2st×シャムシール


笛の音が止んだ。


「ふぅ…危なかったが、ギリギリ…か」

ツーストは荒げた息を整えた。視線の先には、拍手をしながら柔らかく微笑む同じグループの少年が居る。

「お見事。腕を上げましたね、ツースト」
「いや、まだまださ。大体お前まだ本気出していないだろ」
「解りますか?」
「始終そんな余裕の表情をされているんじゃ嫌でも気付くさ」

ツーストは小さく溜め息を付くと剣を鞘に納めた。
終わった勝負の事はもういい。今考えねばならないのは次の相手だ。あまり時間の猶予も無いのだから、尚更。

「次ぐらいは本気を出してくれよ」
「ええ。考えておきます」

挨拶を交すと若は羽衣を身に纏い、ふわりと─…と言うにはあまりに煩いジェット音を鳴らして宙に舞う。それから軽く頭を下げ何処かへと消えた。


(…さて)

息抜きがてらに肩を回す。辺りを見渡し、次の相手は誰にしようかと思案した。
新たな参加者とは一通り対戦したし、かと言って残された時間では昔の参加者の所には届かない。
さて、どうしたものか─…と頭を悩まされていたその時だった。

「…?」

僅かながらではあったが殺気を感じとり、素早く今居る位置を離れる。
その瞬間、さっきまで彼が立っていた場所には曲刀が突き立てられていた。

「…な!?」

腰の剣に手を添えて何時でも引き抜ける様に第二波へ備える。辺りへの警戒を強める。しかし、二撃目が来ることは無かった。
その代わり、突き立てられた曲刀に向かう人影が現れた。


「ほう。避けたか」


「は……」

ツーストの想像とは違い、現れたのはかなりの美女だった。肌を覆う布は少なく、その衣装は豊かな胸と形の良いヒップを強調するように見えた。
見ない様に気を払ったが、男である以上幾らかの視線は其処に向かう。周りの人間もそうだ。けれども彼女は視線を受け流し、剣を引き抜き彼の元へと歩みを進めた。

「お前は…誰だ?名を名乗れ」

混乱する頭で、とりあえず疑問をぶつけた。昔からの参加者でもなく、かと言って新たな参加者の中に彼女の姿は無かった筈だ。
見知らぬ相手が以前のパーティでの若の立場──通常隠し、だとか何とか神が言っていた──と同じだと言う事に何と無く見当が付いてはいたが。


「私の名か。これと同じだ」

彼女はツーストに向けて剣を構えた。これとは即ち彼女が構えた剣を指す。

「…シャムシール、か」
「ほう。良く知っていたな」

シャムシールと名乗った女は口の端を吊り上げ艶やかな笑みを浮かべる。ツーストは腰に差していた剣に手を掛けると、それを一気に引き抜いた。

「御相手願おう」

彼女の声に、ツーストは自信あり気に応えた。

「ああ、無論だ」






二人が剣を交えて暫くの時間が過ぎた。

二人の戦いぶりは周りの者の視線を集めて離さなかった。一進一退、ほぼ互角の戦いである。
ツーストが追い詰めては彼女が避け、シャムシールの一撃を彼は軽く受け流す。

二人の戦いはこのまま鬱着するかと思われた。しかし、彼らには歴然とした腕力の、また体力の差があった。


「くッ…」

シャムシールが振るう剣の勢いが欠け、足の運びにもつれが生じ始める。観衆にも、彼女の表情に焦りの色が浮かんでいるのが見て取れた。

(あと少し、だな)

対してツーストには目に見えた変化は無かった。多少息は荒くなっているものの、まだ余裕は残っている。

あと少しだけ時間を稼ごうと、ほんの僅かに考えた瞬間だった。


「もらった!」

剣を振り上げる彼女を目の端で捉えた。

「な…!!」

ツーストは慌てて剣を振り。
勢い良く相手のそれにぶち当てて、彼女の剣を弾き飛ばした。


「あ……」


カラン、と、床に剣が転がる音。
びりびりと腕の痺れる感覚を味わうシャムシールの遥か後方に、曲刀が落下した。

「勝負あったな」

ツーストは剣を鞘に戻し、安心した様に軽く息をついた。今の一撃は危なかった、などと考えながら。
剣の方へカツンと靴を鳴らしながら歩いていくシャムシール。彼女は歩きながら、髪を束ねていたターバンをそっと外した。バサリと美しい黒髪が揺れた。

ツーストはその髪に目を奪われた。綺麗だ、と思った。髪だけではない、彼女という存在が美しいと思った。


「おい」

彼女の言葉にハッと正気を取り戻す。すっかり見とれてしまっていたのだ。
シャムシールはツーストを見据え、柔らかく微笑んでいた。

「次こそは必ず勝たせて貰うぞ」

それだけ言うと彼女は踵を返した。慌てて彼女を追おうとしたが、何故かうまく足が動かなかった。

「待て、シャムシール!」

ツーストは必死で口を開き、そう叫ぶ。
彼女は足を止め、顔だけを此方へ向けた。


「何だ?」
「どうすればまたお前に会える?」
「…そうだな」

彼女は再び微笑んだ。それは先程彼が美しいと感じた笑顔のままで、見た瞬間に胸が跳ねたような感じがした。

「舞を。美しい踊りを見せてくれ」


ツーストは、去って行く彼女を追う事はしなかった。ただ遠くなる背中を見つめていた。彼女の残した言葉の意味をずっと考え続けながら。

それから暫くの時が流れる。


「あの時は面白かったぞ」
「…は?」

隣に居る女の髪を撫でながら、ツーストは間の抜けた声をあげた。
女は艶やかな笑みを浮かべ、少し悪戯の様な口調で言う。

「うぬがまだ私に会う為の方法を知らなかった時の話さ。ずいぶん必死だったな…私がくれてやったヒントの意味を見事に間違えて、あの和服の少年に惨敗していた姿はなかなか笑えたぞ」
「…必死で悪かったな。お前に会いたくて仕方無かったんだよ」
「ほう?」

舞を、踊りを。
その言葉にそれこそ踊らされたツーストは色々無駄な試みを続けた。
全くその気が無かったフォースが偶然彼女と出会えたと聞いた瞬間に、奴の胸ぐらを掴み上げ前後に高速でシェイクのちシェイクを繰り返したりもした。
そんな風に右往左往する様子は、彼女にしっかりばっちり見事に見られていたらしい。

「ところで…その、『うぬ』と言う呼び方は何とかならないのか?」
「染み付いている物を今更どうしろと。そんなに不服か?」
「不服、って訳では無いが…どうにも気になるんだよ」

どうしようもなく気恥ずかしくて彼は話題をすり変えた。
クスリと笑う彼女の笑みはやはり綺麗で美しくて、文句を言った筈のツーストの表情は綻んでいた。

「仕方ない。嫌がられてしまうのでは元も子もないし…どうにか別の呼び方も考えてみよう。…ええと」


「ツースト」

彼女が名を呼んだ時に急に無表情になったのが、ツーストには照れ隠しにしか見えなかった。


彼女の柔らかい体を抱き寄せて、貪る様に唇を重ねた。互いに慣れた仕草で腕を絡めて、吸い付く様に舌を絡める。

「ン…」

唇を離し、首に絡めていた手を緩める。
彼女の体をゆっくりとベッドに押し倒し、シーツの上で散らばる黒髪の一房を掬い上げて唇を寄せた。そんな事ばかりをするツーストが焦れったく、また見ていて気恥ずかしかったから、急かす様に身をよじった。

「そう焦るな。すぐにそれどころじゃ無くなるんだから」
「…随分な自信だな」
「お前の前だからな。…シャムシール」

名を呼ばれ視線を外したシャムシールをうつ伏せに横たえ、剥ぐ勢いで服を脱がせていく。
現れた大きく熟れた二つの果実に手を伸ばし、適度な力でそれを揉みしだいた。

「っふ、ン…」

快感に震えるシャムシールの耳に舌を這わせ、固くとがった乳首を摘み上げる。強く力を入れればびりびりと大きな波が来て、弱い力を入れればじわじわ痺れる様な快感に襲われ、彼女の体が跳ねた。

「はぁ…あ、あぁっ」

切なげに漏れる吐息を耳に感じながら、ツーストは既に濡れそぼった彼女の中心へと手を伸ばす。溢れた愛液を指で掬って絡め、ゆっくりとクレヴァスをなぞる。

「あっ!ひゃ…ああん…」

ぬるぬるとした感触を楽しみながら、ワレメを二本の指でぐちゅぐちゅと突き刺す。それでも未だに膣内には触れず、柔らかな肉に挟まれるのみ。
焦れったい愛撫に、思わずシャムシールの腰が揺れた。

「いや、そんなのばかりっ…早く、早くして」

切羽詰まってもどかしそうに見上げてくる彼女の望みのままに指を蜜壺の入り口へ添える。次から次へと溢れ出てくる蜜から滑りを拾い、指をその奥へ捻じ込んだ。

「はぁ…ん…」

シャムシールから、一際切ない声が漏れた。
早くより大きな快感を得るため、彼女は自分から腰を振った。対してツーストは決して手を動かさず、ぐちょぐちょと音を立てながら掻き回されるのをじっと見ていた。
そこはきゅうきゅうに収縮して、指をキツく絞め上げたが決して窮屈では無かった。指を離すまいと涎を垂らしてただ貪欲に食らいついているようだ。

「随分積極的なんだな」
「悪い、か…っんんん」
「いや?そんな事は無いが」

言いながらゆっくりと指を引き抜き、もう片方の手で怒張した男根を取り出す。
手に残っていたぬめりと先走りの汁を塗り込めて、ツーストは彼女の入り口にそれを押し付けた。

「女は素直な方がずっと可愛い、さ…」
「ぁ…あぅあああ!」

ぷじゅ、と水音がして、シャムシールが求めていた快感の波が押し寄せてくる。始めこそ何の前触れも無く挿入されたモノに目を見開いたが、すぐに順応して彼に身を任せた。

「はぁ、あんッ、んんあああ!」

シーツをたぐり寄せてしがみ付き、大きな皺を作る。彼女の声をもっと聞きたくて、ツーストは一層強く腰を打ち付けた。

ヒダの一枚一枚が彼を包み込むように絡みついてくる肉壁。濡れて熱を持ち収縮を続けるその場所を何度も何度も出入りし、彼女の内部を大きく捲る様に打ち付ける。
その度に目の前が真っ白になる程の快楽と引き裂かれそうな痛みとを同時に感じながらも、シャムシールはより大きな快感を得るため腰を振った。

「あぁっ、はぅ、ツー…も、もう…ッ」

ふるふる…と首を振った。黒髪が舞う様に散らばる。一部は汗で顔や背中にへばりついていた。

「解ってる」

言いながら、ツーストは今まで敢えて触れずにいた彼女の敏感な肉芽に手を伸ばす。

「いっ…!!ふぁあ、あああああん…」

内側から一杯にされる感覚と電気の様にびりびりと広がる刺激に同時に襲われ、がくがくと足が震えた。
もう限界なのは二人とも同じだった。早く絶頂を迎える為、獣の様に腰を振り続ける。

「ツー、出せ…私の中に全部…受けとめるから…だから、早くっ…!!私、もう…」
「あぁ、俺もだ…!」

直後、熱い奔流がシャムシールの中で弾けた。

「ああ、あ…ん」

絶頂にびくびくと震え締めつける彼女の中に、堪らずツーストも精液を叩き付けた。最後の一滴まで搾り出そうと収縮する肉の感触を味わいながら。

「ツーは本当に私の髪が好きだな」

自分の髪に触れている彼を見つめながら、シャムシールは呆れた様な声を出す。二人で共に居るときの彼はいつもそうで、ずっと髪に指を絡めているからだ。

「余りに綺麗だからな」

そうい割れれば悪い気はしないので好きにさせて居るのだが。


「あの時から目に焼き付いて離れないんだ」
「…ん?」

それまで彼女はツーストの腕の中で彼に背を預けてぼんやりとしていたのだが、不意に降って来た声に顔を上げた。
その瞬間に強く抱き締められ、彼に縫い止められたかの様に密着してしまう。

「な、何だいきなり。ツ…」
「綺麗だったんだ。凛とした声も姿も…髪だってそうだ。生涯であんなに美しいと思ったのは今のところお前だけだ」




「この年にもなって一目惚れだなんて、馬鹿な話だとは思うんだがな」

自嘲気味に笑うツーストに、シャムシールは自分から唇を重ね合わせた。
「私も同じなんだ」と伝えるために。



私だって。
初めて会ったあの時から、ずっと目に焼き付いて離れなかったんだ。




【終わり】

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