フューちゃん×D


 拝啓、親父様、おふくろ様。
 あなた方の息子は今現在進行形で、変なのに懐かれています。

「○*+(%!」
「は?」
「#”=?>、{」
「だから、何言ってるんだか全然わかんねぇんだけど」
「〜〜〜〜〜!」
「いたっ、痛いっ!馬鹿、やめろ!」

 14回目のパーティーの時に「お前と一緒のグループだから」とぽいっと渡された未来人。
 フーだかフューだか知らんが、とにかくコイツは俺の後ろをついてくるのが好きらしい。
 そのせいで街中でもよく目立つし、ダミやんには馬鹿にされるし、しかも言葉は通じないし…。
 散々なだけでいい事なんて一つもない。

 仕方なく、俺はその未来人をどうにか正座させ、説得を試みる。

「あのさ、お前俺の後ろついてくるのやめてくれない?邪魔なんだよね、はっきり言って。
 身体でけーし、オマケにその蛍光緑と黒のカラーリングだろ?否が応でも目立つんだよ」
「¥−^:。」
「それに言葉伝わんねーだろ」
「……」
「お前が普通の人間だったらまだ良かったんだけどなぁ」
「……・*}{@?!」
「だからわかんねっつの」
「■$Д◎〜!」
「あっ、どこ行くんだ!勝手に…!」

 未来人は突然立ち上がり、ドアを開けて外に飛び出す。
 バタンッ、と目の前のドアが閉まるのを俺は呆然と見ていた。

 結局、夜になっても未来人は帰ってこなかった。
 まあアイツの事だし、目立つからパーティーの参加者の1人くらいには見つけてもらえるだろ。
 そう思ってその日は早々に寝る事にした。

―次の日―

「D!D!起きてー、起きてー」
「っせーな……今日は土曜だから寝かせろ…」
「Dィ!」
「だからうっせっつってんだろうが!」

 がばっ、と勢いよく飛び起きて声の主の胸倉を掴む。
 そしてじとりと睨みつけると声の主は声を上げて泣き始めた。

「うわぁぁん、Dが怒ったー!」

 その時初めて、凄まじい音量で泣き叫んでいるヤツをよく見る。
 緑色の髪の毛に上でまとめてある団子髪は黒。
 服は黄緑(目に痛い。蛍光色?)と黒のツートーン。

 …何か、
 どこかで見た。
 こんなカラーリング。

 しかし今の安眠を邪魔された俺には関係ない。

「お前誰だよ!不法侵入で訴えんぞ!」
「フューだもん!フューちゃんだもん!」
「ハァ?!」

 【フューちゃん】
 あの未来人の名前だ。
 確か由来は何だっけ?【FUTURE】の【フュー】じゃなかったっけ?

 って違う違う。
 今思い出すのはここじゃない。

「馬鹿も休み休み言え!フューの野郎はこんな小さい子供じゃねーよ!
 もっとでかくてなぁ!言葉も通じなくて俺の後ろを着いて回るぶっちゃけ邪魔臭い未来人で…」
「ひどいー!フューちゃんそこまで役立たずじゃないもん!」
「……お前、本当にフューか?」
「さっきから言ってるのに!
 フューちゃんだよ、Dが人間ならいいのにって言ったからね、神様に頼んだの!
 これならDも後ろついてあるくの許してくれるよね!」

 にこにこと緑髪の女とも男ともつかないチビは笑う。
 俺は一気に脱力して頭を抱えた。

「何か変な事はされなかったよな」
「変なことってたとえばー?」
「…その様子じゃされてないようだな」
「?」
「で。その人間の姿になった所でどうするんだ?」
「Dの後ろついてってもいいよね!」
「駄目。その姿だと今度は俺が誘拐犯だとかロリコンだとか騒がれるから」
「ねーねー、ロリコンってなにぃ?」
「知らないならいいや」
「Dが知ってるならフューちゃんも知りたい!」
「別に覚えてても意味ねぇから」
「あ、でもねー!」
「何」
「神様がいーこと教えてくれたよー!教えてほしいー?」
「…あんの神だからよからぬ事のような気がするが…まあ言ってみろ。ただし、言うだけな。
 それを実行に移すと大体が犯罪モンだから気をつけるんだぞ。というか変な人についてっちゃいけません」
「そうなのー?」
「ま、ものっすごく低い確率で例外もあるがな。で、何だ?」
「Dびっくりするって神様言ってたよ!」
「だから何だ」
「人間同士のセックスの仕方ー!」
「あんの馬鹿神―――ッッ!!!」
「あ!やっぱり驚いた!」
「当たり前だ!何教えてんだか…ったく…今度会ったらぶっ殺してやる」
「駄目だよー、神様がねー、年上はうやまえって言ってたもん。ところでうやまうってなーに?」
「知らんでいい。つーかあれには敬う価値がない」
「ふーん」
「まぁ、…これから必要な知識かどうかは俺には全然わからんが…。
 そういうのはあまり人に言わないんだぞ、恥かくのはフューだからな」
「Dがそういうならフューちゃん誰にも言わないよ!」
「よし」

 ぐしぐしと乱暴に頭を撫でると嬉しそうな顔をする。
 しかしすぐにその顔は、元に戻った。

「あ。もう一つあった」
「何だ」
「でもD、また怒っちゃうよ」
「………何だ、言え」
「あのねぇ」

『―――――』

「………!!!」

 俺はその言葉を聞いて血の気が引く。
 そしてフューの方を向いて、硬い顔で笑った。

「嘘だよな?」
「え、だってフューちゃん、Dだいすきだもん」
「そんな事しないよな?」
「だって神様が愛し合ってる2人はって」
「フューはいい子だよな?俺の言ってる事わかるよな?」
「もちろんだよー!」
「じゃあどうしてお前は俺ににじり寄ってるんだ?言ってみろ?」
「だってね、フューちゃんはDがだいすきだから…むぐっ」

 どうにか距離を保とうとして、とっさにフューの頬を突っぱねる。
 しかしそれでもフューはジリジリと距離を縮めてきた。

「いい子はこんな事しないよなぁ?!」
「抵抗は無駄だよー、フューちゃん力持ちだからー!」

 腕をがっしりと掴まれ、いとも簡単に組み敷かれる。
 馬乗りになってきたチビはまたにっこりと笑った。

「えへへー。ねー?無駄だったでしょー」
「お、おいっ、コラッ、フュー!退けって…!」
「D大好きだよ〜〜!」

 すりすりと頬擦りをしてくるが全然今の状態からすると可愛い行動ではない。
 むしろ恐怖をあおるだけ。
 流されまいと朝っぱらとは言え大声を上げる。

「お前が好きでも俺は今のお前が大っ嫌いだー!退けー!」
「だいじょーぶだよ〜、フューちゃん、何だかいれるものってついてないらしいし〜」
「大丈夫じゃねぇー!」
「神様が『やさしくしてあげるから』って言えば平気だって言ってたよ〜」
「全然平気じゃねぇー!」
「D〜〜〜〜〜!」
「いや、ちょっと、俺、そんな趣味、は……ぎゃあぁあああぁあぁぁぁぁあああ――――ッッ!!!」




「……どうしたの?元気ないようだけど」
「どうしたもこうしたもねぇよ…俺生きてく自信がなくなった…」
「それはいけないな。よし、D君。もっと自分を愛するんだ、そうすれば自信が溢れてくるよ」
「お前はどっか行け」
「あれ?そういえばフューちゃんは?」
「知らん。あんな悪い子なんて知らん。…ぅうっ……」
「相当嫌な事があったみたいだね」

「ちょっと神様ー!Dが怒って口きいてくれないんだけどー!神様の言う通りにしたのにー!」
「え、お前、マジで実行したの?」
「へ?」


 フューちゃんが騙されたと気付くまでに2日を要し、
 Dが完全に立ち直るまでは3週間を要した―――

 と誰かが言っていた気がする。

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