第1話


「あれ? どこいったんだろ??」
会社から帰った僕は違和感を感じた。
いつもなら飼い猫の「ししゃも」が出迎えてくれるのに今日はやけに静かだ。
だが、ときどきししゃもは屑籠や洗濯機の中など狭い所で寝ていることもある。
だけど僕はししゃもが隠れていそうなところを探したが何処にも居なかった。
「…散歩でもしてるのかな?」
僕はししゃもに買ってきた牛乳をコップについで少し飲んだ。

…にゃあ…

「ししゃも?」
確かに鳴き声が聞こえた。 まだ調べていなかった寝室の押入れからだった。
「しょうがないなぁ…こんなところにいたのか?」
僕のアパートの押入れは普通に上下段に分かれている。
以前、ししゃもが上段にしまってある布団で昼寝していたことがあったが、自分で降りることができず、僕が帰るまでずっとにゃあにゃあ鳴いていた。
あの時は、危うく大家さんにバレそうになって大変だったな…布団の上でおしっこもしちゃったし…。

「こらっししゃも!ここに入っちゃだめだって… おわああああっ!!」
押入れをあけた僕は……心臓が止まりそうになるほど驚いた。
「にゃあ…」
そこには……布団の上で丸く身を縮めている、真っ裸の女の子が居て、僕と目が合ってしまったんだ…

「ごごごご、ごめんなさいっ!」
がらぴしゃっ!
僕は謝りながら押し入れを慌てて閉じた。
「…ああ…びっくりした……でも……今の誰??」
背中の襖越しに見知らぬ何者かが潜んでいる押入れ…
僕は恐る恐る振りかえった。

まず冷静に、ここが間違いなく自分の部屋であることを確認する。 OK。
次に自分が酔っていたり、寝惚けていないことを確認する。  OK。
そしてひとつ大きく深呼吸してから押入れに向かって声をかけた。
「あのお…どちら様ですか?」
「………」
返事がない。
「あの、ここは…僕の部屋なんですが…」
「………」
「えと…何か事情があれば…聞きますけど…」
「………」
「じゃあ…ここに僕のパジャマですけど…置いておきますから…落ち着いたら着て出てきてください…」
「………」
とりあえず僕は寝室から退出して、襖を閉めた。
一体何者なんだろう?……どうやって部屋に入り込んだのだろうか?……なぜ裸だったのか?……
頭の中を?マークがパレードしはじめる。

キッチンのイスに座って冷静になろうと努めるが…考えれば考えるほど頭がおかしくなりそうだ。
でも…見た感じ年齢は…16歳くらいかな?まだ子供っぽかった。
明るい栗色の髪だったな…もしかして家出してきた高校生とか…?
けっこう…目が大きくって、どちらかと言うとカワイイ系の顔だな…
それでいて…ちょっとしか見えなかったけど…おっぱいも大きめで…
…いかんいかん…なんかオヤジっぽいな俺…

とりとめもなく考えていると僕は喉がからからになっていて、さっき一口飲んだ牛乳のコップを手に取った。
半分くらい残っていた牛乳を一息に飲むと、ふいにししゃもの事を思い出した。
「あ…そういえばししゃも、何処に行ったんだろ…」
僕は空になっていたししゃもの飲水皿にパックから牛乳を注いだ。
そしてパックの中には一口分だけ牛乳が残った。
僕は腰に手を当ててパックのまま一気に飲もうとしたが、その時、襖がすっと開いて裸のままの女の子が四つんばいになって出てきた。
「…んぐ………ぶはあっ!!」
思わず僕は口の中の牛乳を噴き出してしまった。
だが女の子はこちらなんかお構いなしで、丸いおしりをこっちにむけて、床の皿に口をつけて牛乳をぴちゃぴちゃと舐めている。
「あわわわわわ! 君! 見えてる見えてるっ!!」
見てはいけないと思いつつも、突き出されたおしりを吸い寄せられるように見てしまう。
しかしもっと驚いたのは、おしりのえくぼのあたりから毛に覆われた細長い物体が生えていたことだった。
「え!? し…しっぽ!?」
「…んにゃ?」

首をまげて振り向いた女の子の頭にピンっと大きな耳が現れる。
「ね……猫の耳……!?」
そして女の子の首には…見慣れたピンクのリボンが巻かれていた。

僕がバス停でししゃもを拾ってきた日、お風呂できれいにしてあげた後、たまたまあったケーキ箱のリボンを首に結んであげた。

「…まさか……ししゃも…?」
「にゃん!」
その名前を呼んだら、女の子は嬉しそうに飛びついてきて僕の顔を舐めはじめた。
「わあっ!やめろって!!」
僕の貧弱な胸板にふかっとやわらかい質感が包み込む。 心臓がドキッとした。 
しかし、ちっちゃい猫だったら抱っこしてあげられたけど…こんなに大きくなっていると……支え…きれないッ…!
がったーんっ!!
僕はイスごとひっくり返ってしまい、後頭部を床にぶつけてしまった。
「にゃあぁぁん…ごろごろごろごろ…」
ししゃも…だった女の子は倒れた僕に抱きついたまま、僕の顔中に熱い舌を這いまわしていた。

頬に舌の感触を感じながら思った。
これで帰宅時に感じたすべての違和感は解決した。
しかし、こうなった原因や、これからどうするかなんて何も考えていない。
床に打ちつけた頭がすごく痛くて考えられないんだ…
明日から始まるししゃもと僕との日常生活の冒険を予感しつつ僕は…気を失った。

<第一話完>

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