「……」
メルは目を丸くすることもなく。
しかしコードを離すこともせず。
「……っ」
逆に、フロウフロウが眉をひそめるほどに握り締めた。
「いやだよ」
「め、メルさん?」
「フロウちゃん、何が違うのかわからないよ。それがわからないままで出て行ってなんてあげない」
「……」
「…フロウちゃんがボクのこと嫌いで、だから出て行けーって言うなら出てく」
「ち、ちがいます、そうじゃないんです」
「うん、フロウちゃんはボクのこと好きって言ってくれた。…けど違うって言う、何が違うのか教えてくれなきゃ嫌だよ」
フロウフロウは焦った。
引かれたくないから、傷つけたくないから、それだけは言えないと思っていたのに。

「ボクはフロウちゃんが好きだって言ってくれて嬉しい、どう違うのかわからないけど、嫌いになったりなんてしないもん」

はっきりとそう言われて、フロウフロウはほんの少し苛立ちを覚えた。
「……ほんとう、ですか?」
「うん」
メルはきっと素直すぎるのだ。
そして幼い。
そんな形の好きがあることなどきっと予想もしていない。

傷つけたくはなかったのに。
引き下がられないままで、フロウフロウは抑え続けることの限界を感じていた。

ほんの少し思い知らせてやればいい。
そうすれば…メルはきっと嫌がるだろう。
けれど、それだけでこの家からメルが出て行けば。

"少しだけなら、それ以上メルさんにひどいことしなくてすみます"

フロウフロウは両手をつい、と横に小さく振った。
「…ふえっ?」
急に体が倒れ、メルは目を丸くした。
「え? あれ?」
体を起こそうとするが、腕が広げた形で押さえ込まれていて動かない。
「…フロウちゃん?」
「こういうこと、です」
投影機とメルの眠るベッドはごく近くにあった。
それはフロウフロウがベッドの上にその姿を移すことができるほどの近距離。
倒れたメルの足元に両手を付いて、フロウフロウはメルを無表情で見つめた。
そこでメルは自分の両手首にフロウフロウのコードが巻きついているのだとようやく理解する。

「……どうですか? メルさん。わたしの"好き"の意味、わかりますか?」
「……よくわかんない、けど」
確かに自分が言った"好き"とは違うのかもしれない、漠然とそう思い始める。
「…わたしは設定で女の子で、肉体なんてない機械で…それでもメルさんを好きになってしまったんです」
「フロウちゃん…」
「……わかってくれましたか?」
こうしている間にも、願望は欲望と変化しつつある。
もっと触れたいと思う、触れられるのはコードだけだとしてもそれで感じたい感触がある。

「フロウちゃん、ボクは」
肉体がなければ決してできないことがある。
コードを使ったその行為は、余りにも非人道的な光景しか見せない気がする。
「フロウちゃんが言ってる"好き"が違うっていうのはわかったけど…だけど」
だからここでわかってくれればいい。
無理矢理押し倒したことを嫌悪してくれればいい。
「フロウちゃんがボクを好きでこういうことをするっていうんなら、嫌じゃないよ」

違う、それはその行為を知らないから。
メルは幼いから、予想すらできないだけで。
「…それが、フロウちゃんの"好き"、なんだよね。あのね、ボクは」
もうそれ以上優しくしてくれなくていいんです、と心の奥で強く思う。
「ボクは…子供だけど、そういう気持ちの事知らないわけじゃ、ないよ?」
知らないまま、優しさで受け入れてくれなくて、いいのに。
「フロウちゃんは…ボクに"コイシテル"ってことで、いいのかな…」
どうして自分は知識だけ、膨大に在ってしまうのだろう。
「なら、ボクは嬉しいよ」
子供同士が戯れに、とても無邪気に将来を誓い合うように。
そんな純粋なだけの好意なら、こんな後ろめたさもなかったのに。

「…メルさん、だめです」
「…どして? なにが?」
「そうです、わたしはメルさんに"恋して"しまっているんです」
「うん。びっくりしたけど、嬉しいよ?」
「メルさん、わたしは見た目はこんなに小さいですけど…知ってることはメルさんよりたくさんあるんです」
「ば、バカにされてるのかな」
「い、いえそうじゃないです。ただ…メルさんが知らないことを、したいと思ってるんです」

余りに漠然とした説明で、理解してもらえるとも思えなかった。
それでもはっきりと口にしたり行動したりする事は、さすがにまだできなかった。
「…うーん、難しいんだね。例えばどういうこと? ボクは何かしてあげられる?」
知らないからこそのその言葉に、フロウフロウは溜息を付いた。
「……メルさん、わたしはいやらしいニンゲンなんです」
人間ではないとわかっていたが、それ以外に言葉も見つからず仕方なくそう表現する。
「…例えばわたしがメルさんの服を脱がせてしまったりしたら、どうしますか?」
「え、ええ? …びっくりする、かな」
「恥ずかしいですか?」
「う、うん。そりゃちょっと…一緒にお風呂とか入ったりするのは別だけど」
「嫌ですよね。…そういういやらしいことをしてしまいたいと思っているんですよ」
精一杯だった。
適度な場所で想いと願望を留められる限界間近な境界線。
「…ええっと、よくわからないけど…恥ずかしいけど、嫌じゃない…よ」
それを、メルはたやすく突破してきてしまった。
「メルさん…っ」
「あわわ、怒らないでフロウちゃん。…ボクね、確かに色々知らないんだと思う」
言葉を捜すように視線を彷徨わせながらメルは考える。

「…けど、フロウちゃんがボクのことを好きだからしたい事があるなら…ボクはそれが嫌じゃない…そう思うかな」

そこまでいうのだから、
いっそ試してしまえばいい。

フロウフロウの中で、欲望が囁いた。

「ふえ…っ?」
メルは自分のパジャマの上で何かが動いたのを感じ、小さく身を震わせた。
「……メルさん。嫌になったら嫌だって言ってくださいね…わたし、がんばって止めますから」
「ふ、フロウちゃん……っ?」
メルの両手はコードに絡めとられたまま。
フロウフロウは表情を変えず、ただほんの少しだけ目を細めた。
「あ…」
パジャマの上で蠢く何かが、増えていっている気がした。
恐る恐る視線を向けると、そこに数本のコードを確認できた。
「え…ええ?」
「…今嫌だって言ってもいいです。メルさん、このコードはこの家中にあるんですよ」
「そ、そうなの?」
「はい。そんなにたくさん使わないですけど…これが触ってるものの感触は、わたしも感じられるんです」
「ふえ…。なんか凄いよ…?」
「か、感心してる場合じゃないですっ! メルさん嫌じゃないんですかっ!?」
「ん…っ…えっと…」
ボタンとボタンの隙間からコードが滑りこみ、メルの素肌を撫でた。
胸でもなくお腹でもなく、その間に降りてほんの少しだけ動くコードにメルは僅かに身をよじった。
「くすぐったい…かな」
「ですよね?」
「けど…その、やっぱり嫌じゃないよ」
「……」
「どうしてだろね…なんとなくだけど、これって"えっち"なことだよね」
「そうです……」
「…うん。でも、嫌じゃないんだ。くすぐったいし、恥ずかしいけど…」
「……」
フロウフロウは無言で、コードにボタンを弾かせパジャマの前を開く。
「わ、わわっ」
「……もう、知りません」
「フロウちゃん…」
「メルさん、ほんっとうに嫌になったらそう言ってくれないと嫌ですからね…!」
「……うん。わかったよ」

フロウフロウは全く引かないメルに小さく溜息をついた。
しかし、心のどこかでこの展開に喜んでいる自分がいるのも確かだった。
受け入れられたことが嬉しく、間接的とは言えども触れられることも嬉しかった。
成り行き上こんな行為にまで及ぶ事になったが、それすらも望んでいたことの一つなのだ。
しかし嬉しい反面、やはり不安は完全には消えない。迷いもまだ捨て切れてはいない。
それでも今は。

「でもわたしも」
「うん…?」
「嬉しい、です」
「…そっか、よかった」

その気持ちに、素直になりたかった。

フロウフロウはメルの両腕に絡んでいたコードを離した。
「…あ、あんまりじっと見られるのは恥ずかしいからね?」
前をボタンで留めるパジャマは既にその全てを外され、開かれている。
年相応に幼い体つきをしたメルの肌は白く、しかし羞恥心からかほんのりと赤い。
フロウフロウ自身を映しだす投影機の光が、横からやんわりとメルを照らし、その様子を浮かび上がらせていた。
「気をつけます…けど、少しだけはゆるしてください」
気持ちに気づいてからずっとずっと、触れたくても触れられなかった。
その感情を相手の羞恥に対する気遣いだけで押し殺せるほど、今のフロウフロウに余裕はなかった。

コードが蠢き、メルの背や腕、足や腹を撫ぜ回す。
「ん……っ、く、くすぐったい…」
身じろぎし、体を傾けて大き目の枕に縋り付く。
浮いて横に向いた背をコードが自由に撫ぜ回し、這い登って首や耳へと伸びた。
「ふぁ…っ?」
自分の口から思わず零れた高い声に、メルは慌てて口を押さえた。
「声、がまんしなくていいです」
「な、なんだか恥ずかしいよ…っ」
「でも、わたしは聞きたいですよ?」
「う…でも…っ」
足にかかっている部分の掛け布団をコードを使って除け、へたり込むようにメルの足の間に座り込んでいたフロウフロウは、指揮を執るように右手を振る。
「あっ?」
口を押さえていた右手首を絡め取り、マットに押し付ける。
「嫌、だったら離します…」
「……が、我慢しちゃうのは許してね…?」

少し横を向いたままで枕を掴み、目を閉じる。
そんなメルの様子を見ながら、フロウフロウは無い筈の心臓がどんどん早く鼓動を打っているような気がした。
意識を動かし、両手を揺らす。
それだけで自分に繋がるコード達は生物の様に蠢き、メルの体を撫で回した。
「は…はう…っ」
耳の中、首筋、肩や背を舐めるように撫で回されて、メルは体を硬くする。
ふつふつと鳥肌が立ち、ほんの少しの恐怖心が沸いてきた。
(なんだろう…これ…)
しかしその中に恐怖とはまったく別の感情も合って戸惑う。
フロウフロウの方を見ようとしたが、恥ずかしくてそれもできなかった。
「んにゃ…っ」
「メルさん、痛くないですか?」
申し訳程度に膨らんだ小さな胸。
その先端を同時にくすぐられ、メルは枕を強く掴んだ。
「痛く…無い、なんだか、変な感じはするけど…」
「そうですか…」
「くすぐったい…のともなんか、違うね…ん…っ」
触れられた所が熱くなっていく。
ただくすぐったいだけだった感覚が、耳や胸に触れられている内に少しずつ変化している。
「あ、あはは…」
その熱さが心地よく、メルはおかしくなって小さく笑った。
「メルさん?」
「うん…フロウちゃん。ボクなんだか凄く嬉しいんだ。これっていけないことなのかな」
「……」
「ボクだって全然えっちなこと知らないわけじゃないよ、でもそれをフロウちゃんにされるなら嬉しい」
物凄く恥ずかしい事を言っているなあと思いながら、メルは続ける。
「フロウちゃん」
「…はい?」

いつもフロウフロウを独りにして家を出るとき、心をよぎる心配と、

「ボクもフロウちゃんのこと、"好き"なんだと思う」

どこかで感じていた、"寂しさ"。
それは、自分の感情。相手を思いやるだけで留まっていなかった、正直な気持ち。

「…メル、さん」
「ボクは、こんなことしかしてあげられないけどね…」
メルは肩に触れていたコードを手に取り、そっと口付けた。
「…んっ」
肌とは違う柔らかさに、フロウフロウは眉をひそめた。
「メルさん…」
フロウフロウは胸に手を当て目を閉じると、微笑んだ。
「嬉しいです」
「うん、よかった…」

フロウフロウはコードを操り、胸とその先を弄ぶ。
「う…ぅん…」
身悶えながら、メルはそっと目を開いた。
薄暗い部屋の中でも、間近にある光景はぼんやりと見える。
自分の胸の上で蠢くコードの色はわからないが、陰になっているからか黒く見える。
その光景は異質ではあったけれど、恐怖心は既にどこかへ消えていた。
「ボクも、"いやらしい"人間、なのかな」
小さな呟きはフロウフロウにはよく聞こえなかった。
「はい? なんですか?」
「ううん、ボクもフロウちゃんとおんなじだなって」
「そうなんですか…?」
言いながらフロウフロウは手を止めない。
一際強く胸の先端を刷り上げた。
「ふぁ…っ」
ほんの少し浮いた体の下にコードを滑り込ませ、仰向かせる。
「ふぇっ?」
そしてパジャマの下をするすると静かに下ろさせて行った。
「わ、わわ…」
顔が真っ赤になっていくのがわかって、メルは身を起こした。
嫌ではなくても本能的に体が怯えているのだろう。
しかし少し後ずさったところで下腹部に甘い痺れが走り、枕の上で倒れこんでしまった。
「あ…な、何…っ?」
「気持ちいい、ですか?」
「わ、わかんない…うん…っ」
下着の上から普段は触らないような所に触れられているのがわかった。
時折強く押し込まれ、その度に体が震える。
「あ…や、な、なんか変な感じがする…!」
「怖いですか?」
「ううん…怖くは、無いよ…っ」
未知の感覚に対する不安はあったが、まだ恐怖心は無かった。
しかし、
「ふえ、なんか…冷たい?」
「汚れちゃいますね…脱がせちゃいますね?」
「え、ええっ?」
フロウフロウはメルの戸惑いをよそに今度は下着を脱がしにかかった。
「う、うわ…っ」
さしたる抵抗もできない内に、それはあっさりと取り払われてしまう。

フロウフロウの小さな溜息が聞こえた。
「ふ、フロウちゃん。あんまり見たら嫌だよ…」
「…大丈夫です、メルさんのここ、とてもきれいですから」
「そういうことじゃないよっ!?」
慌てて足を閉じようとしたが、いつのまにか足首にもコードが絡みつき逆に開かれてしまう。
「…痛かったら、言ってください」
「ん…にゃ…っ!」
フロウフロウはメルの秘裂をなぞる様に撫で上げた。
僅かに濡れた感触のするそこに、メルが目を丸くする。
「え、ボク…?」
「大丈夫です、これはおしっこじゃないですから」
「え、ええ? そうなの…?」
「はい、エッチな事をすると、こうなるんだそうです」
知識としては知っていたが当然目の当たりにするのは初めてで、フロウフロウも少しだけ驚いていた。
しかしその潤みはまだほんの僅かなもので、ともすればすぐに乾いてしまいそうだ。
その先を知っているフロウフロウは、これだけではきっと痛いのではないだろうかと思い至る。
そしてこれをもっと溢れさせるための術を、彼女は知っていた。
「あ…はうんっ…!」
その僅かな滑りをコードで掬い、まだほとんど顔を出していない芽に触れる。
ほんの少し触れただけなのに、メルの体は面白いように反応した。
「あっ…う…、なんか…変だよ…っ」
「痛くは無いですね?」
「うん…っ。や…はぁ…っ!」
優しく、傷つけないように。
時折二本のコードでほんの少し摘むように挟みながら撫で刷る。
「やあ…っ、頭が…熱いよ…っ」
「メルさん…」
絡めとられたままの両手でシーツを掴み、枕に埋めていた体を少し起こす。
「力入れちゃ、ダメです」
「だ、だってえ…っ、入っちゃうんだよ…っ」
「大丈夫ですから…」
フロウフロウは右手を上げる。
するとまたどこからかコードが伸び、解放されていたメルの胸を再び撫で上げた。
「ふあぁ…っ」
上と下、両側から責めてくる甘い感覚にメルの腰から力が抜けていく。
「もう、大丈夫…でしょうか」
「え…何、が?」
「力、抜いててください…」
「え…っ?」

開かれた足の間でへたり込むように座っていたフロウフロウが、少し前へ出てきた。
ぼんやりと光る彼女の姿は、メルの体を僅かに照らす。
フロウフロウはメルの張り出してきた芽に触れていたコードを、つ、と撫でた。
するとそのコードはそこから降り…蜜を溢れさせ、柔らかくなりつつあった秘裂へと潜り込んでいく。
「…ひぁ…っ!?」
「……っ」
指先にそれまでの柔らかさとは全く違う感触を覚え、フロウフロウは目を閉じた。
冷たく、しかし熱い。不思議な感覚に思考が回らない。
「い…痛…っ」
「あ…っ」
メルの言葉に、慌ててコードを引き戻しかけた。
しかし、
「で…もっ、大丈夫、だから…っ」
「え…」
「大丈夫…、ちょっと痛いけど…や…なんか、やっぱり変で…」
フロウフロウはメルの様子に、唇を噛んだ。
僅かな痛みを我慢し、好意と行為を受け入れてくれるメルが嬉しかった。
下手な躊躇は、余計な痛みしか生まないかもしれない。
「メルさん」
「う、うん…っ?」

「大好き、です」

言って、僅かにしか埋もれていなかったコードを押し進めた。

「あ、はぁ……んっっ!!」
メルが大きく身を仰け反らす。
フロウフロウはうっすらと瞳を開けながら、右の手を僅かに開きコードに意思を伝え続ける。
コードはフロウフロウの意思を受け、メルの中を刷り上げ始めた。
「あ…んっ、や、変だよ、頭の中が…なんか、真っ白…で!」
「何も考えなくていいんです、メルさん、気持ちいいですか…?」
「よ、よくわかんない…っ、けど…っ」
視線を落とすと、コードに僅かに血が絡み付いているのが見えた。
その光景に罪悪感が生まれたが、フロウフロウはもう自分を止められなかった。

手に乗る甘い感覚、それをもっと味わいたかった。
身を捩るメルの甘い声を、もっと聞きたいと思っていた。

コードが蠢くたび、卑猥な水音が響く。
それがとてもいやらしいことのような気がして、メルは首を振った。
「や…あっ、ボク…っ…なんだか…っ!」
「メルさんも、わたしといっしょですね」
「う…フロウちゃんと…いっしょ?」
「はい、今のメルさん、なんだかとってもいやらしいです」
「うう…でも、フロウちゃんもそうなんだ…よね?」
「…はい、わたしはいやらしい子です。メルさんにもっとこういうことしたいと思ってるんです」
「なら…いい…や…っ……あぅん…っ!」
くちゃくちゃと音が聞こえる。
コードは中で上に下に動き、メルを責め上げていく。
「ふ、フロウちゃん…なんか、ちょっと、怖い…!」
「何が、ですか?」
背中が痺れたようになってきていた。
痒いようなくすぐったいようなもどかしさが、背中を駆け上ってくる。
それから逃れようと背が浮き、しかしそれは消えてくれない。
「や…なんか…上ってくる…よっ…!」
「メルさん」
しかしフロウフロウは容赦なく、休んでいたコードを蠢かせ…芽を撫でた。
「ふぁあ…っ!」
「気持ちいい、でしょう?」

中でコードが一層強く押し入ってきた。
びくんと仰け反った体が痙攣し、一瞬動きが止まる。
「ぁ…うん…っ!」
そして唐突に、それが"気持ち良い"のだと理解できた。
「気持ちいい…よぉっ」
「…良かった、です」
フロウフロウは目を閉じ、

「――ふ…ああああっ…!」

メルがその中で最も感じているらしき部分を突き上げた。

メルの意識が弾け、視界が白に満たされていく。
「ん…っ」
なんだかお腹の中が妙にじんじんとしていた。
それが中が狭まりフロウフロウのコードを締め付けているからだなどと、想像することもできない。

――人間だったら、良かったです。

小さな呟きが聞こえた気がした。
それを理解する間もなく、メルの意識は闇に閉ざされた。

「……」
気を失ってしまったメルを見やりながら、フロウフロウは手を胸に抱いていた。
「メルさん…」
罪悪感はあった。けれどメルは自分も好きだと思うといってくれたのだ。
それを思い出すと、頬が緩む。
「わたし…」
想いは伝えられた。
願いも叶い、欲望も受け入れられた。
それ以上を願ってどうするのだろうと思いつつも、生まれた願いはすぐには消えない。

「わたし、人間になりたいです…」

それは余りに遠い願い。
けれどもし、という予想と期待。
淡い期待ではあったけれど、いつかは聞けたらという想いを胸に、フロウフロウは眠るメルに微笑み、目を閉じた。



初めはよくわからなくても、わかることから伝えていけたらいい。
自分の心に嘘をつくこと、むりやり押さえ込んでしまうこと。
それは時々必要なことかもしれないけれど。

でももう、そんな苦しいことをしなくていいから。
聞きたいと思うし、伝えたいから。


『ボクもキミの事、大好きだよ』


メルの小さな小さな寝言は、眠るフロウフロウの夢の中で溶けた。


その次の日、日は高く上る頃。
寝坊したと焦ったメルは休みであることを思い出し、

「……フロウちゃん、おはようっ!」
「ふぇ…? あ、メルさん、おはようございますー」

その日も二人は笑って挨拶を交わす。
一番明るい太陽の光にも負けない程の、今まで以上の明るい笑顔で。

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