Twincle Twin Stars



――世界は、
   ずっと、ふたりだけのものでした。

「……ん。ふっ……」
ぼくらの部屋に据えられた二段ベッド。その木の枠で囲まれた小さな世界は、甘い吐息でいっぱいだった。
声の主は妹ではなく、ぼく。
ぼくの大切な部分は今、妹にくわえられ、舌で転がされていた。
その温度とやわらかな動きに耐え切れず、ぼくは思わず声を漏らしてしまったのだ。
「ちょっとお兄ちゃん! 声が大きいってば!」
足元から、ぼくをたしなめる妹の怒った声が小さく聞こえた。
「……仕方ないじゃないか。お前の口の中、気持ちよすぎるんだもん」
「がまんしなさい、っていつも言ってるでしょう。万が一、パパとママが起きて来ちゃったらどうするの?」
「ごめん……」
「まったく。お兄ちゃんはいつまでたっても子どもなんだから」
それは仕方ない、とぼくは思った。だって、事実ぼくらはまだ子どもなんだし。
「今度変な声出したら、もうやめるからね」
そう言って、妹は改めてぼくの股の間に顔をうずめた。
あの暖かさが再びぼくのものを包む。
妹の『フェラチオ』はうまい。しかも、日に日に上手になっていくような気がする。
きっと妹は、ぼくがどうすると気持ちいいか、全部わかっているのだ。
それはぼくらが双子であることと、無関係ではないのだと思う。
かく言うぼくも、妹のどこが弱いか、どうすれば感じてくれるか、手に取るようにわかる。
二人は、お互いの体の隅から隅を生まれながらに知り尽くしているのだった。
そんな妹は、ぼくのものをくわえたまま、上下に顔を動かしている。
隙間から出入りする唾液と空気が混ざり合って、ちゅぷちゅぷと音を立てる。
時折口を離し、まだ大人になり切らないぼくの先っぽを刺激する。
ぼくのものを覆っている包皮を器用に剥き、露わになった内側の部分を舌でねぶるのだ。
その動きの一つ一つにぼくは昂ぶり、あっという間にその瞬間を迎えた。
「ごめんっ……! もう、限界っ!」
さっき注意されたばかりだというのに、ぼくは思わず叫び声を上げてしまう。
本当に妹はやめてしまうかと思ったけれど、大丈夫みたいだった。
困ったような上目遣いでOKのサインをぼくに送ると、上下運動のスピードを上げる。
ぼくは安心して、彼女の口の中に熱いかたまりを吐き出した。

  ☆   ☆

二人一緒にこの世に生を受けて十年。いや、もうすぐ誕生日が来るから、ほぼ十一年。
わたしたちはいつだって、何でも一緒にやってきた。
たとえば、おもちゃで遊ぶとき。
ひとりじめなんて絶対にしない。
もし、与えられたものが一つしかなかったら、そのときは一つを二人で使える遊び方を考えた。
たとえば、学校の宿題をやるとき。
わたしは算数が得意。お兄ちゃんは語学が得意。
どちらかにわからないところがあったら、自分のをそっちのけにしても、わかるまで教えてあげた。
たとえば、病気をしたとき。
一人が風邪をひいたりしたら、もう片っぽは治るまでベッドの枕もとでじっと見守ってあげた。
結局そのせいでうつされて、二人一緒にお医者にかかるはめになったりもする。でも、それでいいのだ。
たとえば、家族で旅行をするとき。
旅先には、一度しか見られないものがいっぱいある。
自分だけでそんな大切なものを見るのは嫌だったから、わたしたちは常に二人で行動した。
たとえば、猫を飼ったとき。
公園で見つけた二匹の小さな黒い捨て猫。
パパとママは、両方は無理だと言ったけれど、わたしたちは断固として譲らなかった。
とうとう二匹とも飼うことを許してもらった後、わたしたちはそれぞれに自分のを文字って名前をつけた。
ほかにも数え切れないくらいたくさんのことがあった。
その全部を、わたしたち双子は同じように分け合ってきた。
たぶん、世界中のどんな二人より仲がいいと思う。それこそ、神様に運命で結ばれた恋人よりも。
恋人同士の小指を結ぶ赤い糸は、二人が出会うまで、たとえそこにあっても気づけない。
でも、わたしたちは違う。生まれたときから一緒だったから、その瞬間に運命の結びつきを知ることが出来た。
これまで一度だって離れたことはない。これから先も一度だって離れることはない。
誰よりも強く、誰よりも深い結びつきを持った、最強の双子なのだ。
わたしはそれが幸せだった。
お兄ちゃんと出会えたこと。
同じ魂を分け合って生まれてこれたことが。

   ☆   ☆

こくんこくん、とのどを鳴らして、妹はぼくの放った精液を飲み下した。
そこまでしてくれる必要はないといつも思うのだけれど、彼女いわく、「おなかの中でもお兄ちゃんを感じられる気がして嬉しい」のだそうだ。
一度、ぼくも妹からの口移しで味わったことがあるけれど、正直、苦くてどろっとしていて、決して美味しいものじゃなかった。
ちなみに妹は野菜ぎらいだ。……なんと言うか、尊敬する。
「……はぁ。ごちそうさま」
「……おそまつさま」
妹が口を開くと、端っこの方から飲みきれなかった白い液体がつう、と一筋垂れ落ちた。あわてて彼女はそれを手の甲で拭う。
「えへへ。どう? 気持ち良かった?」
口での行為が終わったあと、妹は必ずぼくにそうやって尋ねるのだった。
わざわざ聞かなくてもわかっているくせに。
たぶん、ぼくに対する嫌がらせだと思う。照れるぼくの顔を見て、おもしろがっているのだ、絶対。
でも、そうとわかっていても、やっぱりぼくは妹の笑顔に抗うことはできなくて。
「気持ち良かったよ」
と答えてしまう。
「じゃあ、お礼ちょうだい」
そして、ぼくの返事に対する妹の切り返し。これもいつものパターン。
得意げに、顔全部が笑いになったみたいな顔をして、妹は自分のパジャマのズボンを引きおろす。
あらわになるのは、最近になってほんの少しだけうぶ毛が生え、微妙に大人な妹のあそこ。
ぼくのものを舐めながら何を期待しているのやら、とっくにHな汁でびしょびしょになっているその部分は、それを覆う布から離れるときに一筋の糸をひく。
上からのぞき込めば、まぁるく染みができた彼女お気に入りのねこ柄パンツが見られることだろう。
そこをぐぃっと前に押し出して、ほらほらとばかり、さらに自分を高めてくれる愛撫をぼくにねだるのだ。
「お・れ・い」
「……了解」
いつもながら妹に主導権を握られていることにちょっと不満を覚えつつも、ぼくは彼女に従ってしまう。
身を乗り出す妹に向けて、ぼくはそっと指を伸ばした。

   ☆   ☆

……そんな感じだったから、わたしとお兄ちゃんが『そういう関係』になるのは、たぶん必然だったのだと思う。
わたしだって、もう何も知らない子どもではないのだから、普通は兄妹でそんな恋人みたいにはならないことくらいわかっている。
それから、『そこ』がもっと大人になるまで足を踏み入れるべきでない場所であるということも。
でも、そもそもわたしたち二人は『普通』の双子なんかじゃない。
どんな恋人よりも、どんな兄妹よりも、世界中の誰よりも仲のいい二人組。
だから、別に罪の意識なんて持つ必要はなかったのだ。
それはいつもの冒険と一緒。
二人で、今までやったことのないことをしよう、という軽い決意。
自転車で遠乗りしたり、森の中に秘密基地を作ってみたり、猫を飼ってみたり。
そんな些細な冒険と何も変わりはない。
知識はあった。
わたしたちの『冒険』の中には、ちょっと背伸びして子どもが読まないような本を読んでみる、というのもあったから。
もちろん、二人一緒に。
その時は、二人一緒にどきどきして、二人一緒に本を閉じただけだった。
大人になったらこんなことをするんだね、と笑いあっただけだった。
けれど、それでわたしたちの中には、きっと近い将来に二人でそれを試してみる日が来るだろう、という予感が芽生えた。
言葉ではなく、感覚として。
二人の絆がそう命じたから。
そして、それから何ヶ月かした、とある夜。
まん丸い月がとても綺麗に光っていて、そのせいかどうしても気持ちが昂ぶって眠れなかった夜。
どちらから、というのでもなく。
わたしたちは吸い寄せられるように、自然に体を重ねていた。


……初めては少し痛かった。
でも、お兄ちゃんは優しかった。
それが、わたしにはとてもとても嬉しかった。

   ☆   ☆

つぷり、と沈み込む感じがして、ぼくは指が妹まで届いたことを知る。
そのまま、内側を埋め尽くすひだひだを一つ一つ確かめるようにして、二本の指を奥へと進めた。
その指先の感覚を通じて、妹がぴくんと身じろぎするのが伝わってくる。
妹はあまり声を出さない。
パパとママに聞こえるのをはばかっているのもあるんだろうけれど、それよりも、もともと声では反応しにくい性質なのだと思う。
その代わり、筋肉の小さな動きと、顔に浮かぶ表情が豊かだった。
だから、ぼくはいつもそれを観察して、妹の快感の度合いを確かめるのだ。
届く限界まで行った指を今度は逆に手前に引き出し、抜けてしまいそうになった所でまた押し戻す。
それを徐々に早めつつ何度もくり返しながら、ぼくは妹の顔を見た。
月明かりが差し込む薄暗がりの中にほの見える妹の顔。
彼女は瞳を閉じ、ぼくの指の動きだけに集中しているようだった。
くちびるが小さく開き、そこから細く息が漏れている。
うん、感度は良好。ぼくはそれを見て取って、もうちょっと強い刺激を与えるために中指をくいっと上向きに折り曲げた。
妹はそれにも強い反応を示す。
大きな息のかたまりを吐き出し、全身が硬直する。
ぼくの指には、きゅっ、というしめ付けの形になって伝わった。
そんな風にして妹の反応を楽しみながら、その動きをどのくらい続けただろうか。
「……ね、お口も欲しい。キスして。ここに」
彼女から新しい注文が入った。
「心得ました。お姫様」
妹の命令には逆らえないのがぼく。言われたとおり、彼女の大事なところから指を抜き口を近づけた。
ちゅっ、と軽く音を立て、ぼくはくちびるでそこに触れる。
舌を差し入れ、にじみ出てきた液体をすすり、それから、少し上にちんまりとたたずむ可愛らしい突起に歯を立てる。
口でのご奉仕は妹の顔が見られないから寂しい。
代わりといってはなんだけれど、肩に置かれたてのひらにこもる力加減をぼくは感じ取る。
ぎゅうっと握り締めるように力が入るのが、一つの合図。
それで一回と一回。
おあいこだ。

   ☆   ☆

お兄ちゃんのどこが好き? と聞かれると、正直わたしは返答に困ってしまう。
顔はかっこ悪くないと思うけど、ただ、それはわたしとほとんど同じものだから別に目新しさはない。
(というか、わたしがかっこ悪くない、なんて言ってしまったら、要するに自分をほめてるのと変わらないし)
じゃあ、他の部分に魅かれているかといえば、それもないような気がする。
何せお兄ちゃんってば、気が弱い、どんくさい、優柔不断、と男としては最悪な三拍子が揃ってしまっているのだ。
矛盾を承知であえて言わせてもらうなら、どうしてこの人と双子なんだろう、と思ってしまうくらいわたしとは違う。
外で遊ぶときだって、どっちかといえば先に立つのはわたし。お兄ちゃんはそのあとにくっついてくる感じだ。
強いてあげると、優しいところがいい所と言えるかもしれないけれど、それだけじゃなあ、という感じは否めない。
……んー。
だから、男の子としてのお兄ちゃんを好き、というのは絶対ない。
『よくわかんないけど好き』と答える以外、わたしにはできない。
なのに、でも、しかし、けれども、わたしはやっぱりお兄ちゃんのことが好きだ。
双子だから?
いや、そんな単純な理由でもない。
なんと言うか薄っぺらい言葉になってしまうけれど、『運命的な何か』がわたしを駆り立てているんだと思う。
何かにたとえるならば、双子星。
お互いがお互いを引っ張り合う力が強すぎて、一緒に宇宙をまわらざるを得なくなってしまった二つの星。
ネガティブな意味で言ってるんじゃない。
わたしはそれでいいと思うから。
むしろ、違った形で生まれてくるほうがよっぽど不幸だったと思うから。

まあお兄ちゃんを好きな理由とか難しいことは置いといて、とりあえず何か言うとするなら、わたしが言えることは一つ。
「わたしが守ってあげなきゃ、お兄ちゃんはダメだなあ」
……って感じ。


――ずっとそう思っていた。
――あの日まで。

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