釈迦ミミ×釈迦ニャミ


私は迷っている。
私を必要だとしてくれる人なんてどこにもいない。そんなことは知っている。
けれど私は、誰かを必要としてもいいのだろうか。
それが、私の悩み。

「大丈夫、ですか?」
丘の上、ただじっと街を見つめていた私に、彼が声を掛ける。
背広を着込んだ彼と私は特別に親しいという訳でもなかったが、
「…ええ、多分」
視線はずっと下にある街へ向けられたままで、私は曖昧に返事を返す。
彼といえば、それに僅かに笑って私の隣へと腰を下ろした。
そして、彼はやっぱり笑う。
「何をして、いるんですか?」
「…別に…、見てるだけ。この街を」
軽く視線を落として、私は答えた。
そう言うと、彼も私と同じようにして食い入るようにしながら丘の下を覗き込む。
「楽しいですか?」
「…ええ」
そう答えると、彼は黙った。流れ出す沈黙。
私は別に慣れたものだったから、気にも留めずにまた、変わりもしない風景を眺める。
ちらりと横を見ると、彼は何か、考え事をしているようだった。
「…何、してるの?」
質問ばかりしていた彼へ、今度は私から。
彼は驚いたように一瞬目を見開いて、それから優しく微笑んだ。
「貴女の気持ちが、少しでもわかるかなと思って」

私は俯いた。
わかるわけがない、なんて言う気もなかった。
そんな笑顔で言われたら、何も言えなくなってしまう。
その場の空気が私の気持ちを映してしまわないように、私は少しだけ間を空けて「……そうね」とだけ言った。
彼の笑顔は優しかった。彼の心は優しかった。だから…、だから攫ってしまいたくなった。
「…ねえ」
「はい?」
「…もっと、楽しいこと、しない?」
彼が首を傾げる。
こんな風に言う私を、彼は知らないからだ。
彼が知っているのはトラウマを抱えた私。無口でどこか鬱な私。根暗な14の私。
決して、微笑んで話しかける少女なんかではなくて。
彼が動揺しているのがわかっているから、私は彼の頬にそっと掌を沿えた。
彼が私の瞳を見る。私も彼の瞳を見る。視線が合う。
それが合図であるかのように、私は彼にキスをした。
私は別に初めてでもなかったから、鼻で器用に息をしながら彼の閉じた唇に舌を割り込ませる。
彼はびくりと身体を震わせたから、きっと驚いたんだと思う。
それでもそんなことはお構いなしに滑り込ませた舌は、抵抗した彼のものを無理に巻き込んで絡められた。
口内で跳ねる唾液がいやらしい。
絡めることを自らしようとしない彼の舌を軽く吸い上げて、彼の歯列をなぞる。
「…っ、ん…!」
小さく声を漏らした彼は、凄く、可愛かった。

彼の口内は気持ちがよくて、キスだけで止めてしまいたいと思えるものだった。
けれど、私自身も体温が上がっていることに気付いたから、最後に一瞬彼の唇を啄ばんでから、唇を離す。
だらしなく座り、半開きの口で大きく息を吸う彼を、私は黙って見下ろしていた。
「…っは、は、はぁ…、何、を…?!」
ようやく状況が理解できたのだろうか。
顔を真っ赤に染めながら呆然と私を見つめる彼の頬に、愛しさを込めてキスを落とす。
「何、って…キス」
「そんなこと、じゃなくて…!!」
「…ええ、判ってるわよ」
だからあなたも判っているのでしょう?
これぐらいで私が、止まらないことぐらい。
それとも、まだあなたは、"私"に期待を持ち続けるつもりなのかしら?
もう一度唇を寄せて、私は自分の手を彼のズボンへと引っ掛ける。
ベルトなんていちいち外している暇はない。できるだけ早く、こなしてしまわなくては。
「ん…っ、ん!」
下着越しに彼自身へと触れる。
勃ち上がるなんて大きな反応は無かったが、それでもそこは確実に熱を持っていた。
右手でそこを弄り、空いた左手で彼のネクタイとYシャツを緩めて、覗いた白い首筋を優しく撫でる。
篭った嬌声が漏れると同時に、私から笑みが零れた。
「…可愛い」
「っは!な、にを…ん…っ」
彼の下着の中へと手を滑らせる。
半分ほど鎌首を持ち上げた彼自身は快感を与えるごとにその体積を増し、ぬめる亀頭を強く擦りあげた。

「…!!」
声にならない悲鳴が、彼の口から零れた。
それがあまりにも面白くて、…可愛くて、私の口元は加虐に歪んだ。
快楽に抵抗して必死に上体を起こそうとしている彼の口元に、私の人差し指をそっと当てる。
小さい子供にする"おとなしくしていて"の合図に似た、それ。
私は彼の股間に顔を埋めるよう四つん這いになり、自己主張の強いそれを躊躇うことなく口に含んだ。
「ん…っ、ん、むぐ…」
熱くて、ごつごつとしたそれは私の口内を犯していく。
滲んだ先走りの汁が溢れて、それを上目遣いで彼の瞳を覗き込みながら啜ってやると、彼は可愛らしくいやらしい表情を浮かべた。
思わず緩みそうになった頬をぐっと締めて、今度は震える肉棒を喉の奥まで咥え込む。
彼にもそうだけれど、それを行った私の身体にもそれは急激すぎて、嘔吐を覚えたけれど、無視して続けた。
溢れ出す私の唾液と、彼の先走り。
口の中で舌を絡める度に、律動的に口内を行き来する度に大きい水音が立つ。
辺りに渡る淫らな響きに興奮していた。彼も…私も。
「ふぅ、ん…ちゅっ、はむ…っ」
私の唇が唾液と先走りの液体でべたべたになった頃、彼のそれは更に体積を増し、私の喉へと突き刺さる。
快楽と理性の狭間で彷徨っている彼の瞳はどこか虚ろで、でも深い色をしていた。
この場に立ち止まっていなければ、何かに掴まっていなければ、吸い込まれそうなくらい深い色。
吸い込まれるのが…堕ちていってしまう事が怖くなって、私は目を逸らし、彼自身を強く吸いながら律動した。
私が今まで相手をしてきた男の中で、今私がやっているこの方法を受けて達さなかった人なんて一人もいない。彼も、例外ではなかった。
びくびくと震えるそれは必死に快楽を堪えていて、今にも射精してしまいそうなほど熱を持っている。
けれど、そんなことさせてあげない。
「っ、ちゅ…、…ふふ」

私はそっと彼のものを口内から解放し、最後に愛しさをこめてキスを贈る。
刺激の与えられなくなった彼のものはただ切なそうに、震えて雫を落とした。
「出すんならこっちに…ね?」
そう言って私はワンピースのスカートを捲り上げる。
愛液が溢れ出す。量が多かったので、下着はさっき取っ払った。
おかげで、ふわりとスカートから秘所を晒しだしたときに、女の匂いが辺りに漂う。
彼の喉がごくりと鳴った。彼も我慢できないのだろう。それは私も、同じ。
今すぐにも淫楽に溺れてしまいたい。
けれど焦りは禁物。邪魔者はいない…大丈夫、失敗なんてありえないのだから。
「ん…っ、しょ…っと、は、ぁぅ…!!」
彼の下半身へと跨って、ゆっくりと腰を落とす。
卑猥な水音を立てて少しずつ飲み込まれていく様子が、凄くエロティックだった。
彼のものを一心に舐めつつも弄くり続けた私の秘所は、難なく彼自身を飲み込み、ぎゅっと強く締め付ける。
それは彼にとってとても気持ちの良いものであると思うし、満たされる私としても快楽を生み出すそれは気持ちがよくて…むしろ快感が、強すぎるくらいで。
圧迫感に堪えられなくて、思わず吐息が零れだした。
「ん、ねえ…、きもち、っいい…?」
彼は、息を大きく吐きながら私の問いに瞳で答える。
はっきりとはわからないけれど、彼はこう言った。「気持ち良い、だから、もっと」と。
可愛らしいおねだり。答えないなんて、そんなの勿体なさすぎる。
彼のものでいっぱいで、隙間なく満たされた私の中で彼のものがびくりと震えた。
動いて、欲しいらしい。
「ぁ、ん…!動、くね…」
騎乗位で、上下運動はかなりの体力消費になる。
深く繋がれ、女が主導権を握れるこの体位は正直言ってあまり好きではない。理由?面倒だから。
けれど、目の前の快感が手に入るのなら。
そんな努力なら、そんな体力浪費なら、喜んで。
「っは、ミ、ミさ…っ!」
快感によってなのか、彼の意識が不意に戻ってきたらしい。
私としては喜べばいいのか悲しめばいいのか…よく判らないが、なぜだろう、途切れ途切れに呼ばれた私の名前の響きが妙に愛しかった。
「ひゃ、っは、あうん!な、ぁに、アンテナ売り…さんっ!」
ちょっと前に上体を倒して、彼の顔を覗き込む。
上がっていく体温に、荒くなった吐息が二人分混ざり合って、何とも言えない雰囲気を醸し出していた。

「っ、どうして、こんな事…!!」
彼のその言葉を聞いて、思わずはっとした。
だけど私は、知っているなかでの一番優しい顔で微笑んだ。
「…そんなの、決まってるじゃない」

「                 」

律動のペースが速められる。
それと同時に彼の腰も動き出していて、最奥を叩かれる感覚に身悶えた。
私も彼も、限界だった。
「ぇ、あ、ミミさ、ん…!も…っ」
「うん、うん!わた…しも、イっちゃ、っや、あ―――っ!!」
奥に注がれる感覚を久し振りに感じる。
打ち付ける精液が私の子宮を満たしていって、それがひくひくと蠢く私の秘所から逆流して下肢を伝った。
「…っは、ぁ…ふ…ぅ」
快感がまだ帯を引いている。
そのままの体制で彼に別れのキスをして、私は腰を浮かせてゆっくりと彼自身を引き抜いた。
中からさらに精液が溢れ、私の愛液と混ざり合ったそれが私の太腿を、脹脛を、そして彼の足まで流れる。
彼の膝に落ちたそれをぺろりと舐め上げて、彼の表情を伺うと、彼は…
笑っていて。
「返事、くらい…させてくださいよ」
そう言った。

「あなたが好きだから、ただそれだけよ」
確かに私はそう言った、その言葉に偽りは無い。
けれど、過ちを犯しているのに、認められる想いではなかった筈、なのに。
「私だってミミさんのこと…好きなのに」

「…正気?」
「正気です」
「嘘だったら殺すわよ」
「嘘じゃないので私が死ぬ理由はありません」
「…冗談なら、やめてよ」
「冗談じゃないのでやめません」

彼の瞳は真っ直ぐに私を見つめている。
この目は、嘘をついていない目。
私はこの人を、愛してもいいのだろうか。
結構いい人なこの人を、好きになってもいいのだろうか。
「ええ、どうぞお好きに」
広げられた胸に、飛び込んでもいいのだろうか。

だから私は、まだ迷っている。

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