キャンプ編


────秋
ご無沙汰してました。 佐藤です。
今年の夏の猛暑が嘘のように消えて、最近めっきりと涼しくなりました。
職場では変わらぬ日々が続いています。 でも…自分の周りでは何かが変わりました。 
でも何故そうなったかは僕にも見当がつかないんです…。 

昼休み、職場の皆は食事に出てしまい、僕一人だけがオフィスに居残った。
僕はタイミングを見計らうように、鞄からこっそりとピンクのハンカチに包まれた小さな箱を取り出す。
包みを広げると中から黄色い小判型のお弁当箱が現れ、フタを開いて僕は両手を合わせた。
「…いただきます」
今日はじゃこチーズごはんとロールキャベツか…。
ハートや星型に切りぬいたチーズやベーコンがお弁当全体にちりばめられていた。
僕は恥ずかしくなって顔を熱くしたまま、誰にも見つからないうちに、ぱくぱくと速いペースで食べ始める。

「…こりゃまたベタなお弁当だね……」
「ぶはっ!」
背後からいきなり声をかけられて僕は思いっきり吹きだしてしまった。
「きったなぁい! なにやってんのよ佐藤くんっ!」
「げほっ!ぐぇほっ!! …モ…モモコ先輩…お、お昼行かなかったんですか?」
「うん、今日は法務局よってたから、今来たところなのよ…ところで…」
「はい?」 僕は箸を咥えたまま間抜けな返事をする。
「……誰がつくったのコレ?」
モモコさんはお弁当を指差しながら冷ややかに言った。

僕はモモコさんから目を逸らしたまま、少し躊躇してから答えた。
「あ…じ、自分で作ったん…です…」
「もう、うそおっしゃい! でも…あの化け猫の仕業じゃなさそうね……」
はっきり化け猫と言われてしまった。 モモコさんに頭が上がらない僕は何も言い返せない。
化け猫っていうのは僕の飼い猫のことで…名前はししゃも。
バス停のゴミ箱で鳴いていたところを拾ってきた時は普通の仔猫だったんだけど…。
…何故かわからないが、ある日突然、人間の女の子になってしまった。
その秘密を知っているのは僕の他に、実際に目撃してしまったモモコさんだけなのだ。

「ごめんなさい…実は同じアパートの人が作ってくれるんです…」
「え? なんでこの時代にわざわざ他人の昼食まで世話するヤツなんかいるのよ? 長屋じゃあるまいしっ」
「いや…あの………なんで、と言うか…僕にもわからないんです…」

さかのぼって────8月下旬

「………はぁ…」
トレイを胸に抱えて溜息をつくナチュラルブラウンのウェーブパーマの女の子。
「にゃ? リエちゃん元気ない?」
ししゃもは飲みかけのミルクシェイクをテーブルに置き、心配そうに顔を覗き込んだ。
「あ…ごめんね、ししゃもちゃん…最近、ちょっとブルーでさ……」

ここは駅前のカフェ。 バイトをしているリエちゃんは服飾系デザイン学校に在学中の笑顔のかわいい子だ。
僕と同じアパートで僕の部屋の真上に住んでいる。 毎日ししゃもが騒いでドタバタと騒音を立てても笑って許してくれるんだ。
ししゃもが元猫だってことは知らないんだけど、僕が会社に行っている間はリエちゃんが仲良くしてくれている。

「…リエちゃん…どうしたのぉ? おなかすいたの?」
「あはは、大丈夫よ! 実はねー、9月に友達とキャンプ行く予定だったんだけど…」
「にゃっ!? キャンプってなんにゃ?」
「え? キャンプ知らないの!? んとね…お外でごはん食べたり…テントで寝たり…」
「うんうん♪ そんでそんで?」
「それがね…友達の予定が合わなくてダメになっちゃったんだ…くすん、すごく楽しみにしてたのにな…」
「にゃっ! リエちゃんかわいそう……キャンプってそんなにいいとこ?」
「そうね、前にも行ったことあるところなんだけど…川がきれいで魚がたくさん釣れるのよ」

『魚がたくさん』…そのキーワードはししゃもの猫魂に火を点けた。

「魚ぁ!? にゃーっ! にゃーっ!! 行きたい〜!」
「ほんと? ししゃもちゃん、一緒に行ってくれる?」
「うんっ! 帰ったらサト…じゃなくてぇ…おにいちゃんに聞いてみるから!」
ししゃもには外では僕のことを兄と呼ばせている。
兄妹でもない限り、僕と若い女の子が一つの部屋で住んでいるとなると、狭い町の中じゃ変なウワサになりかねないからだ。
「わぁ♪ もし一緒に行けたらすっごく嬉しいな! うん、良かったら佐藤さんも行きましょって誘ってみて!」

そしてその晩、僕もキャンプにいくことを強引にししゃもに決められてしまった。
もちろん一泊とはいえ、ししゃもから目を離すわけにもいかなかったし…
今年の夏はプールにすら行けなかったので正直すごく嬉しかったんだ。
成り行きなのだが、僕らは9月の土日を利用してキャンプに行くことになった。

────9月中旬
「んー…いい天気ですねっ♪」
リエちゃんは深呼吸をして、両手をいっぱいに広げて言った。
「うん、久しぶりに真夏日になりそうだね……寒くなくて良かったよ」
僕はテントの準備に苦労しながら空を見上げた。
「このところ涼しい日が多かったけど、今日はじっとしてるだけでも汗ばんじゃいますね…」
そう言いながらリエちゃんは胸元に手でぱたぱたと風を送る。

渓谷に沿ったキャンプ場は、沢山の自然に囲まれアウトドアには最高の場所だった。
川の流れはびっくりするほど清涼で、下流は都会の真ん中を流れているとはとても思えないほどだった。

「うん、ここってシーズンオフじゃなかったら、すごく人気ありそうだね」
見わたすと僕らの他にテントを立てているグループはちらほらとしかいない。
「そう! 去年の盆休みに来た時は端から端までテントで埋まっていたのよ!
 ……でも今日は日帰りで釣りやバーベキューをしに来てる人がほとんどね…」
「ほら、あっちに外国人の家族も来ているよ」
「ほんとだ! あはは、ダディクールって言ってるー♪」
「そう言えば…ししゃも何処にいったんだろ?」
「あ、川のほうにいたみたいですよ?」
なんて噂をすれば、ししゃもが慌てて走って帰ってきた。
「にゃっ! お、おさかなっ! た た た たくさんいたにゃっ!!」
なんだかものすごく興奮しているようだ。
「こら、ししゃも… お前も手伝えって」
「にゃあん、おさかな獲って!獲ってぇ!」
ししゃもは僕の袖を掴んで甘えた声を出す。

「わかったよ…テント出来たら釣ってやるから……」
「ほんと? じゃあ先に行ってるにゃんっ♪」
「あ、滑らないように気をつ……」
言い終わらないうちに、ししゃもは釣竿を掴んで走っていってしまった。
「まったく……」
呆れた顔で見送る僕を見て、リエちゃんはくすくすと笑っていた。
「でも羨ましい…すっごく仲がいいんですね」
「あ、ああ…あはは… でも心配してばっかりですよ…」
「わたしも…佐藤さんみたいなおにいさんがいたらなぁ……」
「……え?」
「い、いえっ! なんでもないですっ! あ…わたしサラダつくりますねっ」
リエちゃんは慌ててレタスを千切りはじめた。 
すると、あっというまにきれいな彩りのサラダが出来ていく。
「さすが女の子だね……どうしても僕が料理なんかすると大雑把でさ…サラダじゃなくてただの生野菜…」
「ごはんとかはししゃもちゃんが作ってるんじゃないんですか?」
「とんでもない…チョコ作りは上手でも普通の料理は全然ダメですよ…」
「じゃあ全部…佐藤さんが?」
「うん、でも仕事が忙しくて、コンビニ物とかが多いかな。 ししゃもは缶詰で済ましちゃうことが多いけど」
ここでいう缶詰とはもちろん猫まっしぐら缶のことだ。
「そんな…栄養のバランスが取れないと身体壊しちゃうよぉ…」
「あはは、心配してくれてありがとうね」

……僕らの姿は他の人から見たらどう見えるのかな……
友達? 兄妹? もし…ししゃもが一緒じゃなかったら恋人同士……?
気がつくと僕は、サラダを作るリエちゃんをじっと見つめていた。
いかん…最近、妄想癖気味なのかな…それに『もし、ししゃもが一緒じゃなかったら』って!?
なんだか少し自己嫌悪になりながらも、やっとテントは完成した。

「おにいちゃーんっ! まだぁ!?」
待ちくたびれたししゃもが不機嫌な声をあげる。
「あ、ごめんごめんっ! 今行くから!」
僕は妄想のお詫びも込めて大声で謝った。

────────────☆
もうすっかり日も暮れ、僕らはたくさん釣れたヤマメと冷えたビールで火を囲んだ。
「もう…おなかいっぱいにゃぁ」
満腹になったししゃもは満足そうに目を細める。
「食べすぎだよ……おなか痛くしてもしらないぞ?」
「にゃぁ…ちょっとトイレいってきまぁす…出してくるにゃ…」
「こらっ 僕らまだ食べてるんだぞっ!」
ししゃもはふらふらと森の中へ入っていった。
森を抜けると管理舎があって、そこでトイレやシャワーが借りられるようになっている。

そんな僕らのやりとりを見てリエちゃんは楽しそうに笑った。
「ほんとに…ししゃもちゃんって一緒にいるだけで楽しいですね♪ あ、佐藤さんビールまだありますよ?」
「ありがとう でもリエちゃん…けっこう飲むんだね……」
既にリエちゃんの前にはビールの空缶が何本も転がる。
「え? これくらい普通ですよぉ」
でも明らかに顔が真っ赤になっていて少し目がぼおっとしている。
どう見てもリエちゃんのペースは早く、少し無理をしているように見えた。

「リエちゃん……なんかあったの?」
「ん……佐藤さぁん…少し愚痴ってもいい?」
「いいよ…僕でよければ」
少し不安げなリエちゃんに僕は安心させるように笑顔をむけた。
「ほんとは…今日のキャンプって…親友のさなえと…スギくんとレオくんってボーイフレンドと四人でくるはずだったの…」
火の中で焚き木のはぜる音を聞きながら、炎に照らされオレンジの横顔のリエちゃんはぽつりと語り出した。

彼女から教えてもらったことはまとめるとこんな感じだった。
今回の中止は、リエちゃんがスギくんと些細なことで喧嘩をしてしまい、四人の間が少しギクシャクしてきたことが原因だった。
スギくんが行かないと言い出したら連鎖的にレオくんもキャンセルになり、さなえちゃんも急用ができてしまった。
リエちゃんは一人ぼっちになってしまったけど、誰にも相談できず、スギくんにメールや電話をする勇気もなく…
そんな途方にくれていたところに、ししゃもから声をかけられ、僕らと行くことを決めたそうだ。
僕は話を聞きながら、真剣な彼女には悪いかもしれないけれど、少し微笑ましく思った。

……そんなことに悩んで悩んで…夢中になれる時期…僕にもあったなぁ……

「ほんっとに…馬鹿みたいですよね……わたし…」
言いたいことを全て話してすっきりしたのか、缶の底に残ったビールを飲み干す。
「そんなことないよ……でもね…」
「…なんですか?」
「リエちゃんが悩んでいるのと同じように…スギくんも悩んでいるよ…きっと」
「……そんなことないです…もう…わたしのことなんかきらいになっちゃったんですよ…」
「ははっ、決め付けるのは早いよ…どうして喧嘩しちゃったかもわからないんでしょ?」
「うん……」
「もし、相手の考えてることがわからなかったら…その人の気持ちで考えてごらんよ」
「…………」
「なぜ彼はあんなこと言ったんだろう…お互いを理解するのって「なぜ?」から始まるんだよ。
 その原因を考えてみるんだ。 自分が言った言葉とか…その時の態度とかね?
 そして原因がわかったら素直に謝ったり、どうしても譲れないことはハッキリ言ったり…」
「………うん…」
「ここの川ってさ、さっき釣りしてるときに思ったんだけどすごくきれいだよね。
 でも、下流にいけば汚い水なんかも混ざってすっかり変わっちゃう…
 それでも…海に出ればみんな一緒だよね? きれいな水も汚い水も全部まざって海の水……
 上手く言えないけどさ、リエちゃんもスギくんも海みたいにお互いを考えられたら…きっと上手くいくんじゃないかな?」
リエちゃんは黙ったまま火を見つめ、僕の言葉を聞いていた。
「大丈夫大丈夫…喧嘩のイイ所は仲直りができることだからさ! 元気出して!」

一気に話してから僕は我にかえる。 僕もすっかり酔ってしまったのか……つい余計なことまで話してしまった気がする。
そしてしばらくの間、気まずい沈黙に包まれた。
「…ししゃも遅いな……また蛙でも追いかけてるのかな?」

雰囲気を変えようとししゃもの名前を出したら、丁度ししゃもがふらふらしながら帰ってきた。
「あ、ししゃも…! どこまで行ってたんだ…心配したんだぞ?」
正直、ししゃもの出現タイミングに救われたのだが……少し様子がおかしい?

「にゃへ にゃへ ひっく にゃはははははははは♪ ひっく」
「どうした? 顔が真っ赤だぞ?」
「ししゃもちゃんも酔っちゃったの? お水のむ?」
リエちゃんも顔を上げてししゃもの様子を心配する。
しかし、ししゃもは僕らの言葉に反応せず、ずっと小さな果実を食べていた。
僕がそれを一つ取り上げると…茶緑っぽい2〜3cmくらいの丸い実だった。
「なんだこれ…? 拾ったものなんか食べたらお腹壊すぞ?」
「あ、待って……もしかしてこれ…サルナシ?」
そう言うとリエちゃんは一つ手に取り歯でかじった。
「り、リエちゃんっ! 大丈夫?」
「大丈夫ですよぉ…これおいしいんですよ? ほら」
彼女が見せた果実の断面はキウイにそっくりだった。
僕も食べてみる。 少し喉にいがらっぽさがのこるがキウイをさらに濃くしたような味で美味しかった。
それをさっきからししゃもはずっと食べ続けている。 よく見るとポケットにぎっしりサルナシの実がつまっていた。
「森でこれ採ってて遅くなったのか…でもホントにこれキウイそっくり…初めて見たよ」
「ええ、これってキウイと同じマタタビ科の植物なんです♪ タルトとかにしても美味しいんですよ」
「へえ、リエちゃん詳しいね…マタタビ……なるほど… って、 し し ゃ も ぉ っ !!」

「にゃひ…にゃひひひひ……ふにゃぁ……亜qw背drftgyふじこl;p@:」
……すでに手遅れであった。 ししゃもはすっかりぐでんぐでんになってひっくり返っていた。
「しょ、しょうがないなぁ…ししゃものやつビール飲みすぎて…よいしょっと…」

僕は必死に誤魔化しながらししゃもをずるずると引きずっていった。
とりあえずくたくたになったししゃもをテントに放り込む。 すると体を丸めてすぐに寝息を立て始めた。
昼間あんだけはしゃいで、お腹いっぱい食べて、最後にマタタビ(の仲間)でいい気分である。 無理もない。
「…おやすみ…ししゃも……」 僕はそっとししゃもの寝顔に囁いた。

「佐藤さんって……ほんとに優しいんですね…」
「あ…リエちゃん」
振り向くとリエちゃんが後ろに立って心配そうに覗き込んでいた。
「……ししゃもちゃんは…幸せですね……こんなに素敵なお兄さんがいるんだもん…」
その言葉と、僕を上目遣いで見つめるリエちゃんの視線に心臓が高鳴る。
「…い、いや……その…すすすすてきって…」
「うふふ、わたしもちょっと酔っちゃいました……先に寝ますね……」
そう言って熱い頬を両手で押さえたリエちゃんはテントの奥に行くと毛布を被った。
四人向けのテントは三人並んでも充分余裕がある。
寝るときはリエちゃんが一番奥で僕が入り口側、ししゃもが真ん中と事前に決めていた。
「あ、リエちゃん…着替たりとかするでしょ? 僕はもうちょっと外にいるから…おやすみ…」
僕は少し夜風にあたろうと思い、外へ出ようとした。
「……佐藤さん…」
「ん? どうしたの?」
振り向くとリエちゃんは毛布から顔を半分だけ出して僕の方を見つめる。
「……ありがとうございました……わたし…佐藤さんともっと早く会えたらよかったな……」
最後のほうがよく聞こえなくて僕は「え?」と聞き返した。
「…なんでもないです……おやすみなさい…」
「あ、ああ…おやすみ…」
テントの外へ出ると都会では見られないような満天の星空だった。 僕は酔い覚ましに一人で星を見ながら川沿いを散歩することにした。

────────────☆
「…んにゃ……」
佐藤が出て行って約一時間後、ししゃもは目を覚ました。
「…んにゃぁあああん…ごろごろ…」
まだほんのり顔が赤く、とろんとした目つきできょろきょろと周りを見る。
「…ママ…毛づくろい………うにゃ……」
どうやらサルナシ酔いから未だ醒めやらず、寝惚けているようだ。
「……ん…」
すぐ隣でリエが寝返りをうつと、茶色の髪がふわふわと揺れる。
「……ママ……そこにいたにゃ…?」
テントの中は鼻をつままれてもわからないくらい真っ暗なのだが、ししゃもの目はどんなに暗くても隅々まで見ることができる。
ししゃもはリエの方に四つんばいでそっと近づくと毛布をめくる。 リエはTシャツに下着だけという無防備な姿ですやすやと眠っていた。
「………にゃ…ぺろ」
じゃれるように頬を軽く舐めてみる。
「……んん…」
ぴくっとリエが反応する。
「…ぺろ……ちゅ…ママ…会いたかったにゃ……」
リエをおぼろげな記憶の母猫と勘違いしたししゃもは、リエの首筋をぺろぺろと舐め回し始めた。
「…ぁ……んんっ……」

佐藤さん…わたしたち…もう少し早く会えてたら……
あ……だめです…わたし…スギくんて彼氏が……だめ……

さすがにリエもぼんやりと目を覚ます。
「…あ……は…だ、だれ? あんっ! さ……さとうさん…?」
しかし毛づくろいに夢中になり、完全に心が猫の頃に戻っていたししゃもは言葉を発さなかった。
「んぁ…だめです……おねがぃ…あ…やめてくだ……んくっ…」

微睡みの中で佐藤が夢に出てきていた。 それほど今日の一件は印象に残っていたのであろう。
そこにアルコールによる酔いも手伝い、リエは夢と現実の境界が曖昧になっていた。
その証拠にリエは言葉では抵抗はするが、身体は素直に佐藤(ししゃも)のなすがままになっていた。

そしてししゃもの手がリエのTシャツをめくり上げる、すると汗ばんだふくらみがぽろっとこぼれ落ちた。
「ぃやあっ…はずかし……はぁ…はぁ…ししゃもちゃんが…起きちゃうよぉ……っ」
本人は気付いていないのだが、そのししゃも本人がふくらみを舌でこね回し、固く尖った先端に吸い付く。
「んふっ!」
リエの胸にくすぐったいような切ない刺激が襲う。 
さらに頬、鎖骨、脇、腕、指先まで丹念に舌が這い回る。
「ふっ…にゃ……ふぅ……んっ……」
ししゃもは鼻を鳴らしながら存分に味わった。

ししゃもの舌は、猫のときのままで表面が非常にざらざらしている。
しかもそれが人間サイズの大きさで、それで体中を舐められるのだ。 リエは押し寄せる快感の波に必死に抵抗していた。

「さとう…さぁん……へんな…気……ふぁっ!」
ししゃもの舌は止まらず、リエを裏返して背中まで舐め尽くす。
「ん…ごろにゃ……あむ…れろ…れろ…ぴちゅ…」
「ああっ! あ! ああぁーっ!」

ところで、その頃佐藤は…
「…あれ? さっきここ通った気が…?」
僕は完全に夜道に迷ってしまった…。
「うわぁっ!薮蚊がぁ!!」
あちこち刺されながら走って逃げる。 どんどんテントから遠ざかっていくことにも気付かずに…。

────────────☆
「ああんっ! あぁああんっ! もう…ゆるしてぇ……っ!」
また仰向けに転がされ、へそを舐められながらリエは泣きながら身をくねらせ、首を振って許しを請う。
だが、言葉と裏腹にリエはすっかりびしょびしょになったショーツを腰を浮かせて自分の手で下ろし始めていた。
秘部が露になると狭いテントの中に『女の香り』が広がる。
『……あ、このにおい…』
ししゃもは本能でフェロモンを察知し、これもまた強烈に母猫の記憶を呼び覚ました。
すかさずリエの足の間に顔を埋め、匂いの強い場所に舌を這わせる。
「あひいっ!!!」
リエの背筋がバネのように、びくんと跳ねた。
淫裂をなぞるように何度も強くざらざらの舌が往復する。
リエの脳の中心がびりびりと痺れてきた。
「は…あ…あっ…あっ…も、もう…らめ……ぇ…」
ししゃもの肩に乗せた足が宙に浮き上がり、ひゅくひゅくと痙攣しはじめる。 限界が近い。
リエは目をぎゅっと閉じてししゃもの頭を押さえつける。
「…いく…いっちゃうぅ! ……あぁっ! ………さとうさん…さとうさんっ、さとうさぁんっ…っ!! 」
その瞬間、ししゃもが小さな陰核をペロっと舌で擦りあげた。
「あはぁああああっ!!!」
リエは上体を跳ね起こし、背筋を反らせて絶頂を迎える。
そして暗闇の中、瞳が恍惚を浮かべ、どさっと背中が落ちた。

「……にゃ…」
ゆっくりとししゃもが股間から顔を上げ、ベタベタになった顔を猫の仕草で洗う。
「…ん……は……は……」
リエは荒い吐息と小刻みな痙攣を繰り返しながら力尽きたように意識を失い、そのまま眠りについてしまった。
「ふわぁ…あ…」
ししゃもも大きな欠伸をするとふらっと自分の場所に戻り、身体を丸めて満足そうに眠りについた。

そして静かに朝がやってきた。

────────────☆
「………ん…?」
僕は野鳥の泣き声と朝日の眩しさで目を覚ます。
「…結局……疲れてこんなところで寝てしまった…」
身体についた埃や草を払いながら起き上がり、僕は言葉を失くす。
「……テント目の前だったのか……これじゃキャンプじゃなくて野宿だよぉ」
薮蚊に刺された頬を掻きながら、昨日苦労して建てたテントを恨めしげに眺めた。

すると、中からタオルを抱えたリエちゃんが姿を現した。
……あんなカッコつけといて、一晩迷子になってたなんて恥ずかしくて言えない……。
「あ……おはよう…よく眠れた?」 僕はとっさに先に起きていたフリをする。
「……………寝れるわけ…ないじゃないですかぁ…もぅ…」
何故かリエちゃんは顔を赤くして僕の目を見てくれない。
きっと…女の子二人だけ置いて、一晩帰ってこなかったことに怒ってるのかも……。
「…あ、ゆうべは…ごめんね…」 

「………謝るくらいなら…そんなことしないでくださいっ!」
突然リエちゃんはぷいっと顔をそむけてシャワーの方へ走っていってしまった。
「え? え?」
僕はわけがわからず、その後ろ姿を見送った。
結局、帰るまでの間、リエちゃんは僕と一言も口をきいてくれなかった……。
ししゃもは帰るまで、ずっとご機嫌でうるさいくらいにはしゃいでいた。
「あのね、あのね、ひっさしぶりにママの夢みたにゃあ♪」

────────────☆
あれから一ヶ月ほど経って、それからどうなったかというと……。
「じゃあししゃも、いってくるよ」
「にゃん! いってらっしゃーい♪」
いつもの通り、ししゃもに手を振られて僕は会社に行く。
すると、ちょうど階段を下りてくるリエちゃんと毎朝出会うようになった。
「あ、おはよう……」
「おはようございます…これ、良かったら……」
「い、いつもありがとうね」
毎朝渡されるピンクのハンカチに包まれたお弁当。
「…せめてお昼くらいはちゃんとしたもの食べてくださいね」
それだけ言うとリエちゃんは足早にバス停に向かって駆け出していく。

女の子って…わかんないですね…

<END>

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