Love Song -コイノウタ-


夜の街―――

住宅街は既に眠りについたような時間でも、この辺りは異様なほどに煌びやかなネオンや電飾で輝いている。

そんな街で売り買いされているのは、愛。
しかし、ラブソングや小説の中に描かれるそれとは、まったく違うものである。
人間が産み出した、歪みきった・・・偽りの愛。
この街は、そういった『欲望』の渦巻く街。そして―――

―――私の生まれた街。

私は物心付いた時から、この場所に居た。
もちろん親の顔なんか覚えていないし、正直思い出したいとは思わない。

客観的に見れば、こんな夜の街に幼い子供が居るというのは、さぞかし異様な光景であっただろう。
しかし、誰も私を見てはくれなかった。
当然といえば当然である。大人達は皆、自身の醜い欲望を満たすためにこの街を訪れているのだから。
この街は、『私』という存在を認めてはくれないのだ。

孤独だった。
寂しかった。
苦しかった。

―――いつからか私は、歌を唄うようになった。私はここに居るんだと訴えたかった。
心の中に在る、何も飾らない感情を、精一杯吐き出して唄う。
始めは嘲笑を浮かべていた大人達も、徐々に私の歌に耳を傾けてくれるようになっていった。
思えばこの頃からだろうか・・・。
私が自分自身を『かごめ』と呼び始めたのは―――

「―――When will be
all the flowers florish the way they want to be yet
The dance has don go around
The dance we've done go around
In blue moon sea ―――」

今日も私は街で歌を唄う。
私が唄い終わると、あの頃とまったく変わらない醜い大人達が、少しの同情と、嘲笑を合わせたような目を私に投げつけた後
私の前にお金を置いて、眠らない夜の街へ吸いこまれていく・・・。
しかし・・・その行為は心からの善意では無い事くらい、私にだって分かる。
『自分は、こんな貧しい子供に金を渡してやったんだ』
濁った瞳の奥から、こんな偽善と優越感に浸る光が滲み出ているから。

私はお金なんか必要無いのに・・・ただ、『私はここにいるよ』と伝えたいだけなのに―――。
気が付くと、私の瞳から一筋の涙が伝っていた。
「―――――――――寂しいよ・・・」
無意識に喉から溢れるように零れ出した言葉は、まるで初めから存在しないかのように、夜の闇と妖しいネオンの光の中へ掻き消されていった・・・。

事実、私にはお金なんて物はほとんど必要無い。
最低限の衣服と食品、それに雨を凌ぐ為の、小さな、小さな私の部屋。
それだけ有れば、私の生活に支障はない。

友情や愛情など、いとも簡単に崩れ去ってしまうもの・・。
私は、夜の街で、人間の汚いところをたくさん見てきた。だから、
自分を着飾ったり、他人の為に自分を犠牲にするような行為は、本当に馬鹿げていると私は思う。

私は一人で生きていく。生きていくために私は歌を唄わなくてはいけない。

私の中で、唄うことの意味が変わり、からっぽの心の中で、小さな灯が消えようとした頃・・・

・・・私は、彼女と出会った。

いつもと変わらない帰り道。
街のネオンは、路地裏の暗闇には届かず、まるで浮世のような賑やかな音だけが、弱々しく遠く響くばかり。
疲れきった身体をなんとか運び…家路を急ぐその刹那、私の視界に何か白い物が映りこんだ

なんだろう…。

ほぼ反射的にその「何か」を目で追い、地面に落ちたソレを拾い上げる。

 ――――羽根・・・・・?

見るとソレは、地面に落ちて少し汚れていたものの、まるで何の穢れも知らないかのように、
ただ白く、白く私の瞳に映りこむ。

何でこんなところに羽根なんて・・・

考え込む間も無く、奥の暗がりからゴソゴソと物音が聞こえてきた。

無意識のうちに、私の足はゆっくりとではあるが、物音のする方向へ進んでいく。
暫しの沈黙の後、意を決して声を発してみる。

「誰・・・?誰か居るの・・・・?」

しばらく後、声に反応したのか
『ん・・・んんぅ―――』
という小さなうめき声が聞こえ・・・暗闇の中から、ぼんやりとした影が浮かび上がってきた。
やがて影は、ハッキリと形を成していき・・・それに伴い、私の思考はフリーズしていく―――

 ――――少女。

私と同じ位の・・・いや、もしかしたら私よりも年下かもしれない、そのくらいの容姿の。
これだけでも考え難い状況だというのに、最終的に見せ付けられた事実に、私の脳は完全に停止することになる

 さっき見つけた羽根は・・・紛れも無く、少女の「背中」から生えている。ということ

緊迫した状況の中で、先に言葉を発したのは、私のほうだった。
私は必死に言葉を紡ぐように、小さくだが少女に喋リ掛ける。

「どうしたの?こんな夜中に・・・」
もはや、背中から羽の生えている人間に「誰?」などと伺うこと自体が、意味の無いことだと思ったからだ。
彼女はキョトンとしながらこちらを見つめつづけ、無秩序に語り出した。

『えっとねぇ・・・わたしが神様からのお仕事で、ちょっと飛んでたらね、』
彼女の指は上空を指す。
『そしたら、こう・・・ちょっとよそ見をしてたら、バァンって、そこに』
指が虚空を移動し、それは目の前のビルの壁を指していた。
『痛かったなぁ・・・・そういえば、おねぇさん誰?』
誰?じゃない。むしろこっちが聞きたいくらいだ。しかも今の話だと、彼女は「神に仕える存在」――――『天使』
いや、まさかそんな馬鹿げたことは・・・。とにかく、今は名前を聞かれているのだ、名乗っておいた方が無難だろう。

「かごめ・・・。かごめでいいわ。でも、人に名前を尋ねるときは、まず自分から名乗るのが礼儀でしょう?」
未知のものに対する恐怖からか、私の喉は無意識に皮肉を込めた言葉を吐き出していた。
しかし彼女は、皮肉だとは微塵も思わなかったようで、それどころか私の名前を知って嬉しげに微笑むばかりであった。
そして、その笑顔のまま、両手を胸の前で組み、戸惑う私にサラッと言ってのけた。
『わたしはポエット、神様の元に仕える天使です。・・・・まぁ見習い、みたいな感じだけどさ・・・♪』

「天・・・使・・・・?」

状況から考えれば、それは最も的確な「結論」だった。
しかし、私は・・・いや、まともな思考を持った人間ならば、普段は神話や伝説にしか登場しない存在が
急に目の前に現れても、まず「はいそうですか」とは納得できないものだ。
沢山の疑問が頭の中で交錯するのが分かる・・・「本当に天使なの?」「神なんて実在するの?」――――「ドウシテ私ナンカノ前ニ姿ヲ現シタノ?」
その全てが喉の奥で堰き止められ、「言葉」になれずに再び私の中の深淵に沈み込んでいく。

「・・・・馬鹿みたい。」

―――いつもそうだ。
私の伝えたいことは、本当はこんな言葉じゃない。伝えたいことはたくさん有る。数え切れないくらいに。
それなのに・・・・何故、何故私の喉は、素直に感情を・・・この、私一人では持ちきれない寂しさを叫んではくれないのだろう。

私は恐る恐る、ポエットと名乗った少女の顔色を伺う。

意外なことに、ポエットは『その言葉は聞き慣れている』とでも言いたげに微笑を崩さずにいた。

『う〜ん・・・・どうやったら信じてもらえるかな・・・』

不敵に微笑みながら首を傾げ・・・・『そうだ』と小さく頷く、そして彼女はゆっくりと私の前に右手を差し出した。

「・・・・何?」
私が、いかがわしげに問い掛けると、ポエットは悪戯っぽく目を細め、何かをブツブツと早口で唱え始めた。
そして、私に差し出された手を一旦握りこむ。その瞬間握った手の隙間から、ぽうっ・・・と暖かい光が漏れる。

光が闇に霧散すると、彼女が開いた掌を私に差し出す・・・
そこには小さなかわいい葉っぱが、顔を覗かせていた。

 ――――四葉のクローバー。幸運を呼び寄せるといわれる、シンボル。

『・・・これで、信じてくれる?』

少し誇らしげに、ポエットは笑っている。

彼女は本当に天使だった。それは紛れも無い事実。

―――それなのに、この感情は何なのだろう。
信じられない、というよりは・・・信じたくないと思っている私の、感情の渦は。

本当に神が存在するのなら・・・どうして・・・どうして私は―――

「・・・どうして・・・・?」

『・・・?』
ポエットは不安げに顔を傾げる。

「どうして・・・?・・どうして!?もし神様が居るのなら、私は・・・いえ、なんで私だけこんなに不幸なのよッ!!!」

耐え切れなくなった喉の堰が崩れ、私は泣き叫ぶように、目の前の「天使」に訴えかける。

「神からの愛は平等に降り注ぐ!?あんなの嘘っぱちだわ!!それとも私には、神の愛を授かる権利なんて無いって言いたいの!!?」

瞳からは、今まで堪えて来た涙が溢れ、頬を伝い、地に零れる。
私は天使に縋り付き、その場に崩れ、泣き続けた。
掴んだ手を離したら、そのまま夜の深淵に落ちてしまうような、そんな孤独感、寂しさ。


「どうしてなの・・・?ねぇ・・・そんなの・・・寂しいよ…―――」
顔を上げ、滲んだ瞳のピントを朧ろげにポエットに合わせた。

―――何故だろう。
   目の前の天使の瞳からも、一筋の涙が伝っていたのだ。

「どうして・・・?なんであなたが・・泣く必要が・・・ある・・・・のよ・・・ッ」

止めど無く流れ出す涙を必死に拭う。喉からは、感じたままに声が生まれ、夜闇に放たれる。もう、私自身で抑制することは出来ないのだ。
私の前の少女は、嗚咽交じりの言葉を、必死に聴いてくれている。
少しでも気を散らすと、そのまま夜に呑み込まれて行きそうな言葉を、紡ぎ、受け入れる様に。
流れる涙に負けないように、精一杯の笑顔を繕い、私の言葉に頷き、静聴する。

 ―――どうして彼女は、私なんかの為にここまでしてくれるのか

  ―――どうして貴方は泣いているの?どうして私なんかの為に。

 私がもう一度顔を上げ、ポエットの姿を視界に映したのと、彼女が行動を起こしたのはほぼ同時だった。
先程までは、彼女の肩から少し飛び出るほどの大きさしかなかった羽が、彼女の背丈よりも大きな「翼」となり、ゆっくりと私を包み込む。

 

 ―――本当に彼女は、今ここに存在しているのだろうか。この欲望に支配されたような世界で、こんなにも澄み切って、こんなにも白いまま、在る事が出きるのだろうか。


私の視界が、ゆっくりと遮断されていく。まるで青白い光のような翼によって。
不思議と怖くは無い。
全てを塗り替えてくれるような白。
ほんの少しの何かで、すぐに穢れてしまうような、白。
包まれていく。私の視界だけではなく、意識、感情までもが。
覆われていく。白く、白く―――

ぼんやりとした意識の中。やけに感覚だけが鋭く感じられる。
辺りには、何も無い。何処までも広がる、白い地平線だけ。
きっとここに存在しているのは、私と貴方だけなのでしょう。

 鼓動の音は、二つ。

『かごめちゃん・・・』

見れば、私も彼女も、何も纏ってはいなかった。
しかし恥ずかしくは無い。これも薄れた意識の所為なのか。

『さぁ、あなたはもう一人じゃない。だからもう泣かないで?ね、かごめちゃん・・・』

そっとポエットは私の目元を親指で拭い、そのまま唇をなぞる。

そしてお互いに惹かれ合うように、私達は唇を重ねた。

それから何回も、私達は抱き合い、キスを重ねた。
まるで小鳥が、くちばしをコツンとくっつけるような、幼いキス。
それだけでもポエットは、息を少し荒立てていた。

『はぁ・・・ん・・・は・・・・かごめ・・ちゃ・・』

今度先に行動を起こしたのは、私のほうだった。
言葉を喋り終えないうちに、私は少女の幼い口に舌を差込む。

『ふ・・・んぅ!?』

初めての事に、彼女は一瞬戸惑ったが、その後すぐに快楽に駆られ、おずおずと舌を絡ませてきた。
少しだけ塩の味がしたのはきっと、流れた涙の味だったのだろう。

「ん・・はむ・・・ん・・くちゅ・・・」

今まで体験したことの無い、他人の舌に自分の口腔を、ねっとりと犯される感覚に、私達は背筋を震わせた。
ポエットの舌が、縦横無尽に私の口の中を舐め上げ、歯列の裏をなぞる。
それに応えるように、私もポエットの舌に自らを絡め、吸い寄せ、唾液を交換する。


時間が経つにつれ、私達のキスは、より激しく、より淫靡になっていく。
私達の荒い呼吸音と、耳をくすぐる水音だけが、白い空間に響いている。

ポエットが私に口から舌を引き抜くと、二人の間に銀の糸が引く。
キスの余韻もそのままに、いつの間にか私の上に馬乗りになったポエットが、私の首筋に舌を這わせ始める。

『ふふ・・・どぉ・・?・・・気持ちぃ?』

先程のように彼女は悪戯っぽく目を細める。しかし先程とは違い、彼女の瞳は、熱くトロンとしていて、
その幼い顔つきとのアンバランスさが私にとってはすごく神秘的に見えた。

「ぁ・・・はぅ・・・・く・・・ぅん」

チロチロと細かい刺激が首筋を往復する。その度に私は切なげに甘い息を漏らし、反射的に身体をピクピクと強張らせる。

『かごめちゃん・・私がペロペロすると、ピクッてなって・・・かわいい』

彼女は明らかに私の反応を見て楽しんでいる。
それは私の羞恥心を一気に煽り、そのせいで私の身体は更に昂ぶり、彼女の稚拙な愛撫に合わせて、ビクビクと軽く痙攣を起こす。

「はぁ・・・ん・・・ゃあ・・・見ちゃ・・いや・・ぁあ・・・・っ」

『なんで?今のかごめちゃん、すっごくかわいいよ・・・?それに・・・』

ポエットは口を私の耳まで移動し、吐息混じりにこう囁くのだ

『それに・・・今のかごめちゃん、すっごく・・・えっち』

言葉を喋り終わるのと同時に、彼女は、服の上から、私の胸の頂点を親指で擦り上げた。

「やぁあっ!?はぁ、っあ・・・」

突然の胸への刺激に言葉責めが重なり、私は切なげな声を張り上げてしまう。
その表情を見て、さらに甘い何かを瞳に宿らせたポエットは、くにくにと、私の、お世辞にも大きいとは言えない双丘の頂上をこねくり回す。

「ちょっ・・・やめて・・・っ・・あぁ・・ん・・にぁ・・!」

断続的に送られる、さっきのキスとは比べ物にならないほどの刺激に、私はギュッと目を瞑り、甘い声を上げつづけた。

『かごめちゃん・・・?・・・そう、この辺が気持ちぃんだね・・?』

ポエットは、私がより大きく仰け反り返るのを見ながら、私の弱点を執拗に指先で責めあげる。

『服の上からじゃ物足りないよね・・・?もっと気持ちぃくさせてあげるからね?』

そう言いながら、今まで首筋を這っていた舌先が、徐々に徐々に下へと下がってくる。

「いやだ・・・・いやぁだ・・・うぅ・・・んぅ」

私の口からは、彼女を拒絶する言葉が情けなく切れ切れに出てくるし、私の首は無意識にイヤイヤと横に振られている。
しかしそれが私の本心というわけではない。
その拒絶の言葉さえも、今の私達には甘い媚薬になり得るのだから。

彼女もそれを理解しているようで、首を振る私を後目に、そっと服をはだけさせていく。

『イヤだなんて言ってる割には、何にも抵抗しないんだね・・』

不敵に笑いながら私の双丘に、とろとろと唾液を絡ませながら舌を這わせる。

「あ、ぁ・・・ひゃ・・・ぁ・・あぁっ!」

ぴちゃぴちゃという粘着質な音を立てながら、私の胸の上で、何かが這いまわる。
生まれて初めての快感に、私はただ背筋を反らせて絶えるしかなかった。

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