スミレ、散華


何がどうしてこうなったのか?
私は自問自答したけれど、いくら頭を振り絞っても回答不能。

「くーでたーでーす」

友達であり、手下であり、同じ野望に向かって邁進する仲間。
……であると思ってた。つい昨日まで。

「われわれはー、たいぐーのかいぜんをもとめてー、けっきするものでありまーす」
「おやすみはー、しゅうふつかー」
「さんしょくおひるねつきー」
「おやつもー」

それってクーデター?
違うだろ。
大体、週休二日、三食昼寝オヤツつき、なんて何処の保育園だ。
どうせ聞きっかじりの言葉を使ってみたくて、遊んでるんでしょう?

そう思いたい。
思いたい。
……けれど。

「スミレさま、『いい格好してるな』ですー」
「つぎはつぎはー?」
「えとねー、『こいつをブチ込まれても、その平然とした面を保ってられるかな?』だってー」
「うひゃー、えっちぃー!」
「きゃー」

どこから拾ってきたのやら、めっちゃくちゃ偏ってそうな本から拾った知識でもって『決起』したこいつら。
無邪気さは相変わらずだけれど、だからこそ、怖い。
だって私は知っている。
その無邪気さで、こいつらは私の悪事の片棒を担いできたんだから。
ガキそのものの思考回路の癖に、知識だけは豊富で。
だからこそ、性質が悪い。

「と、いうわけで、スミレさまー」
「これからー、ぼくたちの『こいつ』をー」
「『ブチ込ませて』もらっちゃいまーす」
「きゃははー」

できるのか?
ホントにできるのか?
……いや、そんなことはこの際問題じゃない。
私が認識しなきゃいけないこと。

それは、確かにこいつら――黒ミミうさぎ団員達が本気であること。
そして、私――スミレがこいつらに捕えられてしまっていること……だ。

「ねねね、ボク、おもいついちゃった」
「なにー?」
「スミレさま、『こすぷれ』すきでしょ」
「すきだー」
「『りくぐん』とか、『かいぐん』とかー」
「『くうぐん』もやったー」
「だからさ、ボクたちでスミレさまに『こすぷれ』したげよーよ!」
「さんせーい!」

私のアレはコスプレじゃない。
れっきとした、自己の意識を高め、より研ぎ澄ます為の戦闘服だ。
イニシエーションなのだ。
そう伝えたい。
だけど、たぶん今のこいつらに何を言った所で理解はしてもらえないんだろうと思う。
嬉々として団員共有の衣裳部屋に飛び込んでいく連中の姿を見れば、それはたぶん正しいのだろうと私には感じられた。
そんな戯言では、彼らを止められないだろう。

「あったー、『メイド服』−!」
「メイドさんだメイドさんだー!」
「ボクたち『ご主人様』だー!」

おいおい、どっからそんなもん持ってきたんだよ。
その時はまだ、素直にそう感想を抱けるほどには、私は冷静だった。
だけど、

「ぬがせぬがせー!」
「ぱじゃまー!」
「わー!」
「てーこーはむりょくだー!」

ご丁寧に私の戒めを解き、しかし身動きできないようにがっちり両手足を押さえつけ、
あまつさえ私の身体を覆っている布切れを強引にむしり取っていく彼らの姿を眺めているうちに、
そのわずかな余裕さえも私の中から消え去っていった。

「スミレさま、『のーぶら』だー」
「おっぱいだー」
「おぱんつ、かわいーなー」
「もえもえだー!」

戦は多勢を以ってせよ。
兵法の初歩の初歩とも言えるだけに、私が常に実践を心がけていたこと。
逆の立場に立たされれば、こうも心細いものなのだろうか。
なまじそういうことに手を染めているだけに、私は抵抗が無意味であろうことも知ってしまっているのだ。
そして、悪いことに、そんな心境がさらに私自身を挫けさせ、手足を竦ませる。
わずかに残っていたかも知れない、状況打開の可能性でさえ失わせていく。

「よーし、きせろー!」
「きせろきせろー!」
「メイドさんだメイドさんだー!」
「『ごほうし』してもらおー!」

だから、メイド服を着せられている最中も、私はろくな抵抗さえできなかったのだ。
着せ方は非道く乱暴だった。
まるで女性の取り扱い方を知らない。
それはそうだ。私はそんなこと、仕込んでいないもの。
教えたのは、どうすれば捕虜の心を砕けるか。逆おうという気力を削ぐことができるか、それだけ。
確かに、優秀な部下ではあるのだ。
今、その手練手管は私に向けられているのだけれど。

「なめろー!」
「しゃぶれー!」

四方から突き出される彼らの『モノ』。
ぬいぐるみのような外見の体からそれがにょっきりと生えている姿は、不恰好で気味が悪かった。
その姿が示すのは、連中が本当に、言ったことを実行できるのだという事実。
私の末路。
それを知って、私の恐怖はさらに増す。
「……い、嫌っ!」
私は思わず口をつぐんで顔を背けた。
しかし、ばちっ、という音がして、私の頬が張られる。
いつの間にか、私の肩に二人、頭の上に一人、団員が乗っていた。
彼らがやったのだ。

「いやじゃないのー」
「ボクたちがやれ、っていったら、やるのー」
「ボクたち『ご主人様』ー」
「スミレさま『メイドさん』ー」
「『ご主人様』のめいれいはぜったいだぞー!」
「ぜったいだぞー!」

肩口の二人が私の顔を掴み、ぐい、と正面に向き直らせる。
それから顎を無理やり開かせ、そのまま閉じられないように固定する。

「ボクいっちばーん!」

名乗りを上げたのは、いつも最先鋒を務める血気盛んな団員。

「えー、ずるいー!」
「ずるいー!」

周りから非難の声が上がるが、彼はそれを無視して私の顔に飛びついた。
そして、開け放された口の中に剛直を押し込む。
「むぐぅ……ッ!!」
獣臭が私の鼻をつく。
そこだけの中途半端な生々しさが、かえってグロテスクだと私は思う。
彼は私の髪を掴み、思うさま揺さぶった。
動かせ、ということなのだろう。
私はいやいやをするように首を振り、かすかな抵抗を試みる。
そんな私の頬がまた張られる。

「スミレさま、じぶんのたちばわかってねーなー」
「さからえるたちばじゃないよねー」

再び、頭上からフェラチオを促す仕草が起こる。
私は仕方なく、言われるがままに首を前後に動かす。
けれど、男性と経験を持ったことすらない私にこんな卑猥な行為を要求されても、まともにこなせる筈がなかった。
自分でもわかるほどにぎくしゃくとぎこちない。
しかし、彼らはそんな言い訳さえ許してはくれないようだった。

「ぜんぜんきもちいくないでーす」

モノを咥えさせている一人の言葉をきっかけに、周りにいた団員達が挙って私の身体を殴り始める。

「ちゃんとやれー!」
「ほんとにじぶんのおかれたたちば、わかってんのかー!」

わかっている。これ以上ないほどに、わかっている。
けれど、できないことはできない。
男に快感を与える方法なんて知っているはずがない!
拒む私。
それに業を煮やしたか、顔面の彼が舌打ちするのが聞こえた。

「しょーがないなー。じゃ、ボクがじぶんでうごくから、スミレさまはおとなしくしてるんだぞー」

言うが早いか、彼は猛然と腰を振り始める。
肉の棒が私の喉を激しく突いた。
「んぐっ……、んぅっ……、んんんッ!!」
痛い。苦しい。
涙が零れる。

「スミレさま、ないてるー」
「よわむしー!」

周囲からどっと笑いが起こった。
その冷たい嘲りの声に、私は打ちのめされる。
救いなど、ないのだと知る。

口に突き立てられたペニスは、尚も激しく動き続けていた。

「いーなー」
「ボクも、もうがまんできなくなってきたー」

最中、私の耳がそんな呟きを拾った。

「だめー! もうこれいじょーむりー!」

誰かが言う。
直後、床に置いた私の手が握り拳の形に直され、その誰かのモノがそこに挿し込まれる。

「ずるーい!」
「ボクもー!」

それがひとつの合図だった。
堤防が決壊するように、一斉に団員達が私の身体にまとわりつく。
そして、各々勝手にスペースを見つけては、それぞれの男性を滑り込ませ始めた。
両手。
脇の下。
太股とふくらはぎの間。
いや、肌に接してさえいればいいというように、ただ先端を触れるだけの者までいる。
果てに頭上と肩の三人は、髪の毛を手に取り、それで自分自身を擦っているようだった。

「さわさわして、きもちいいー」
「あたらしいはっけんだなー」

冗談じゃない。
私は思う。
されている側は不快なだけだ。
しかし、口は塞がれ、たとえ声を出したとしても殴られるとあっては、そんな不快感など押し殺すしかない。
私は全身が総毛立つのを感じながら、ただ嵐が過ぎ去るのを待った。

「あっ……」
「あはっ……」
「んーっ……」

五分か、十分か。それとも、もっとか。
次第にまとわりついた団員の口から、喘ぎに似た声が漏れ出すようになる。
口のモノからはじくじくと先走りの汁が漏れ、それが私の舌を刺す。

「あ……あ、あ、あっ……!」
「あうーっ!」
「あぁーんッ!」
「……もう……もうだめっ! ボク……イくっ!!」

喘ぎに混じって、顔に取り付いた彼が叫び、腰の振りが激しさを増した。

「ボクもっ!」
「げんかいだっ!」
「イっちゃうよぉっ!!」

団員もそれを聞いてか口々に訴え、刹那、

びゅくびゅくっ!

喉の奥に欲望が注ぎ込まれた。
青苦い厭な味と強烈な刺激臭で、思わず吐き出しそうになる私に、

「のめっ!」

彼はそう命じ、鼻の穴を塞ぐ。
「ンぐぅっ!!」
息のできない私は身体的な反応のみでそれを飲み下してしまう。
どろりとした感触が食道を伝い、胃の腑に至る。
そして、続けざま、全身至るところに同じ液体が次々と放たれる。

「うぁぁーっ!」
「きゃぅぅんっ!」
「あーっ!」

耳障りな嬌声の連鎖。
団員達の戒めから解放された私は、勢い余って前のめりに倒れる。
その反動で、髪に放たれた精の一部が、こめかみから頬を伝って地面に垂れ落ちて来た。
陵辱に焦点を失っていた私の目に、何故かそれだけがはっきり見えた。

饐えた異臭。
澱んだ空気。
不愉快な歓声。

「おきたおきたー!」
「おきたぞー!」

団員達が口々に叫ぶ声を聴く。
……どうやら、私は気を失っていたらしい。
どれほどの時間かはわからない。
ただ、皮膚の引き攣れる感じ――こびり付いた精液が乾いている感触からして、あまり短い時間でないことは確かなようだった。
私は身を起こし、頬に貼り付いている髪を払おうとする。
ごわ、という厭な手触り。
そうだ。あいつら。
私の髪にも射精していた。
昨日まで自慢だった私のロング・ヘアーは、奴らの放った欲の塊で、指を滑らすこともままならぬ程に硬く凝固してしまっていた。
これでは、きっと洗っても落ちるまい。
それは、女の命とも言える、大好きな長い髪との別れを意味する。

――悔しさに、知れず、涙が溢れた。

「いいながめだー」
「どろどろだー」
「いやいや、もうかぴかぴだよ」
「じゃあ、かぴかぴメイドさんだー」
「なきむしかぴかぴメイドさんー!」
「うきゃきゃー!」

小さな悪魔達が私の姿を見て嘲笑う。
確かに非道い格好だった。
髪の毛は言うまでもなく、手、足、服、顔と問わず、全身至る所に残る狂宴の痕。
いたぶられた痣と乾いたスペルマ。
私は歯噛みする。
床に置いた拳を、ぎゅっと握り締める。
だが、そうしてみたところで与えられた恥辱が消えるわけではなく。
残ったのは虚脱。無力感。
それは嗚咽となって、私の口から漏れる。
それは懇願となって、私の唇から紡がれる。
「……お願い。もうやめて。これ以上、酷いことしないで……」

だが、必死の想いで搾り出された言の葉の欠片も、祭の余韻に浸る彼らには逆効果でしかない。

「ひどいことしないで、だってさ」
「どうしよう?」
「そういうこといわれると、ぎゃくにやりたくなってくるよね」
「ねー」
「っていうか、いわれるまでもなく、やるけどね」
「やるね」
「やるよね」
「きゃはは!」

「解ったから! あなた達のお願い、聞くから! お休み、あげる! 全部言う通りにするっ! だからっ……!」
私は叫ぶ。
きっと無意味だと知っていても、それが万に一つ彼らの心を揺さぶるかもしれない、そのか細い糸に縋るしかない。
そんな私に、団員の一人が近寄る。
瞳と瞳が交錯する。
そして彼は、にぱっと明るく笑い、言う。

「やだ」

二心のない、裏表もない、心からの微笑みに乗せられた極刑宣告。
無邪気な邪鬼。
それゆえ重い、その言葉。

「ボクたち、もうそんなことどうでもいいんだ」
「それよりも」
「スミレさまの」
「なきがおが」
「もっとみたいの!」

一度点いた火は消えることなく、総てを焼き尽くす業火となって燃え盛る。
火刑台に立たされるのは、私。
けらけら笑う小悪魔達は、その飽くなき欲望が果てるまで、私を嬲り続ける気なのだ!

「……いやぁぁっ!!」
――絶叫。
何を求めるでもない、何を願うでもない。
それはただ、心の底から湧き出てくる恐怖そのもの。
「いやっ! 嫌だっ! もうやめてっ! 助けてっ! お家に帰してっ!!」
考えてみれば間抜けな訴えだった。
だって、ここは私が造った秘密基地。
今の私にとって、家というのはこの場所なのに。
狂ったように泣き喚くそんな私を、団員達は遠巻きに冷ややかな眼で眺め、そして、

「そろそろかなー?」

……誰かがそう言った。

「……え?」
刹那、びくん、と衝撃が走る。
身体が急に熱を持ち、何かを欲して疼き始める。
「あ、あんた達、私に何をしたの? ……まさか」

「そう! そのまさか!」
「スミレさまが寝てる間に」
「『びやく』を」
「いっっっっちばん、つよいやつを」
「おちゅーしゃさせてもらっちゃいましたっ!」

一斉に彼らが笑い出す。
けたけたと、きゃらきゃらと、聞き苦しいことこの上ない甲高い声で。
それに呼応するかのように私の心臓は早鐘のように鳴り、手足が小刻みに震え始めた。
「あ……くっ……!」
意図せず、声が漏れる。
「んっ……!」
団員達が再び私の周囲を取り囲み、口々に言った。

「スミレさま、かおまっかー」
「かんじてるんだー」
「きもちよくなってるー」

「そんな、こと……ッ……!」
返す言葉にも力が入らない。
「は……はぁッ……」
正直、苦しかった。
頭の天辺から爪先まで、痺れにも似た『何か』が走り、私のことを責め立てる。
まるで、神経が剥き出しにされたよう。
全身が性感帯になってしまったよう。
これは快感などという生易しいものではなかった。
部屋でする自慰行為の何倍、何十倍。
唇を閉じることさえままならず、私の口からはだらだらと唾液が溢れる。
「んはぅぅ……ッッッ!!!」

「いいひょーじょーだねー」
「『さかりくるっためすのかお』だねー」
「きゃははっ、キミ、すっごいことば、しってるねー」
「えろーい」

悶える私の姿を見てか、団員達のペニスが再び次々と勃ち上がっていく様を、私は霞む視界の片隅で捉える。

「おっきおっきー♪」
「にょっきにょっきー♪」
「びんびーん♪」

童謡のように節をつけて、愉しげに彼らが言う。

「さあ、ボクたちじゅんびばんたんだよー!」
「スミレさまは、どうかなー?」

「メイドさんごっこはおしまいねー」
「ボクたち、スミレさまのはだかがみたいのー」

団員達が私の服を脱がしにかかった。

「うーしょ!」
「よいしょ!」

そんな些細な刺激さえ、今の私の身体は敏感に拾う。
精液で張り付いた生地が剥がれる感触。
布地が肌を擦る感触。
それら全てが、『快感』になる。
ついには、露にされた肌が触れる外気の冷たさまでも。

「うあー、すっげー」
「おぱんつぐっしょりー」
「ちくびもぴんぴんー」

そう。
言うまでもないことだ。
それだけの強い『快感』に晒されて、私の身体がどういう反応を示すかなど自明の理である。
自分でもはっきり認識できるほどに果実は硬くしこり、下半身は粗相をしたかのように重く湿る。
「……見ない……でぇ……!」
そういう痴態が、彼らをますます増長させることを私は知っていた。
だから、せめてもの抵抗として、そう哀願する。
しかし、熱狂の只中にある彼らにその程度の願いが通じるはずもない。
それどころか、私の泣き顔が、かえって彼らを狂乱の坩堝に取り込んでいく。

「ぱんつもとっちゃえー!」
「とれー!」

言うが早いか、団員が二人、左右から私のショーツを掴み、引き摺り下ろした。
覆いを失い、髪と同じ桜色をした陰毛と、それに近い色の秘裂がもろともに露出する。
そして私は見る。
愛液に濡れそぼり、光っているようにさえ映る繁みを。
ひくひくと蠢き、汁を吐き出し続けるヴァギナを。
――膣口と下着とを繋ぐ、一条の白い糸を。

私は思わず顔を背け、ぎゅっと眼を閉じた。
そんな物、見たくない。
私でない私の姿など、見たくない!

「わー……」
「これがスミレさまのはだかかー……」
「えっちぃねー……」

団員達が感嘆し、ごくりと唾を飲み込む音が聞こえる。

「もっと、よくみたい……」
「おま○こ?」
「うん……」
「ひろげちゃおっか?」
「うん……」

私の脚が左右に押し広げられる。
私は抗えない。
脚に力が入らない。

「ごかいちょー……」

されるがままに、私は秘部を晒す。

「すげー……」
「ピンクいろ……」
「きれい、っておもう?」
「うん……」
「さわりたい」
「ボクはなめてみたい」
「やっちゃう?」
「うん」

何かが触れる。
掌か。それとも舌だろうか。
「……ふぅんッ……!」
一際強い快感の波が背筋を伝う。

「びく、ってしたよね……」
「きもちいいんだ……」
「じゃあ、もっとやっても……?」
「へいきだって」

群がる。
何かが挿し込まれる。
「きゃぅっ!」

太股を伝って誰かが登ってくる。

「……おマメさん」
「……かわいい」

その誰かが、クリトリスを弄る。
「ひぅッッ!!」

「かわ、かぶってるねー」
「むいちゃえむいちゃえー」

包皮が――
「あぁぁぅッッ……ンッ!!!」

骸に集う禿鷹のように、光源にたかる蛾のように。
彼らが群がる。
「ひぁッ!」

「ボクはおっぱいがいーなー……」
「ボクもー」

腕を登り、下腹部を足場にし、今度は乳房に。
彼らが群がる。

「ちくびー」
「さくらんぼー」

「んぁぁッ!!」
歯が立てられる。ペニスが擦りつけられる。
「ひぃやぁぁぁッ!!」

「いばしょ、なくなっちゃった……」
「どこでもいーよ、もう」

耳朶に、唇に、首筋に、背中に、ヒップに、臍に、指先に、爪先に――思い思いの場所に。
彼らが群がる。

余すところなく、彼らに埋められ、責められ、責められ、責められ、
「あッ、あはッ……! あ、あ、あ……」
責められ責められ責められ責められ責められ、
「あ……あぁぁぁぁぁッッッ!!!」

……私は昇り詰める。

私は、くたりと脱力して床に倒れた。
今まで感じてきたどんな絶頂よりも高い所に辿り着く感覚。
それこそ天にも昇る心地って奴。
だから「逝く」なのかしら、なんて是非もないことを考えながら、私は荒い息を整えるように少しずつ深呼吸をする。


「きもちよかった?」

誰かが尋ねる。
私は答えない。
だって、これは私じゃないもの。
ホントの私はこんな風に感じたりしないもの。



……なんて。



  そんなの、
           戯言だ。



いつの間にか私は……。

私は、自分から率先して宴の中に飛び込むことを望み始めていた。

いや。
事実、知らぬ間に私は、私に触れる団員たちの指や舌やおチンポに身体を預けるようにして、自ら快楽を貪っていた。
彼らの先端が肌を撫ぜる度、硬くて柔らかいその不思議な感触に身を震わせていた。
純粋に、キモチよさだけを味わっていた。
それは薬のせいとかじゃなく、確かに私自身が望んだこと。
内なる声に耳を傾けた結果。
自分自身でも気づかないうちに、私はそういう風になっていた。

何故かしら?
どうしてかしら?

それはきっと私が悪い子だから。
うんと悪いことして、いっぱい人を傷つけて、それでも平気な顔で笑ってられる女の子だから。
ああ、なんてことはない。私も悪い子。黒ミミうさぎ団の皆々様と、大して変わりない人間。
きっと私の心の中には、とっくの昔に悪のココロが根を張っていて、それが私を突き動かしているのだ。
やっていいことだとか悪いことだとか、今更そんなのやかましい。
怖いもムカつくもへったくれもない。それより、今は『キモチイイ』が勝ってる。
私は悪い子だから、そう感じることを許されている。
『キモチイイ』で全てを覆い尽くすことを許されてる。
そうとわかってしまったら、途端に気持ちが楽になった。

要するに――


ケモノになっても、いいんです。

「ふふ……」
床に横たわったまま、私は微笑う。
「どーしたの? スミレさま」
誰かが尋ねる。
「ふふ……ふふふっ。あははははははっ!」
私は笑う。
狂ったように。
何かの箍が外れたように。
「あは、あははは……! きゃはははははぁっっ!!」
笑って笑って、息が苦しくなっても、それでも笑い続けて。
そして最後の最後に一言だけ、付け加えるように、
「愉しいな……」
言った。

「……たのしいの?」
団員たちが不思議そうな顔で私に尋ねた。
「ええ」
私は答えた。
一瞬、彼らの間をどよめきが走る。
私はその小波に独りほくそ笑んだ。
もしかして、私の豹変に面食らっている?
バカな子達。
「……きもちよかった?」
「うん。スゴく……良かった」
そう返す私に、一人がおずおずと言った。
「……もっと、してもいい?」
それを聞いて、私は呆れる。
まったく。なんで許可なんて求めるんだろう。
ついさっきまでは、嫌がったってやってた癖に。
ホントに子ども。
「どうぞ? 一緒に遊びましょ」
そう。これは遊び。大人のゲーム。
ゆらり立ち上がり、徐々に私ににじり寄ってくる団員たちの姿に、今の私は期待感しか覚えない。
「……ホントにいいの?」
念を押すようになおも私に問いかける彼のペニスに、私はかぷりと食らいついた。

わかってしまえば、やり方なんてどうということはない。
瞬く間に彼は射精に至り、私はそれを自ら口で受ける。
あれ程不快だと感じた精液の感触も、望んでいればこうも受け取り方が違ってくるものなのだろうか。
「……はぁ。おいし」
思う存分舌の上でそれを転がし、アクの強い苦味を堪能した後、私はそれを飲み下す。
まだ残っている媚薬の効果のお陰か、食道を伝うその液体の感覚さえ心地いい。
本心から、美味、と感じる。
その間も――私が精液の喉越しに感じ入っている最中――も、他の団員たちは休まない。
先走りでぬらぬらと汚れたペニスの先端を、私の体に思い思い、擦り付ける。
それだけならばさっきまでと一緒。
だが。
「なぁに? せっかちさんね……。順番待ちもできないの?」
私はそんな彼らの怒張を自ら進んで手に取った。
「すごい、かちかち……。もういっぱい出してるはずなのに、みんな元気だ……」
そして、擦る。
右手に二本、左手に三本。
団員たちの体躯に似て可愛らしいそれらを、まとめて、慈しむように愛撫する。
しゅ、しゅ……。
指の股の間で次第に硬さを増していく肉の棒に、私の気持ちも徐々に昂揚していくような気さえしていた。
そして、その気分の昂ぶりが私をさらに大胆な行為に走らせた。
私は、す、と脚を延ばし、手近な所にいた団員のペニスに添える。
裸の足指で彼らの逸物を掴む。
これでさらに二本。
私の四肢は、計七本のペニスで埋め尽くされる。
そして、それらで埋まった手足は、自分でも驚くほど達者に動いた。
まるで命でも宿ったかのように、てんでばらばらな動作をスムーズにこなしてくれた。
七つの欲望を、それぞれが望むように高めていくことができたのだ。

――私は。

それがただただ嬉しかったのだ。
それがただただ愉しかったのだ。
団員たちが私の手管で感じていることが。
私の手で、足で、高みに至っていく様が。
その気持ちは自ずと私の身体にも跳ね返り、膣に――『おマンコ』にイヤらしい液体を溢れさせていく。
悦びは心地よさと表裏一体なのである。
それは、薬の刺激なんかよりも遥かに甘い感動を私に与えてくれるのである。

――でも。

まだだ。
まだ足りない。
私は思う。

「どうしたの、みんな? あぶれちゃって可哀想なみんな? そんな所で立っているだけじゃ寂しいでしょ?」
だから、私は言う。
「遠慮しないで。ね。さっきみたいに、その前みたいに、もっともっと私のカラダを使っていいんだよ」
私は言う。
「ほら、ここにも、ここにだっておち○ちんは入るよ。擦れるよ。だったらさ、やってごらん! やってちょうだい!」
その言葉に少しずつ、遠巻きに眺めているだけだった気の毒な団員たちが動き出す。
おずおずと私を取り囲む輪を狭め、狂乱の只中へと歩を進めていく。
私はそんな彼らを導き、言う。
「みんな、私で――スミレの身体で気持ちよくなって! それが、私の『キモチイイ』なんだから!」
悦びは大きいほうがいい。
快楽は多いほうがいいに決まっているのだ。
団員たちが気持ちよくなってくれれば、私も嬉しい。
その嬉しさが私をさらなる『キモチイイ』に連れて行ってくれる。

――ああ、なんてことはない。そんな至極単純な結論だったんじゃないか。

だから私は埋もれる。
最早数えるのさえ億劫なほど数多くの欲望に。肉欲に。

肉の波に呑み込まれる。

「ああ……。おチ○ポ、いっぱぁい……。スミレ、幸せものだぁ……」

擦りつけられ、蠢かされる肉、肉、肉。
その感触の一つ一つが、私を刺激し、天上のいと高きに登りつめさせて行く。
「……ッはぁ……」
私は声を漏らす。
捻じ曲げられ、歪められたものではない、本当に本当に心と身体の底から出た喘ぎを。
口の端からだらだらと涎がこぼれて胸元を濡らしていたが、私はそれさえも気づかないほど欲望の海に翻弄されていた。
蕩けそうだと思った。
団員たちの先走りも、彼らの数だけ、彼らの快感の分だけ私にこぼされ、私を溶かしていく。
いっそこのまま液体になってしまえたら。
私は思う。
そんな心の声を反映したのだろうか。
私の口が無意識に開き、言葉を紡ぎだす。
「みんな、みんな……。出していいよ。かけて。熱いの。せーし。そんで、スミレをどろどろにして……。液体塗れのぐじゅぐじゅにしてぇ……」
言いながら私はスパートをかける。
全身を使って『彼ら』を扱き上げる。
くちゅくちゅくちゅくちゅとあらゆる方向から聞こえてくる水音だけが私の頭の中を支配する。

そして、一つ。
左手中指と薬指の間に挟まれた一つが大きく膨張し、

びゅ……!

迸る。
私はそれを鎖骨の辺りで感じ取る。
あとはなし崩しだった。
次々と、堤防が決壊するように『彼ら』が限界を突破していく。

びゅ、びゅる、びゅぅ、びちゅう、ぢゅるぅ……!

音を立て音を立て、まるでシャワーでも浴びているかのように団員たちの精液が私の身体に降り注ぐ。
その中に含まれているであろう幾億、幾十億、幾百億の欲望の欠片を肌で感じ取りながら、私は――。
どろどろでぐじゅぐじゅでぬるぬるでびちゃびちゃな私は――。
自分自身が精液そのものになってしまったかのような錯覚を覚えながら、静かに、絶頂した。

トップへ

動画 アダルト動画 ライブチャット