六×カジカ


チュッ…クチュ…
水音は、少女の理性を軽く剥ぎ取るには十分すぎる淫靡さを讃えていた。
少女…カジカが弄っている其処を中心に、躰中に熱が伝わっていく。
「ふっ…はぁっ…や、あぁっ!」
グチュッ…
そう強く触れているわけでもないのに、粘着質な水音はひどく響く。


カジカは毎日毎夜、淫獄の底にいるような疼きに耐えていた。
そうやって耐えることも、そう長くは続かない。
今夜が、限界だった。
女になってからは約二ヶ月、六と出会ってからちょうど一ヶ月が過ぎる頃。
その一ヶ月間、毎晩カジカは耐え難い疼きを感じながらもソレを直視しないように過ごしてきた。
躰の芯から熱がぶり返すような、疼きを。
ソレも、日を追う毎に強くなっていく。
始めの内は良かった。
ただ、あの日の快楽が思い出されるだけで。
ソレが此処最近では、感覚が克明に思い出されて、今でもまだ躰の上を六の手が、舌が這っているような錯覚に襲われていた。
ジュン、と恥部が濡れる感覚を感じながらも、無視し続けた。
だが、今日はもう我慢の限界だった。
そっと秘部へと指を這わせる。
それだけで、体中に電撃が走ったかのような快感に襲われた。
「くっ…ぅぁん…っ、はぁ」
性器よりも上にある、肉芽を指先で転がす。
それだけでも、イキそうなほどに今のカジカの躰は敏感だった。
あえて、ソレよりも下の秘孔へは触れない。
その行為はカジカにとって恐怖だった。
何故"恐怖"と感じるかはわからない。
とにかく、カジカにとっては未知のその孔に触れる事は"恐怖"の対象であった。


「っ、や…ふぁあ…っ!」
キュッ、と指先で紅く熟れた肉芽に爪を立てる。
カジカの体が痙攣して、絶頂が近い事を、本人は感じ取った。
『もう少し…』
『あと少しで…イケる…』
ソレは、先刻からずっと思っている事であった。
だが、どうしてもその一線を超えられない。
此処まで来ると、快楽が痛みでしかなくなってくる。
本能が、躰が、そんな愛撫では"足りない"といっている。

――――――――――何故?
その想いと、快楽…痛みだけが思考を支配する。
理性など、この行為に耽り始めた頃から既に捨ててしまっている。
「や…だ…も、イキたい…」
ポロリ、ポロリと零れる涙が、枕を濡らし始める。
愛液の染み込んだシーツが冷たい。
想うのは、ただ一人のこと。
「六…さん…」
その名を、口にした。
途端、ズクン、と躰の中心が疼く。
肉芽を転がす指先が、六のものと重なって思える。
「やっ、はあぁあっ!ダメ六さ…イッ、あぁああっ!!」
くちゅん、ぴちゅ…
淫猥な水音が聴覚を刺激する。
カジカの繊細な指とはまったく違う、少し無骨だが長く綺麗な指。
徐々に、自身の手が似ても似つかないその手と思えてくる。
無意識に、肉芽を弄る手とは逆の手が、ソレより下の膣の入り口を刺激し始める。
そのことに、カジカは気付いていない。
ただあるのは、目の前の快楽ばかり。
「ヤッ…くぅっ、ふぁ…っ!」
ぐぷ、ぎゅちっ…
指を動かす度に響く粘着質な水音が、カジカの『快楽』と言う感覚を刺激する。求めさせる。
「はっ、あぁんっ!ダメ…っ…」
―――――――漸く。
絶頂を迎える。
そう悟った。
「きゃうんっ…!や、ダメ…イクゥ…!」
何とも悩ましげな、一際高く嬌声を上げる。
瞬間、カジカは絶頂を迎えて四肢を投げ出した。
カジカは、肩で小さく短く呼吸を繰り返していていく。
ぼうっと目の前に白く靄がかかっているような感覚。
「…六さん…」
確かに、イク事はできた。
だが、もう耐えられない。
もっと奥の、秘孔が何かを求め、疼くのだ。
――――――――――六さん…。
彼の事を想うだけで、こんなにも呆気なく絶頂に達する事が出来るのか…。
恍惚と、その姿形を思い描く。
『会いたい』
その気持ちは、日々膨れ上がっていくばかり。
また新しい露で枕を濡らしながら、カジカは深い眠りについた。


++++++++翌日

何気なく、カジカは目を覚ました。
起き掛けのカジカを、空腹感が襲う。
時計を見やるともう十二時前。
どれだけ寝ているのだ、と自身を叱咤しながらカジカは起き上がり、とりあえずバスルームへと向かう。
ついでにシーツも剥ぎ取ると、新しいものを出して、剥ぎ取ったほうのシーツは洗濯機へと直行。
シャワーの温度設定を、普段より少しだけ低く設定する。
本当なら、冷水を浴びてもいいのだが、流石に今ソレをする勇気は無い。
シャーッ、と少しだけぬるいシャワーを躰中にかけながら、ぼんやりとカジカは思いを巡らせる。
何故だろうか、寒い筈なのに、まったく寒くない。
この、二ヶ月弱で大きく変わってしまった事…。
大きく分けて二つだろうか。
まず、性別。
それから、想い。
特に変わってしまった、六への…ソレ。
過去二度の邂逅で、その純潔すらも奪っていった男へ、カジカはひどく甘い感情を抱いていた。
「…六さん…」
暫く、カジカは何も考えずにそうしていた。


「ふう…あぁ、なんかすっきりした感じ…」
バスルームから上がると、ざっと朝食……いや、昼食か……の準備を済ませて食べ始める。
主食とつけ合わせだけでも十分、満腹感を得られた。
と、不意に
ピーンポーン
インターホンの音がして、来客者の存在を告げる。
――――――――――誰だろう…?
覗き穴から覗くと、其処には。
「六さん…!?」
急いでロックを外し、その男を迎える。
ソレは、間違いなく一ヶ月前にカジカの純潔を奪った男。
そして現状、何よりも愛しき男。
「…お久し振りですね…一ヶ月ぶり…ですか…」
「ああ…こっちに戻って来てな…気がついたら、此処にいた」
相変わらずの言葉。
ぶっきらぼうで、あっさりとしていて。
それでいて、何処か胸の奥が暖かくなるような言葉。
彼の書にも、ソレが現れているだろうか。
だとしたら、だからこそ彼の書は人気が出るのだろう。
「あの、入ってください。お茶くらい出しますよ」
一歩下がって、玄関の扉を大きく開け放つ。
「済まない…。邪魔する」
一言放って入ってきた六の後ろでカジカは静かに扉に鍵をかけた。

「六さん…なんで…此処に来たんですか…?」
長時間、二人は他愛の無い話をしていた気がする。
いや、実際はまだ二十分も経った位なのだろう。
漸く、カジカはずっと聞きたかった事を聞いた。
その話を持ち出すのに、カジカには多大なる勇気を要した。
聞きたい気もするが、聞きたくない。
もしも、自分が望まない言葉だったらどうしようか。
なぜ、此処に来たのか。
――――――――――何故。
『行く所がなかったから』。
そんな理由でもなんでもいい。
とにかく、"自分を求めて"来てくれたのならばソレでよかった。
「―――――――――ソレを、聞くか…?」
予想とはまったく外れた言葉に、カジカは一瞬思考を失う。
「…聞かせて下さい」
「……お前に、会いたかったから…何故かはわからない」
――――――――――会いたかった。
その一言を、カジカは何処かで…最も望んでいたのだろう。
胸が、詰まる。
「ただ、漠然と…会いたかった」
正面に座っていた六が、真摯な眼で、カジカを見つめる。
カジカは、不意に立ち上がり六の隣へと移動する。
カジカが立ち上がった事に、六は少なからず瞳を見開く。
紅い瞳に、驚愕の色が掠めた。
ほう、と息をつき、カジカはホンの数歩の間に伝えたい言葉を選ぶ。
無駄と、悟りながらも。
そっと、六の隣に腰を下ろす。
驚きを隠し切れていない六の表情。
今、カジカのこの胸の中を駆け巡る感情。
名前をつけるならば―――――――――…愛情…だろうか。
微妙に視界が霞む。
そっと、脇についた六の手の上にその両手を重ねる。
考えていた言葉が総て消える。
伝えた一言。
「私も…六さん…会いたかった…」
すっと一筋、頬に涙が伝った。

「カジカ…?お前…」
狼狽えたような六の一言。
そっと、その首に両腕を回す。
何も言葉が思いつかない。
「六さん…お願いです…」
口をついて出てくる言葉は、恐らく本能の訴え。
背に回る六の手が、妙にゆっくりとした動作で、もどかしい。
この間のように、無理やり押し倒してくれても良かった。
組み伏せて、奪ってくれても良かった。
「抱いて…下さい…」
ギュッ、と抱き締められる。
涙で歪む視界。
そっと六の肩に押し付ける。
溢れ出した想いに、もう歯止めは利かない。
伝えたい事は、一つだけ。
「好き…です…六さん…」
六の腕に籠る力を、ひどく心地好いと感じながら。


「ふっ、んぅっ…」
服の上から豊かな胸を揉まれる度に、カジカは甘い声を上げて答える。
その快感が妙にもどかしく、より一層、六を求めた。
前回と同じソファの上、それだけで、カジカは何処か恍惚としていた。
「ヤ、だ…待って…六さん…」
あくまで優しい手つきで攻めてくる無骨な手を止めて、自らパーカーを脱ぎだす。
不思議と羞恥は感じない。
その行為が、あたかも服従の証であるかのようにカジカには思えた。
下着まで外すと、不意に六の手が伸ばされる。
キュッ、と程よく括れた腰を引き寄せられ、カジカは些か面食らう。
「カジカ…無理しなくても…イイ…」
え、とカジカは声を洩らす。
無意識に、手が六の背へと回り抱き締める。
「無理なんて、してませんよ…?」
自分では、普通に笑ったつもりだった。
だが、実際には顔の筋肉は固まったままで、動いていない。
何処か怯えたような無表情のまま。
六の背に回された手は、小刻みに震えていた。
「そんなザマで、よく言えたものだな…」
そっと手を外して取ると、愛しげに手の甲に口づける。
カタカタと震える手を見て、痛ましげに眉を寄せると、そっと頬に手を添えて、強引に口づける。
ただ、それだけ。
それ以上の何でもない、舌を挿し入れられる事もないセックスを連想させない口唇を合わせるだけの幼稚なキス。
数秒後、すぐに口唇は離された。

「…落ち着いたか…?」
妙に優しげな目つきで、カジカの顔を覗き込む。
ソレは、前回の時のような凶悪さや、意地悪げな眼とはまったく違い、別人なのではないかと思わせるほどのものだった。
カジカは、どこか呆れたように、ソレでいて安心しきったような表情で、
「フッ…不思議な人ですね…普通、抱き締めたりしませんか…?」
くすりと苦笑を零すと、六は焦ったように、安心したように、
「そっ、そうか…?済まない…。だが、落ち着いたようだな…」
優しく微笑む。
思いがけず目にしたそれに、カジカはカッと頬を紅潮させた。
初めて見るような優しい笑みに、鼓動をはやらせる。
握り締められた手が、熱い。
「六さん…」
おずおずと六の胸の中に身を預け、両腕を背に回す。
と、六もまた、同じようにカジカの背に両腕を回してきた。
不器用に抱き締められ、カジカは嬉しそうに微笑んだ。
それから、意を決したように上体を起こして、六の着流しの袷を崩す。
どこか拙い仕草で。
「ッ…カジカ…」
その手を抑えて、六はカジカを抱き締める。
突然の事に驚いて、カジカは狼狽える。
「え…?ろ、六さん…?」
「…カジカ…」
気付くと、カジカは再びソファの上に押し倒されていた。
眼の前には六の顔。
それも何処か寂しげな表情で。
中途半端に肌蹴られた袷から覗く妙に色っぽい鎖骨と、その上の刺青。
思わず、カジカは見惚れた。
その間に、事は淡々と進められる。
穿いていた筈のズボンは、下着ごと何時の間にか脱がされていた。
その事に気づいたのは、既にソファの下に放られた後。
露わになった下肢に、右手が添えられて撫で上げられる。
「や…っ、六さん…」
擽ったそうにカジカは声を上げた。
口先ではいやと言ってみるものの、カジカの躰はその手を絶対に拒まない。
むしろ、その手を望んでいたとも言える。
だが、意図を持って徐々に位置をずらしていく手に確かな羞恥を覚える。
ふと、太腿を揉まれるように撫でられて、喘ぎ、吐息を零した。
「ヤッ…ふぅ、んっ…」
カジカの意識が六の右手に集中している合間に、何時の間にか左手が柔らかな乳房へと移動する。
ふに、と擬音がつきそうなほどに柔らかなソレを、酷く優しげな手つきで掴む。
「はっ…やぁ…」
突然の刺激に、カジカの思考は些か遅れる。

反対の乳房の、先端の突起を食まれながら、もう片方を爪先で弾かれ、カジカは今にも泣きそうになりながら甘く声を上げる。
気に入りの遊び道具のように、六はカジカの胸を弄んだ。
爪で激しい痛みを与えたかと思うと、舌で優しく癒すように舐められ、かと思うときつめに歯を立てられ。
予測不可能な攻めに、カジカはただ喘ぐしかない。
何時しか、カジカの中では痛みすらも快楽へと変わり果てていった。
「ヤッ、ふ、くぅっ…六さ、ぁん…」
「…そろそろ、いいか…」
ポツリと呟かれた言葉がカジカに届くのとほぼ同時に、ぐいと片足が持ち上げられる。
「ヤッ、な…え…?」
ワンクッション置いて、漸くカジカは羞恥を思い出す。
白い脚を持ち上げられ、カジカの薄紅色の秘部は鮮やかな色彩を六の眼の前に晒していた。
だが不思議と、抵抗しようとは思わない。
ソレまでの愛撫で、今はまだかたく閉じられた花弁の間からは途切れることなく蜜が溢れ出ていた。
その奥では、まだ幼い孔が何かを求め、ひくついている。
ぺろりと自身の指を唾液で濡らし、六はカジカの秘部へと指を滑らせる。
「やっ…ぅ…」
すっと撫でるように花弁に触れられ、とろりと奥から蜜が流れてくる。
恥ずかしげに瞳が伏せられ、六はクッと咽喉で笑った。
一度零れ落ちてしまえば、カジカの愛液は止まる事を知らないかのように溢れ続ける。
「ひぅ…っ…六さ…」
待ち望んでいた快楽を与えられ、カジカは歓喜の声を小さく洩らす。
「はっ…ぅんっ…」
孔の辺りでゆるく指を旋回させ、もどかしいまでの刺激を与える。
そうすれば、カジカは酷く切なげな表情のまま、堪えようのない僅かな快感に縋るしかなくなるのだ。
その切なげな表情がまた、男の獣性を煽るもので。
ニヤリと口元を歪めて、その表情を別のモノに変えたいと言う欲求に抗いきれずに、くぷっ…と人差し指と中指が、同時に内部へと押し入る。
「ひぁんっ!!やぅ…くはぁっ…」
六の想像通り、その表情を恍惚に蕩けさせ、喘ぐ。
縋るものを探すようにカジカの手が彷徨い、ソファの背を掴み、握り締める。
グチ、と肉と肉が擦れ合う音を立てながら内壁を探り、カジカの感じる場所を探すように指先が蠢く。
その度に、カジカの口からはひっきりなしに嬌声が上がった。
「ヤッ…其処、やぁっ…!」
「嫌…?嘘を吐くな」
六の指先が、とある一点を掠めた時。
カジカの一際目立った反応に、六は鼻先でせせら笑う。
言葉とは対照的に、カジカの内壁はさらに六の指を締め付け、その刺激を望む。
グリ、と強く其処を擦るとカジカは面白いほどに声を上げ、愛液を流し、六の指を締め上げる。
「ふっ、あぁっ!や、ぁああっ…!」
「…とりあえず、一回イクか?」
グチュッ…グプッ…
愛液を掻き回すように水音を立てながら、カジカの感じる場所だけに刺激を与え、絶頂まで追いやる。
ビクッ、とカジカの躰の痙攣を、六は見逃さなかった。
グリ、と先程見つけたカジカの最も感じる場所を突いてやる。
「きゃぅっ!?や、ああぁっ…!」

いっそ悲鳴に聞こえるような声を上げ、カジカは達した。
同時に、どろりと大量の愛液を垂らしながら。
「はっ…凄ェな…」
「はっ…ヒぅ…六、さん…」
浅く、短く肩で呼吸をしながら、カジカはそっと六の方へと腕を伸ばす。
その手を取り、手のひらに口付けを落としながら、六は呟く。
「どうした?」
「…私も…六さんの、したい…です」
「…は?」
突然のカジカの欲求。
だが、六にその真意が伝わらない
と恥ずかしそうに瞳を伏せ、
「私も…六さんを良くしたい…させて、くれますか…?」
ほんのりと頬を染めるものだから、さすがの六も面食らう。
「…六さん?」
自分の上に馬乗りになっていた六の下から、何時の間にやら抜けて真正面に座る。
呆けた表情のままの六を、心配そうに覗き込みながら。
「お前、本気か?」
「え…はい」
あっけらかんと答えるカジカに頭痛を覚えるような気がして、六は額を押さえる。
「お前な、冗談半分でやって、いい思い出になるような事じゃないぞ?」
「わかってます。それでも…六さんのなら…いけませんか?」
あまりにも真摯なカジカの瞳に、六は苦笑を零す。
「ソレぐらいなら、今はとっとと挿入させてくれねェか?持ちそうに、無いんでな…」
「え…あっ…!?」
視界が反転する。
またも押し倒され、視界は天井と六の顔。
と、不意に六の顔が近づいてきて…。
「んっ…」
口唇が、塞がれる。
「ふっ…んぅ…」
性急に舌が進入してきて、歯列をなぞられる。
ゾクリと背筋に緩い快感が走り、頭の芯がぼうっと溶けてくるような感覚。
舌が絡められると、カジカも積極的に六に倣うように絡め、口付けをより深いモノにしていく。
漸く口唇が放されたかと思うと、酸欠の為か快感の為か妙に焦点が合わない。
「カジカ、挿入るぞ」
そっと耳元で囁かれた言葉を理解するより早く、ズン、とカジカの幼い秘孔に六の男根がつきたてられる。
微かな痛みと、強烈な快感。
目の前が一瞬、真っ白になる。
「かはっ…!イッ…ああぁっ!」

突然の衝撃により、追いつかない思考。
だが、カジカの腕は六の首を抱き寄せ、縋りつく。
ソレを甘受しながら、六はさらに結合を深めるようにカジカの腰を抱き上げた。
ギシリ、ソファのスプリングが軋む。
「っ…ふ」
以前よりも締め付けがきつくなったのではないかと思われるほど、カジカの中は狭く、そして濡れそぼっていた。
グチッ、ジュッ…
淫猥な水音が室内に響く。
いまやリビングは淫靡な水音と何とも言えない禁忌感に包まれていた。
禁忌感とは、この行為に対してか、はたまたカジカの感情に対してか…。
「あっ、やぁ、はぁんっ…六さぁっ…!」
止めようのない喘ぎ声が六の名を呼ぶ。
六の腰が打ち付けられる度に其処は六の猛ったモノを締め付け、嬌声混じりにその名を呼ぶ度に愛液が零れ落ちる。
パタパタ、と微かな音と共にソファの上に愛液が零れ落ちる。
もう充分過ぎるほどにソレはソファの生地に染み込み、何時しか吸い切れなくなり水溜りを作っていた。
「つぁっ…六さ…イキ、そっ…は、ンゥッ!」
「っ……カジカ…」
呻く様な六の声に、徐々に上がっていくカジカの声。
いっそ壊そうとしているかのように、六は深く、深くとカジカの秘孔を抉っていく。
その度に、カジカは艶やかに身を震わせ、淫らな嬌声を溢れさせる。
その様に、六は戦慄を覚える。
コレまでに何度となく女を抱いたことがある。
が、コレほどまでに淫婦と言う言葉が似合う女がいただろうか。
いない。いる筈もない。
酷く淫らで、美しい。
この白く抜けるような肌を伝う汗さえもが愛しいと感じる。
「ひっあ、やぁ…っ…六さん…もっ、あぁあっ!」
婀娜めいたこの声が、もっと聴きたい。
艶めかしく揺れるこの躰が、欲しい。
総て、自分のモノにしてしまいたい。
「カジカ…ッ…」
「ひゃあんっ…!!くっ、あっぁあっ…!」
ズルッ…と奥まで貫かれ、ねっとりと擦るように引き出される。
カジカのひどく高く、甘い声はもはや限界を告げていた。
その声が溢れる唇を、無理やり塞ぐ。
カリッ、とした口唇を甘噛みして、差し出された舌を自身の舌と絡めていく。
とろりと、唾液がカジカの顎を伝う。
どちらともなく口唇が離れるとほぼ同時に、六は一際深く、カジカの秘孔を穿った。
「ひぐっ、や、ぁあああぁっっ!」
ソレが丁度感じる場所だったのか、カジカは呆気なく絶頂に達する。
その反動で、内壁が六のモノを強く締め上げ、余韻で六もまた、絶頂に身を任せる。
目の前が一瞬でぼやけて、意識が薄れていく。
まだ挿入ったままの六のモノが…そして放った六の体液が、妙にハッキリと感じられた。
「カジカ…     」
カジカが意識を手放す直前、六が囁く。
その言葉を理解できぬ内、どこか恍惚としたまま、カジカは意識を重い闇の中に沈めた。


「っつ…ぅん…六、さん…?」
「何だ、起きたのか」
どこか頼り無い浮遊感。
闇の其処に沈んでいた意識が、急激に浮上する。
いまだ重たい瞼を微かに開くと、目の前に六の顔。
浮遊感は、六に横抱きに抱き上げられていた為。
…いわば、お姫様抱っこである。
「勝手に風呂を使わせてもらった。悪いな」
「いえ…別に。…あ、いれて貰ったんですか…済みませ…」
自分で言ってから、言いようのない羞恥を覚える。
なぜか情事の最中以上に恥ずかしい。
カッと頬が熱くなり、とっさに俯く。
「ど、如何した?具合でも悪いのか?」
途端、ひどく心配そうな声音で聞いてくる六が妙に嬉しくなり、朱色に染まった頬のまま、顔を上げ、微笑む。
「大丈夫です。何ともありません」
「そうか」
安堵したように微笑む彼が、どうしようもなく愛しい。
――――――――なぜ、こんな事をしたのか。
気にはなるが、聞きたくはない。
誰とでもする事だと言われたら、ソレまでの関係。
ソレ位ならば、今この幸せだと思える記憶だけに縋っていたい。
だが。
「そういえば…さっき、六さん何て言ったんですか?」
「さっき…?」
「…その、私が意識を失う直前、何か言ったでしょう…?」
六は逡巡するように顎に手を当て、考える。
と、突然閃いたように瞳を見開き、今度は六が俯いた。
「え、如何したんですか…?」
「その…だな、あんな事しておいてなんだが………いや、いい」
「何ですか?聞きますよ?」
カジカをソファの上に下ろして、六もその隣に腰掛ける。
その自然な仕草に、カジカは妙に嬉しくなる。
六のどこか照れたような表情が、気にかかるが。
「その…だな…」
「はい」
「……好きだ」
「……え?」
そのたった一言。
呟かれた言葉に、カジカはまたも頬を染める。
「俺は…感情とかよくわからないが…さっき、こう言った…」
と、カジカの耳元に顔を近づけて。


――――――――――「愛している」。

抱き締められた腕が、妙に熱い。

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