「……!」
自分の胸が顕になっていく感触に、桔梗は横を向いて更に硬く目と口を閉じる。
「思ったとおり、綺麗な胸だよ」
「………」
羞恥心に顔が真っ赤に染め上げられていく、体が芯から火照りだしまた涙が零れそうだった。
そんな、熱を持った体の敏感な部分に、
「――っぁ…っ」
冷たい舌が落とされて、小さく声が漏れた。
「ほら、これしきで根を上げてちゃ後が持たないよ…?」
「ん――っ」
左胸は相変わらず柔らかく撫で上げられ続け、右胸に舌を這わされる。
時折先端に僅かに触れながら、意地悪く責められ続けた。
相手を押しやろうとしていた、唯一自由な左手も自分の口を押さえるのに使ってしまう。

「じゃあこれはどうだい」
左の胸から、熱が離れた。
「…ぅ…んっ!」
直後、右胸の先端を吸われる。
「折角のいい声なんだ、潰さない程度にね…」
生温い口内で舐め上げられる。
「っふ…!…?」
声を堪えようと感覚に備えて意識を移動させた直後、口を押さえていた左手が取り払われてしまった。
「…っ?」

一瞬、桔梗を上目遣いに見上げてきていたムラサキとの視線がかち合う。
ムラサキは戸惑う桔梗に、妖艶な笑みを見せると口に含んだままの先端に歯を立てた。
「っあ!」
走った僅かな痛みと思わず漏れた声に顔を顰め、桔梗は身を捩る。
しかし直ぐに襲ってきた痛みとは正反対の感覚に力が抜けていった。
噛み付かれたと思ったら舐られ、その甘い感覚に背中が震える。

「…ぁ…んぅ…ッ」
心に漣が立つ、それが少しずつ自身の中に広がっていくのを感じて、桔梗は恐怖を覚えた。
このままでは虜にされる。そんな予感めいた何かが胸中を支配し、必死に否定する。

目の前の女性に強引に犯される事が恐ろしいのではなく、与えられる快楽に甘い喜びを覚えだしている事が怖かった。

いっそ恨みだけしか抱けなければ、どれ程良いだろうと。


「あ…あぅ…ぅ」
「いい具合に力が抜けてきたねえ…まだ始まったばかりなのに」
「嫌だ…もう…」
「そんなに嫌かい…? どれ」
先程まで撫で続けていた左の胸にその小さな唇を移動させながら、ムラサキは桔梗の左手を解放した。
湧き上がる恐怖心から逃れるように、咄嗟にその手で相手を押しやりかけたが、
「ぇ…あ…ああっ…!?」
不意に下腹部に走った不快な感覚に、桔梗は空を掴む。
「な…何を…ッ」
ムラサキは答えない、澄ました表情で口にした胸の尖りを弄ぶ。
それだけでも小さく声が漏れ出しそうになるのに、ムラサキの右手が触れている場所に気づいた桔梗の顔はこれ以上は染まるまいというほどに赤くなっていく。
「やめ…ッ…ん、っく」
いつの間にそこへ差し入れられていたのか、ムラサキの指が下着の上から桔梗の秘裂を撫でていた。
押し付けられるその布の湿った感触に、自分のそこがどうなっているかを嫌でも理解させられる。

「耳やら胸やらちょっと舐めてやっただけでこんなにしちまうとはね」
「う…うぅっ」
「よく今まで、男にも抱かれず自分でも慰めず…済んだもんだね」
「私は…そんな」
戸惑う桔梗の瞳に混じった怯えの色をムラサキは見逃さない。
「別に感じやすいのはいやらしい事ではあっても悪いことじゃないさ…寧ろ苦しいだけで終わらない分、よっぽどいいだろう?」
「……そんな事を言われても、困る」
「確かにね、フォローにもなっちゃいなかったね。まあ」
ムラサキは桔梗の右手をゆっくりと、自分の肩に導いた。
「アタシは、そういう娘の方が好きだよ」
「嬉しくな…あ…んッ!」
下着の隙間から指が差し込まれ、湿ったそこを直接撫でた。肩に置かれた手に力が篭る。
「柔らかいねえ…」
「や…ッ…ぁあ…っく」
ムラサキは秘裂をくすぐるように掠めながら撫で続け、桔梗の上に少しずつ体を落としていく。
先に解放されていた手は、溢れる声を止めるために再び口に運ばれた。
「我慢しても辛いだけだと思うけどねェ…?」
器用に蠢く指は、秘裂の少し上に埋もれた小さな突起を掠める。
「はん…っ!」
指の隙間から、声が漏れた。
ムラサキがその手を柔らかく食む。
ぴちゃりと水音がした。
それが舌の立てた音なのか、それとも下が鳴った音なのか、桔梗に判別することは出来なかった、いや、したくなかった。
「ホラ…声を出した方が、楽だよ。誰にも聞こえやしない、アタシにしかね」
うっすら開いた目を、はっきりと開かれた目が見つめていた。
その強い視線に、桔梗は眩暈を覚える。

食まれた手が少しずつ持ち上げられる。
全然力の篭っていない甘噛みなのに、桔梗の手は抵抗することなく口から離れ。
「いいコだね…」
御褒美だよと呟いて、脇に落ちた手の代わりに温かい唇が降りた。

「ん…ぅ」
理性が警鐘を鳴らしている。
けれどその音は酷く小さく聞こえた。
先程までは全く中へと割り入ってこなかった舌が、遠慮などないかのように差し込まれる。
しかしその侵入を阻もうとする気力は、もう殆ど残されていない。
意識さえ侵されていく頭の中で、桔梗の思考が回る。

堕ちる、堕ちていく、このままでは這い上がれなくなる。
全力で押し退ければまだ大丈夫、自分も全く非力ではない。
押し退ければいい、捕らえられる前に、絡めとられる前に、侵される前に、気づく前に。

……何に、"気づく"前に?

「ン……っう!」
疑問が掠めた瞬間、舌を吸われ、下を弾かれた。
その絶妙なタイミングで体の奥に響いた感覚に、理性より本能が動いた。
思わず口が離れそうになったのを頭に手を回されて捕らえられる。
ぐい、と引き寄せられて思わず相手の両肩に縋るように手を伸ばした。
冷たいけれど柔らかいムラサキの舌が、桔梗の熱を帯びつつも強張った舌を絡め取る。
横をくすぐる様に這い、全体を包むように舐られているうちに少しずつ解され、時折走る甘い痺れが直ぐに消えてしまうのがもどかしく感じた。

「……ん」
片目をうっすらと開いたムラサキは、桔梗の反応が変化した事に気づいて嬉しそうに目を細めた。
そっと頭の後ろに回していた手を離し、少しずつ下へと。
自分から拘束を離しても、桔梗はもう離れようとはしなかった。
肩に縋っていた手の片方がずり落ちる体を押さえようとしているのか、自分の首に回ってきたのを感じ取りながらムラサキは満足気に口付けを続ける。
そして衣服をはだけさせながら降りていった手は、愛撫から解き離れていた胸を再び包み込む。
「…っぅ…ん」
肩に置かれていたままだった手が、ムラサキの着物を掴んだ。
桔梗の体は震え、乱れ始めていたムラサキの着物を更に乱れさせる。
暫く胸を撫でていた手を帯に回しながら、ムラサキはようやく口を離した。

「せめて帯だけでも取っちまうかね…」
苦しくてかなわないよ、と苦笑しながらムラサキは器用に帯を解いた。
ぱさり、と着物がはだけてムラサキの素肌が見えた。
桔梗は思わずその素肌に向かいそうになる視線を必死に堪え、ムラサキを見上げる。

「…どうだい、桔梗?」
「……」
問いかけられた桔梗の瞳から、まだ戸惑いは消えていない。
しかし先程まで見えた怯えの色は殆ど残っていなかった。
「気持ちいいかい…?」
動きを止めていたムラサキの右手が動いた。
「あ…んっ」
滑り気を帯びた指が、その滑りを芽に塗りこんでいく。
「や…ぁ…あっ」
「…気持ちいいかい?」
二度目の問いにも答えられず、がくがくと膝が笑い出す。
それを止める術も見つからないまま、桔梗はただひたすらに戸惑いの視線を彷徨わせていた。
自分がどうなっているのか、心の片隅で理解できる。
僅かに残された理性の欠片が、その理解を押し止める。
「いい加減、どうにかなっちまいな…?」
「や…め」
縋るような声も聞かず、ムラサキは下着から指を引き抜くと、二枚の布を同時に取り払いにかかった。
「止め…っ」
「ここまで来て」
抵抗するように足に力を込めた桔梗に、ムラサキは冷ややかな視線を落とし、
「本当にやめて欲しいなら」
少し摺り下ろした布の上から再び手を突っ込み、親指で芽を撫で、
「あう…っ…!」
「良いさ、もう一度"止めろ"と言ってみなさいな?」
「……っぁん!」
人差し指をごく浅く、秘裂に埋めた。

「あ…あっ…」
「ほら、もう一度言えば止めてあげるさ…これ以上は入れないよ」
突然与えられた解放の条件に、桔梗は再び恐怖を感じた。

直ぐにでも"止めろ"言えば、この行為は終わる。
終わるのに、体が、意思が、別の願いを欲しているのに気づく。
「う…」
脳が痺れた、脊髄が震えた、僅かに侵された場所が熱く…正確にはその奥が酷く熱く、疼いていた。
とっくに気づいていた、その願望。
体が、心さえもが求めだしていたその感覚。
「さあ…どうしたんだい?」
「……うぅ…っ」

刺激を与えるポイントから逸れた場所を撫でる親指が恨めしかった。
それ以上侵してこない人差し指がもどかしかった。

それらの感情をはっきりと言葉という形で知覚した瞬間、最後の理性という名を模していた"恐れ"が消えた。

「……」
足から力を抜き、少し閉じる。下着が落とされやすいように。
震える手がムラサキの背に回り、顔を隠すように引き寄せた。
「桔梗? "止めろ"といわないのかい?」
意地の悪い、笑みを浮かべた声。
そう言いながらも、手は動き出して肌着も下着も取払っているくせに。
敗北したという悔しさと、久々でありながら未知である感覚に対する期待がないまぜになり、桔梗は唇を噛むとと小さく首を振った。
「そうかい、じゃあ遠慮はしないよ…」
ムラサキの体が割り込み、晒された足を開かせた。

脱がしきれなかった薄紫色の履き物はたくしあげられ、濡れたその場所が露になる。
「ん…う…ぅ」
ムラサキの視線が注がれているのを感じて羞恥に顔が染まる。
「もう十分だと思うけど、もう少し濡らしておこうかね」
「…な、何…を」
ふと視界から消えたムラサキの頭に、桔梗は慌てた、が。

「あぅっ…!?」

刹那、白い感覚が頭まで突き抜け背が仰け反った。
「ぅ…っあ! や…何を…!」
本当はわかっている。
はしたなく響く卑猥な水音と、時折聞こえる溜息のようなムラサキの声。
「あ…あぁ…っ!」
僅かに膨れた芽を、舌で転がされている。
それが与える感覚に足の震えが酷くなった直後、柔らかな舌は下へとずれて中へ割り入ってくる。
「ムラサキ…殿…! そんな…ぁあっ」
決して綺麗といえるわけもないそこを執拗に舐られて、桔梗の頭が白く塗り潰されていく。
両の目を何かから庇うように交差した腕で覆った直後、
「は…うっ、ぁ…ん!」
「ん…っ」

一際強く、舌を差し込まれて瞬間引き抜かれ、

「…っ!」
ちゅ、という水音が聞こえたかと思うと芽を吸われて、

「―――ぁあッ!!」
桔梗は足元から頭の先まで電流を流されたような感覚を覚えて、その身を大きく仰け反らせた。

「…は…あ…」
達して、肩で息をする桔梗にムラサキは笑みを浮かべる。
「イっちまったのかい?」
「……」
ムラサキの問いに桔梗は呆然とした表情を返す事しか出来なかった。
霞む視界に意識を集中しようとしても、余韻が体を支配していて上手くいかない。
「おやおや…まだ奥まで入れてもいないのにねえ」
「う…っ」
からかうようなムラサキの言葉に、少し意識が覚醒した。
意識の覚醒と同時に羞恥心も湧き上がるが、それよりも体の奥で燻り始めた火種がある。
「う…あ…」
ちろちろと体の芯を舐めるように燻る火が熱い。
奥に潜む欲望の火種を掻き消したくて、しかしどうすればいいのかわからず身を捩る。
「桔梗?」
ムラサキの下では己の身を抱いてその衝動を抑えることも出来ず、桔梗は歯を食いしばった。
そしてムラサキは、桔梗のそんな様子を見て思い至る。
ふっ、と笑うと優しくその身を抱いた。
「ぁ…」
「可愛いねえ…桔梗、欲しくなっちまったのかい?」
柔らかな白銀の髪を細い指で梳きながら、ムラサキは桔梗の頭を撫でる。
指が通る感覚、頭を撫でられる感触、ムラサキが与えるそれら全てが桔梗の奥に風を送った。
風に煽られた火は、少しずつ少しずつその勢いを増していく。
「アタシには男にあるような物は無いけど」
頭から手を離し、桔梗の頬をなぞる。

視界に入った細く白い指。
「それでもアンタを満足させてやれる位には、心得てるよ」
それが、欲しいと思った。
「最初っから玩具なんて使ったって、満足できやしないよアタシは」
もう、どれほどの羞恥心を抱くことになっても、
「アタシは、アタシの全てでアンタを愛して、手に入れてやりたいんだからね」
この疼く体を鎮められるなら…。

寄せられた唇に、自らも唇を寄せる。
触れ合ったそこから甘い刺激が心地よく広がっていく。
けれどそんな弱い刺激では、心地よくはあっても疼きは増すばかり。
桔梗は体の求めるままにムラサキへ縋る。
「ん…」
甘い甘い舌が絡み合う。
桔梗の奥でとくんと一つ、鼓動が鳴った。
そして、それが聞こえたかと思えるほどにタイミングを合わせて、
「ふ…ぁあ…ッ」
侵入してきた指に、たまらず声が漏れた。
「まだまだ…序の口さね」
中指一本埋めていくムラサキの顔が僅かに紅潮していた。
目の前で喘ぐ桔梗の姿が、いとおしくて仕方なかった。
その姿を見ているにつれ、ムラサキの中にも衝動が突き上げてくる。

もっと乱してやりたいと、もっと鳴かせてやりたいと。
本当は今すぐにでももっと激しく、壊すくらいに掻き混ぜてやりたい。
けれど、本当に壊れてしまいそうだから、それは嫌だからどうにか抑えて。
少しずつ少しずつ…桔梗の体も心も侵して手に入れる。

「……っはァ…」
桔梗の中に限界まで中指を埋め込むと、息を吐く。
桔梗は小さな呟きのような声を途切れ途切れに漏らしながら、小刻みに震えていた。
「桔梗…? いいかい?」
「…ぁ…っく」
我ながら気遣いなんて、なんて今更だろうと苦笑しつつも、頷いた桔梗の様子に箍が外れかけた。
「…く」
それをどうにか押さえ込み、ゆっくりと内壁を撫ぜ回す。
「あ…ああぅ…ッ」
「……」
静かに、淡々と行われる行為に桔梗はたまらず首を振る。
もっと奥へと促すかのように秘裂からは愛液が溢れ、ムラサキの動きを助ける。
まだ、とムラサキは自分を御した。
いずれは外れる、自分の箍も桔梗の箍も。
それでもまだその時ではなくて、来るべきその時の為に探している。

…いや、探してから始めようとしている。

「桔梗…?」
「あ…んっ…何…」
「アンタはアタシを壊そうとしてる」
「……何を、馬鹿な…ぁ」
「本当だよ、アンタはアタシを壊そうとしてる…」
くい、と中指を折り曲げて突き上げる。
桔梗の体が跳ね、浮いた背に空いている腕を回した。
「っ…あ…ムラサキ…殿…!」
「だからアタシはアンタを壊す」

お互い壊れて堕ちれば良い。

「桔梗、アンタはアタシを求めたね?」
角度を変えて、突き続ける。
その度に桔梗の声が耳を通じて脳を焼く。
「あ…ああ…っ」
最早隠しようも無い、ここで偽り何になる。
桔梗は小さく、しかししっかりと頷いて見せた。

焼ききれそうだった。
ムラサキは脳髄が、桔梗は脊髄が。
ムラサキは眩暈すら覚えるその熱に耐えながら桔梗を嬲り、
桔梗は最早内の触覚だけを残して自分から切り離されたような下半身の脱力感に、意識が浚われそうになるのを耐えていた。

限界が近い。

ムラサキの脳裏にそんな言葉が掠めた時、

「ん……ッァあ!」
一際高く、桔梗が鳴いた。

ムラサキはほくそえみ、抱いていた桔梗の体を乱暴に畳へ押し付ける。
「桔梗、もっと強いのがお望みかい?」
「ぇ…あ…っ」
「ここに、もっと強い刺激が欲しいかい?」
「んうっ!」
ただ一点へ向けて、ムラサキは二本目の指…人差し指を埋め始めた。
その侵入の感触だけで息が詰まりそうだった。
それでも桔梗の欲望はそれ以上のものを求めている体に、それを与えてくれるムラサキに、既に屈して理性を投げ打っている。
「あう…っ、ムラサキ…殿…もう…」
意地の悪い質問は止めてくれと言う目で、ムラサキを見上げる。
「もう…おかしく、なりそう…だ…」
恐る恐るといった具合で腕が伸びる。
強引に体を押し付けたムラサキだったが、その抱擁を求める腕を払ったりはしない。
「お願い…だ、もう…」

――"狂う"前に、"狂わせて"欲しい。

二人は、同じ言葉を小さく小さく呟いた。
その直後、

「――っああ…っ!!」
「…ッく…!」

桔梗はムラサキの背に回した手で全ての繋がりを託して縋りつき、
ムラサキは桔梗に引き寄せられ触れ合った肌の熱さに応えてその芯を穿つ。

互いが互いの行為に最後の箍を外され、後はもう堕ちるまま、求めるままに相手を、快楽を求めた。

「ここが、イイんだろう…? やっと見つけたよ…!」
「や…ああっ……!!」

桔梗が最も高い声を上げる一点を狙って、指を折り曲げながら何度も何度も摺り立てる。
抜いたり入れたりはせず、奥に埋めたまま撫で付け、突き上げる。
淫猥な水音が、溢れる愛液の量が増えると共に大きくなっていく。

「はしたないね…こんなに濡らしちまってさ…!」
「嫌…ぁ、私は…っあぁ…!」
桔梗の中が少しずつ収縮し、ムラサキの指を締め付け始めた。
「いいんだよ、それで。アタシはそんなコが大好きさ…いいや」
触れ合う面積が増えた中を、くちゃくちゃとわざと音を立てながら責め立ててその音を桔梗の耳に届かせる。
聞こえてしまうのだろう、喘ぎながらも小さく首を振ってその音から逃れようとしていた。
「アタシは、アンタを愛してるから…」
その言葉に、一瞬桔梗の動きが止まる。
「アンタの全てが、いとおしいよ…ッ!」
更に薬指が埋まるほど、桔梗の中は柔らかく口を開いていた。
「あ、ああ…あああ……ッ!!」
背に回していた手を首と頭へ滑らせて、桔梗は力強くムラサキの頭を抱いた。

「や…ムラサキ、殿…もう…もう…!」
背筋を駆け上がってくる何かに貫かれながら、桔梗は必死に懇願する。
「ああ、いいよ…気をやっちまいなさいな…!」
「あ…んん…ッ!」
仰け反った桔梗の白い首に甘く噛み付きながら、ムラサキは指を一旦引くと奥に叩きつけ、少し膨れた芽を親指で撫で潰した。

「――い……や、あぁあ……っッ!!!!」

体を貫いた白い熱に、桔梗の視界と意識が奪われた。
"愛してるよ"と呟くムラサキの熱に浮かされたような声が遠く響き、意識が白い闇の中に呑まれる。
力なく落ちた腕が脇にあった何かに触れた。
それが自分のよく知る何かのはずなのに何であるか思い出せず、意識は考える事を放棄し白い闇の支配にその身を委ねた――。

「……気がついたかい?」
どれくらい気を失っていたのだろう。 暖かな抱擁の中、桔梗は目を覚ました。
「ん…ぅ…私、は」
「眠っちまってたね、小一時間ほど。まあアタシも少し前に目が覚めたのさ」
ムラサキの抱擁に応えてしがみ付くでもなく、抱かれるままに身を寄せ胸に頭を預けた形で、桔梗は自分の行為を思い出していた。
思い出せば羞恥に顔が染まる。けれど、同時に理解する。それは自らも望んで行った事。
壊されたなど言い訳で、壊される前に逃げる機会はあったのに、自分は欲に負けてそれを求めた。
それが敗北なのかどうかさえ、よく解らない。

黙って髪を梳くムラサキの指が心地よく、しかし同時に恐ろしかった。
ムラサキの本気は理解できたから、だからこそ怖かった。
「……っく」
「桔梗…?」
気がつけば、頬を涙が伝っていた。
悔しさではなく、ただ恐れから。
「…馬鹿な、子だね」
ムラサキはそっと口を寄せ、その涙を舐め取る。
「安心しなさいな…アタシは」
桔梗の恐れを見透かしているかのように、強く。
濡れた頬を両の手で挟みこんで、赤い瞳にその視線を焼きつかせるように。

「アタシは、そう簡単にくたばっちまうようなタマじゃないからね」
「―――ッ…!」

弾けた。感情に落とされていた"蓋"が音を立てて。

「アタシは…もっともっとアンタを虜にしてやるのさ、だからアンタを置いて逝ったりしない」

その言葉になんの保証もなくても、ただの言葉を今は縋るように求めた。

顔を胸に押し付けて、声を殺して泣く桔梗を、ムラサキはただただ撫で続けていた。
桔梗の背の向こう側、包まれた彼の人を睨み付けながら――。

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