「地獄でフィーバー!ミラクル☆4」
ここは俺たちミラクル☆4の控え室。
今日もいつものように次の仕事に向けて準備をしていると、唐突に電話が鳴った。
現在、リーダーが不在のため、その代わりをしている俺が受話器を取る。
「はい。ミラクル☆4控え室」
――もしもし〜。ニャミだよ〜。
「なんだ、仕事の話じゃないのか」
――なんだとは失礼じゃん。あれ、2番目の人?
「そう、俺」
――えっと、セカンドだっけ。
「…ツーストだ」
――覚えるの面倒だね。いっそセカンドにしとけば?
余計なお世話だ。
「そんなことより用件を言ってくれって。こっちも暇じゃないんだよ」
――いや〜、うちら、そっちのリーダー預かってるじゃん。
預かってるというか、捕まってるんだけどな。
イベントが終わり次第、さっさと復帰させてほしかったんだけど。
――次回のパーティが決まってね。うちらも冒険に出たり忙しくなるから、ウノっちお返しするね。
「人ンとこのリーダーをウノっち言うな。…そんじゃいつ頃こっちに来るんだ?」
――あ〜、それだけどね。うちら忙しいし、本人も無事じゃないから迎えに来てくれる?
「無事じゃないって…」
――ほら、ウノっちさ、アイドルフィーバーと世界でフィーバーの担当してる人らを洗脳する係だったでしょ。
いや、知らねって。
――そんでさぁ…アイドルフィーバーのメンツにミーちゃん…ミニッツちゃんが入っていたわけよ。
「それで?」
――ミミちゃんが「あたしのミニッツちゃんに何すんの!」って根に持っててね。こう、必殺技でコキャっと。
考えるだけで恐ろしい。
どうやらウーノは「一応」生きているようなので、これからの仕事をロマンキャンセルして、3人で迎えに行くことにした。
「ここか…」
そう、ここはフィーバー戦士ポップン14の撮影現場。
ニャミの話どおり、ウーノがいた。
ヤムチャのように、うつ伏せに倒れている。
「リーダー!」
「ウーノさん!」
若さん、フォースと共にウーノの元へ駆け寄る。
が、脇に駆け寄ったところで違和感を覚えた。
何か変だ。
「しっかり、ウーノさん!」
「大丈夫か!」
二人が背中を揺すると、うーん、と唸り声が上がった。
そしてウーノは上体を起こすや否や、
「兎怖ーい!兎怖い兎怖い兎怖い兎怖い兎怖い兎怖い兎怖い兎怖ーい!」
「落ち着けウーノ!俺たちだ!」
相当な目に遭わされたんだろう。酷く取り乱している。
しかし、その時気付いた。
違和感の正体。
「ウーノ…それ、何だ…」
以前のウーノには確実に見られなかった物体。
ふたつの胸の膨らみ。
巨乳ってレベルじゃねーぞ!
「…ミミさんの必殺技を喰らったらこうなってたんだ」
「そんな、声まで変わって!」
要約すると。
洗脳=エロエロと誤解したミミが、
「ウーノが男だからいけないんだ。これでも喰らいな…『ミッドナイトブリス』!」
と、どこかで聞いたことのある技を繰り出し、ウーノを♀化。
本来ならに元に戻せるはずだったが、ミミは戻し方を知らなかった。なんて無責任な話だ。
しかし当の本人はこれ幸いと、様々な道具を取り出し…あれやこれやの拷問を行ったそうだ。下ネタ方面の。
内容についてまでは訊けなかった。
最早ウーにょと化した彼女が悲惨すぎて。
「そんな…そんな話は冗談に決まってるッス!」
取り乱したフォースの口調がどこぞの狼男っぽくなっている。
「こんな胸、偽物に決まってるッス!ほら、こうして掴んで引っ張れば…」
むに。
間違いなく本物だな。
なぜなら、ウーにょが「あんっ!」と身をよじらせたから。
「あれ、フォース…どうしたんですか!」
若さんがフォースの異変に気付いた。
「……うふふふ……ダイナミーック……アートミーック……すぺっ!」
げしっ!
若さんがどこかから取り出した大根で、フォースを気絶させた。
「危ないところでした。…色んな意味で」
「ナイスフォローだ、若さん!」
「ここは一番冷静な僕に任せてください」
じっ、とウーにょを見据える若さん。
ひっ、とたじろぐウーにょ。
おもむろに若さんが手にした大根を掲げ、
「ふんどし!」
「お前が一番錯乱しとるわぁぁぁ!!」
ポカリ。
なんとか手近にあった清涼飲料水の2リットルボトルで若さんを気絶させた。
…待てよ。
俺がこの状況を打破しないといけないのか!?
「ツースト」
しまった、いつの間に背後に。
ウーにょが俺の肩をそっと抱き、耳元で囁く。
「私は…どうしたら良いんだろう」
「…とりあえず離れてくれ」
「すまない…まだ腰が立たないんだ」
なんで?なんて訊けるわけがない。それこそ墓穴を掘ることになる。
それよりもだな、背中に
「…背中に当たってるんだけど」
「何が」
「ほら、その…胸が」
「当ててんのよ」
俺オワタ\(^o^)/
これは夢だ夢だ、バンザーイっ!
ちなみに、連帯責任と称してDO(ryOM、獄卒、ヴィルヘルムもブリセルの餌食になったそうな。
めでたしめでたし。(無理矢理)