れる。

体を揺らす激しい突き上げの度、内側はきつく締め付けられ
脳の奥にピリピリと電気信号を送る。

惨たらしい快楽。

それを破ったのは、俺自身の言葉。


「どうして……!
こんなに、貴女が好きなのに…!?」


無意識、唐突に口をついて出た言葉。
頬を伝った涙。

分かっていた。
これは勝利ではなく……敗北。
力ずくで奪う事で、貴女を自分のモノにしたと思い込みたかっただけ。


もう、彼女を愛する動きは止まらない。
止められない。


「…んッ……はッ…ご…めん…なさ……」


僅かに開いた瞳。
喘ぎの中に混じった言葉の意味が、俺にはよく分からなかった。


「んっ…んんッ……!くぅ……はッ…あ……!あぁ……あぁっ!!」


甘い甘い、泣き声。
俺の首に廻された細い腕。
弓なりにしなる体と、最後の締め付け。


「ぐっ……うぅっ………!!」


けだもののような呻き声と共に、俺は白濁の欲望を
目一杯彼女の中に注ぎ込んだ。



太陽は地平に沈みかけていた。
空を仰ぐと、青から紺色へと続くグラデーション。
西の端だけはまだ、濃い朱の塊を中心に、鮮やかなオレンジ色。

何時もと変わりない姿で、彼女は俺の前に立っている。


「じゃあ、帰るから」


「………」


言葉が出せなかった。
何故、普通にしていられるのだろう。
とても酷い仕打ちを、俺は彼女にしたはずなのに。


不意に、頭を撫でられた。
足りない身長、背伸びをして。


「…私ね、佐藤さんが好きなの。どんな事が有っても。
でもね、ナカジ君が嫌いっていうワケじゃないのよ?」


「……はい」


「ナカジ君の気持ちは本当に嬉しかった。
でも…私は応えてあげられないの。
ごめんね…」


「もう…いい。分かった」


一度頷いて、帰路を辿り始めた。


「……でも、俺は…」


突然、振り返った。
此方に走り戻ってきたかと思えば、唇の先に軽いキス。
もちろん足りない身の丈の分、背伸びをして。


「ナカジ君にはきっと、もっと素敵な人が見つかるから!」




小さく手を振ってから踵を返し、走り出した。
その姿が見えなくなるまで見送った。


「…貴女以上の人なんて、見つかるわけがないでしょう」


其処に残ったのは、俺と、俺の溜息だけ。
その溜息すらも薄暗い虚空に溶け入り、消えた。





コツン。



どこからか飛んできた紙飛行機。
開いてみると、バツの多いテスト用紙。



「ああっ!ご ごめんなさい……!!」


「……?」


慌てた様子で塀の角から飛び出したのは
ジャージを羽織った少女だった。


「あの…それ私のなんですけど……
か 返してもらえますか?」


その紙に書かれた名前。


「……サユリ…数学26点」


「きゃーっ!!ちょ ちょ ちょっと!
てっ 点数なんて読み上げなくて良いからっ!」


顔を真っ赤にしながら、俺の手元に預けられた怒りのタネを奪い取る。


……まさか、貴女が思い描いた素敵な人が、
こんなおっちょこちょいだなんて言わないですよね?



…はなさん。

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