Mr.KK×ムラサキ


「…好き」
「誰が?」
今日も、耳元で呟かれる。その声は普段と違って、熱っぽい。
いつもの、冷えた血しか流れていないようなムラサキの姿は、微塵も想像できない。
彼女が誰を好きかなんてもう分かっているのに、それでも聞く。誰が好き?

「…好きなんだ…」
「だから誰が、って聞いてるじゃねェか」
そう言って彼女の黒い髪を梳いてやる、俺の名前を彼女の口から言わせてみたい。
しかし彼女は答える代わりに、その紅い唇で質問する俺の口を塞ぐ。

「…ん…」
無意識に零れるのは甘い吐息。
好きだ。好きでしょうがない。先に相手にそんな感情をもってしまった自分が憎らしい。
視界の端に、色が落ちかけた金髪が映る。見慣れた色だ。自分の黒々とした髪も一緒に。
KKの肩に添えていた手が、床に座っている彼の足に落ちる。

「誰が好きなんだよ、なぁ?」
さっき彼女がやったように、耳元で、囁く。小さく笑う。
彼女の手が、肩から足に落ちる。寄り掛かってくるその身体を支えるように、
その細い腰を、黒い着物の上から手で掴む。それだけで彼女はああ、と小さく震える。

「…アンタには、言わない」
言わない。そう言って微笑んで見せる。でも好きだ。本当に好きだ。何がとは言えない。
彼の一体何に惹かれるのか分からない。でも、一生傍にいたい。少なくとも自分はそう思う。

「可愛くねえな」
可愛くない。しかし綺麗だ。この整った顔が紅く染まるのは、快楽に歪むのは、本当に綺麗だ。
それぐらい俺にも分かる。だから、彼女は誰にも渡したくない。頭の端で、そう思った。

可愛くねえな。
そう、耳元で囁いてやる。
言葉の意味は冷たい。でも自分の声が全く冷たくないことは、自分で分かっている。
耳に掛かる吐息がくすぐったいのだろう、彼女は耳を俺の顔から離そうとする。

ん…
自分で意図せず息が漏れる。生暖かい彼の吐息から離れられないことは知っている。
けれど身を離そうとしてみる。腰に添えられている彼の手に軽く力が入る。逃げられない。
彼が自分を逃がしたくないからだ。手放したくないと思われている。そう思うと、妙に安心する。

彼は彼女の少しはだけた着物から見える鎖骨の辺りに接吻を落とす。
白い肌に冷たい感触が走り抜ける度に、彼女は声を上げようとする。しかし我慢する。

「…声、出せよ?」
彼女の顔はもう赤み掛かっている。綺麗。そんな単語が似合うと思った。
そして彼女はゆっくりと首を横に振る。俺に向かってにやり、と笑い掛ける。そして言う。

「出させてみなよ」
そう。自分からは出さない。敢えて相手に出させてみようとする。

「面白ェ」
面白い。だから彼女が好きだ。いつまでも抱いていたい。

着物がするりと肩から落ちた。
身体があつい。そして、視線がくすぐったい。
彼の骨張った手が身体中を這い回る。

彼女の肌は白くて、綺麗だ。
何処かのガラス細工みたいに、触ったらすぐ割れてしまいそう。
しかしガラスと違って、彼女は割れない。

「痛い」
「嘘付け」
「どうして嘘って分かるのさ?」
「お前、嘘が好きだから」

そう、彼女は嘘が好きだ。
それも綺麗な嘘が。

どうして彼は全てが見とおせるのだろう。
痛くはなかった。もし痛いとしたら、そのときはきっと心が痛いんだろう。
今は痛くない。気持ちいい。
気持ちいい――その言葉が彼女のアタマを支配する。

彼女は美しい。
男達は誰もが彼女の虜。
そんな彼女のこんな顔を見られるのは自分だけ。
そう思うと嬉しい。背筋がぞくぞくするこの感覚。

「気持ちイイ?」
「さあね」
「無理すんなって」

そう言われて、何度目だろう、口を塞がれる。
気持ちいい。けど、それを相手に言ったら負けな気がして。

気持ち悪い訳は無い。嫌なら彼女はとっくに逃げ出している。
それでも素直になれない彼女がとても、可愛かった。

「もう、濡れてるよ?」
「そんな訳…ひぁっ」

敏感な箇所を擦り上げる、彼女は甲高い声でそれに答える。
彼女は綺麗だ。このままにして、飾っておきたい。
けどそれは理性が許さなかった。彼女を自分だけのモノにしたい。
その証しが、ほしかった。

快楽に総ては支配されている。
上がるのは心拍数。とろけるのが心。
意識は動かない。激しい灼熱感。
感じる心臓の鼓動。そして熱を感じる顔、弄られる身体。

「も…う、来て…」
「じゃ、いくからな?」

最後の確認。
そして視界に映る、彼女の頷き。

自分の中が大好きなヒトのモノで埋められるこの感覚。
早く、きて。

「ムラサキん中…キツい…」
「…名前、呼ばないで…」
「好きだ…ムラサキ」

打ちつけられる腰。
もういちど塞がれる唇。

背中に回される手。
呼ばれる名前。

「も…イク…」
「いいよ、イって」
「KK…愛してる…」
「ムラサ…キ…俺ももう限界…」
「ひ…あああッ!!」

高い声と共に、彼女は果てた。
勿論自分も一緒に。

彼の感覚。
そして味わう、絶頂。


―――


「KK、愛してる」
「それ、もう聞いた」
「嬉しくないの?」
「嬉しい。めちゃくちゃに嬉しいよ」

そう言って、KKはムラサキの額に接吻を落とす。
くすぐったい。ムラサキは微笑する。
いつもの、朝の光景。

fin.

トップへ

動画 アダルト動画 ライブチャット