ロケット86×ニコラシカ


俺はいつものように背中のロケットで、青く続く空を散歩していた。
もちろん、相棒のギターをかき鳴らしながら。
ジェットの音にかき消されないほどの音量。ゆえに音波による振動も激しいものの、そこは俺のテクニックでカバーできる範囲内だ。
観客は太陽と白い雲。
まれに雨や雹などの手荒い歓声も受けるが、そこはご愛嬌ってね。
やべ。俺、詩人。
こんなふうに一人悦に入っていると、声が聞こえた。
「楽シソウネ」
「まあな」
俺は演奏の手を止めて答えた。
別に驚きはしない。
鳥や天使や恐竜モドキまで自由に空を飛ぶご時世だ。
しかし、話しかけてきた奴に目を向けると、それは今までの誰とも違う雰囲気を放っていた。
「…ロボットか?」
「アラ、他ノ何ニ見エルノカシラ」
人差し指を頬に当て首を傾げる姿は、その問いは皮肉ではなく、純粋な疑問として発せられたものに思える。
妙に精巧な造りだ。
その肌の色を除けば、人間よりも人間らしいかもしれない。
俺はジェットの噴射を調節し、ホバリングの状態を保った。
この辺の操作は見た目よりかなりシビアだ。素人が一朝一夕でできることじゃない。

空中で緑色の女性型ロボットと会話してるっつー非日常的な状況において、妙に冷静な俺がいる。
いや、俺って普段こんなに男前じゃないはずだ。
冷静に見えて、実は極度のパニック状態なのかもな。

「お前もこの清々しい空気を味わいに来たのか?」
ジェントルでダンディーな俺。
「ろぼっとガ呼吸ヲスルト思ウ?」
あ、やっぱ俺ってバカ。
「思う」
「アラ、当タリ」
負けず嫌いな性格がつい顔を覗かせ、適当に答えたら…意外な返答。
俺、やっぱ冴えてる?
「動力炉ノ排熱処理、ソノ他諸々ノ理由デ空気ヲ取リ込マナイトイケナイノ。ソレニハ、ココニアルヨウナ新鮮ナ空気ガ一番」
ほー。
なんともロートルな構造なようだな。
「でも空は飛べるんだよなぁ」
「ソレガ何カ?」
思わず口に出していたようだ。
しかし、この俺について来れるスピードで飛べるとは、そんじょそこいらのポンコツにはできない芸当であるのも事実だ。
どこかに半重力装置でもついてるのか?
こいつが思ったよりも凄い性能であろうことは想像がついた。
「それより、俺に何か用か?別にただ単に会話がしたいだけならそれでも構わないが」
「ソノじぇっとえんじん」
俺の相棒パート2がどうした。
「空気ヲ汚染シテイル。アタシノ呼吸ノ、邪魔」
「へ?」
「排除スル」
はいじょ…排除?
「ちょっと待てぇぇぇ!」

「何ヨ」
右手から何やらトゲトゲな棍棒らしき武具を手に取り、今にも攻撃を繰り出しそうなそのロボットを慌てて制止する。
このロケットを今壊されたら、俺は地面とキスしなければならない。超高速で、命賭けの。
「こ、このロケットの燃料は環境に配慮されたものだ!」
「さんぷるヲ採取した結果ハいえろーダッタワ」
いつの間に調べたんだ。
「ENE*Sを信用しろ!」
「…ワカッタ」
さすが環境ハイオク。エネ○スは偉大だ。
「デモ、現状デハアタシノ呼吸ガママナラナイ。排熱ヲシナイト熱量おーばーデ、危険」
じゃあどこかジェットの噴煙の届かないところに行けばいいのではないだろうか。

そこまで考えて思い至った。
他の解決策があるのにそれを利用しない。
つまり、こいつの狙いは別にあるってことだ。
その狙いが俺だとしたら…。
俺はギターのネックを握りなおし、左手でコードだけを変化させながら考えた。
…別に、俺なんも悪いことしてないよなぁ。
しかし、今奴に逆らうのは得策じゃない。
おとなしく会話を合わせたほうが良さそうだ。

「危険、か。呼吸以外の排熱は無理なのか?」
「ヒトツダケ、アル」
奴は人差し指を立てて、俺に顔を近づける。
「冷却水ヲ注ギ込ミ、循環サセルコトデ炉ヲノ熱ヲ冷マス」
「…言っておくが俺は水なんて持ってないぞ」
「アラ、ソコニアルデショウ?」
立てていた指をスッと下のほうへ。
指差した先は…俺のジミー(息子)。
「『ソレ』専用ノ入リ口ガアルノ。手伝ッテモラエルカシラ」
専用の入り口って…。
奴はゆっくりと、際どいレオタードをずらし…専用の入り口とやらを俺に見せ付けてきた。
自らの指で開かれたそこは、どこよりも精巧な造りで、既に粘液が滴っていた。

って、お前最初からそのつもりかよっ!!

終わり

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