アッシュ×シルヴィア


 藍色の夜が、重なり合った木々の隙間から覗いていた。

「寒くないんスか?」

 後ろから抱きとめたままで問う。
 柔らかな感触を持つ彼女は何せ、秋どころか冬に入ってもノースリーブの白いワンピース一枚だけだったから、心配性の彼でなくともそう思いたくなるのは無理からぬことだと云えた。 
 答を急かすように彼女の首筋に頬を寄せると、長く美しい金髪がしゃらりと音を立てた。
 彼女――シルビアはくすぐったそうに肩をすくめて身じろぎした。花の香りが柔らかく香る。

「だいじょうぶよ」

 云って、浅黒い手にその白く細い手を重ね、指を絡める。
 妖精である彼女の体は、自分のそれとは幾らか冷めている様にアッシュには思えた。

「こうしていれば、あったかいわ」

 本当は、妖精であるシルビアに時節の変化など殆ど関係ないのだろう。
 しかしそう告げた彼女の頬はほのかに赤く、アッシュはなんとなく、そう思っていてもいいのかも、と思う。
 それを嬉しく思っていると、覗き込むような視線を感じた。赤と緑の瞳が互いをとらえる。
 抱きとめた腕に少しだけ力を込めて、すれ違う瞬間をつなぎ止めるように唇付けた。
 そのまま二度三度とついばむように唇付けながら、シルビアの腰から生えた一対の虫羽根の付け根を撫でると、絡めた指に一瞬だけ力が込められるのを感じた。
 その羽根は今やすっかりしな垂れていた。彼女が穏やかになり、受け入れようとしている事の証だった。
 名残惜しく唇を離すと、どちらからともなく零れた吐息が夜の森を白く染める。

「…行きましょうか」

 声が強張っているのが自分で解って、アッシュは内心苦笑した。
 それを隠すように、自分のコートをシルビアに羽織らせる。
 彼女はにこやかに頷いて、絡めたままの指を強く握った。

「明日の朝は、一緒にお散歩しましょうね」

 頷いて、彼女の手を引いて歩き出す。
 やがて木々は途切れ、藍色の中に白亜の城が見えていた。

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